工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

【2017夏】アニメ化ラノベ一覧

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2017年夏にあったことを調べていると、芥川賞にて沼田真佑氏の「影裏」が、直木賞に佐藤正午氏の「月の満ち欠け」が受賞していることを何となく知りました。

 

 

異世界食堂

公式サイト:TVアニメ「異世界食堂」公式サイト

公式Twitter:TVアニメ「異世界食堂」公式

土曜の特別営業の一日、異世界との扉が現れ、異世界から様々な客がやって来る創業七十年の老舗食堂「洋食のねこや」を舞台にしたライトノベル。食堂ということもあり、料理と人々を繋ぐ一期一会の出会いというものを描いた心温まる作品となっている。

料理アニメ特有の見ているだけでお腹が空いてくるようなアニメーションや表現というのも特徴となっている。元は「小説家になろう」にて連載されていた作品であり、現在も見ることが可能である。一度、脚を運んでみてはどうだろうか?

 

異世界はスマートフォンとともに。

公式サイト:TVアニメ『異世界はスマートフォンとともに。』公式サイト

公式Twitter:アニメ 異世界はスマートフォンとともに。

タイトル通り、転生してしまった主人公がスマートフォンを片手に無双する話である。次々と増えていくハーレム要員に、これも同じく増えていく無双要素。「まるで将棋だな」という原作には登場していないネタ要素が延々と一人歩きし、アニメ制作陣ですらネタにし始めるというネタに尽きないアニメであった。

PCで公式HPにアクセスしたところ、スマホで見ることを推奨されていた。遊び心に溢れ、何だかんだで愛されたアニメ作品だったように感じる。声優も豪華だったしね。

 

ゲーマーズ

公式サイト:TVアニメ「ゲーマーズ!」公式サイト

公式Twitter:TVアニメ『ゲーマーズ!』公式

趣味はゲーム以外に目立った特徴もない主人公が、学園一の美少女でゲーム部部長の天童花憐に声をかけられる。そこからラブコメ展開が始まるかと思いきや、すれ違いにすれ違いを重ねたラブコメ劇が幕を開ける……というある意味ラノベとしては王道の作品。

ゲームに対する向き合い方が違う登場人物達面々、その誰とあなたは同じ価値観を共有できるだろうか。その辺りで作品に対する評価というものは、大きく異なってくるように感じた。

 

ナイツ&マジック

公式サイト:ナイツ&マジック│TVアニメ公式サイト

公式Twitter:「ナイツ&マジック」TVアニメ公式

凄腕プログラマーにして重度のロボットオタクである青年が転生したのは、騎士と魔法の世界だった。その世界で、それまでの経験を生かしながら理想の巨大ロボット製作に打ち込んでいく「小説家になろう」作品。

本ブログのタイトルを見て欲しい。”工大生”である。ということで本アニメは非常に楽しませていただいた。プログラマーという設定がしっかりと生きたアニメもといライトノベルというのは、これ以外にないのではないのではないだろうか。

 

ようこそ実力至上主義の教室へ 

公式サイト:TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』公式サイト

公式Twitter:『ようこそ実力至上主義の教室へ』公式

徹底した実力主義を掲げ、進学率・就職率100%を掲げる東京都高度育成高等学校。そんな学校の一年Dクラスに配属された綾小路清隆。一見すると自由で放任主義、毎月現金の代わりとして学園内で使える10万ポイントで自堕落な生活を過ごせる夢のような生活であったが、その実態は正しく実力至上主義という名に相応しい場所であった。

今現時点で(2020/7/12)一番売れているライトノベルシリーズではないでしょうか。アニメの二期が発表されないのが、個人的には不思議でなりません。

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【2017秋】アニメ化ラノベ一覧

【前:2017夏】【2017冬】【次:2018冬
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2017年秋頃に何があっただろうと調べていたら、『カズオイシグロ氏がノーベル文学賞を受賞』していました。「わたしを離さないで」めちゃくちゃ好きです。あと「日の名残」とか。

 

 

妹さえいればいい

公式サイト:「妹さえいればいい。」

公式Twitter:https://twitter.com/imotosae_anime

「僕は友達が少ない」で有名な平坂読氏による作家ものライトノベルであり、『妹大好き小説家・羽島伊月と個性豊かな仲間達との日常』を描いた作品となっている。作者自身の体験を元にしているということもあり、業界の裏話なども多段に含まれており、下ネタの多さなども特徴の一つと言えるだろう。

第一話の冒頭は何というか……衝撃的であった。妹大好きとはいうが、それにも限度と方向性というものがあるだろう。しかし、そこを越えることができさえすれば楽しく見ることができるだろう。

 

キノの旅-the Beautiful World- the AnimatedSeries

公式サイト:キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series 公式サイト

公式Twitter:https://twitter.com/kinonotabianime

説明はいらないような気もするが、時雨沢恵一氏による『喋るモトラドとキノの二人がそれぞれ固有の法律や風習を持った国々を旅する』短編集ライトノベルが二度目のアニメ化。こういった古い作品を掘り出してアニメ化する流れ、嫌いじゃないのでどんどんやって欲しい。

たくさんあるエピソードの中から、おそらく人気のあるエピソードを選りすぐってアニメ化したのだろう。個人的にも印象に残っているエピソードが多かった。また、後書きのアニメ化など、原作ファンへのサービスも忘れない制作陣には感謝の言葉を贈りたい。

一巻の感想はこちら:キノの旅

作者リストはこちら:時雨沢恵一作品まとめ

 

十二大戦

公式サイト:TVアニメ「十二大戦」公式サイト

公式Twitter:https://twitter.com/12taisen/

「化物語シリーズ」や「戯れ言シリーズ」など数多くの作品を生み出し続ける西尾維新氏による干支をモチーフにしたバトルロイヤル作品。それぞれの能力を生かした戦闘や、それぞれのキャラクターを形作るエピソードなどを多分に盛り込んだアニメ化であった。

ライトノベルの枠に入れるかは、少々悩んだ作品ではあるが、本ブログで紹介させて貰う形となった。ワンクールで綺麗に終わらせているため、これから見ようという方にもお勧めできる作品となっている。

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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第十二話【感想・解説】

【前:第十一話】【第一話】【次: な し】
2020春アニメ化リスト

 

まず最初に

闇の魔力により眠ってしまったカタリナ。彼女は夢の中で前世の世界を生き、カタリナの周囲では彼女を慕う人達が涙を流していた。破滅フラグによる影響は多大で、このままカタリナの死でED?

これまでの振り返り的内容と、前世でのあっちゃんとのフラグを回収しつつ物語は終わりへと向かって行く……そんな第十一話の感想・解説を見ていきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • カタリナが破滅するエンドではなく、みんなが仲良くなる友情エンドを迎えたことで死なずに済んだ悪役令嬢。
  • ゲームが最終イベントを迎えたと言えど、彼女の生活は続いていく。二年で卒業を迎える学園生活の今後や、卒業後の魔法省での生活などが二期で描かれていくことになるだろう。
  • ゲームが終わったかと思えば『FORTUNE LOVERⅡ』の話がいつの間にか始まっていくし、闇の魔力がかなりストーリーに関わってくるし、と見所は満載である。少しばかりシリアスな展開も多くなるが。
ラファエル・ウォルト

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 一連の事件の後、魔法省に勤務することとなる社畜。
  • シリウス・ディークだと思っていた生徒会長はもう既に死んでいる。その実態はシリウスの記憶を引き継いだラファエルだった。しかし、シリウスの記憶だけでなく復讐に燃える闇の魔力の持ち主も入り込んでいた。
  • 母親が最後に残した言葉の記憶を書き換え、復讐させるために行動させていたために、彼の意思とは反することをさせていた。その実態は優しい社畜である。
FORTUNE LOVERⅡ
  • 二期のネタバレになるため詳細は避けるが、名前の通り『FORTUNE LOVER』の続編。
  • 舞台は学園から魔法省へと移り、新キャラも交えたマリアの生活が始まっていく。ちなみにカタリナは、前作で国外追放されたことになっている。
  • 魔法省に入るより前に、学園を卒業するまでの残りを描くだろうが、どのような配分になるのだろう。正直、今後あまりキリの良い箇所がないのだが。

注目すべきポイント

前提として

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

まず前提として、生徒会長シリウス・ディークは本人ではない。あっちゃんが『本名は……』と言ったのは、このことを意味している。

上記画像において眠っている少年がシリウス・ディークであり、片側で縛られている少年がラファエル・ウォルトである。これから語られる事件の最中でシリウスは死に、ラファエルがシリウスという名前で生きていくことになる。

そのような状況が生み出された過去について、これから説明していく。

ラファエルの過去①

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ラファエルはディーク家当主とメイドとの子供だった。一夜だけ身体を許したことによりメイドは子を授かってしまい、職を辞めて息子と二人で生活することになった。貧乏な暮らしではあったが、幸せな日々を過ごしていたように思う。

クラエスが「優しい味ですね」と紅茶を褒めたが、これは母親と同じ台詞だったこともここで判明する。原作の描写的に、ラファエルがカタリナに強い興味を抱くことになったのは、この台詞だったのだろう。

ちなみに、この時点でラファエルは父親のことを知らなかった。気にならないということはなかっただろうが、母親自身そのことを語ろうとはしなかった。そのことをこのような事件で知ることになろうとは……

ラファエルの過去②

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ある日、ラファエルと母親は屈強な男達に誘拐されてしまう。犯人はディーク侯爵家の夫人である。目的は『死にそうなシリウスの記憶を、健康的なラファエルに移し替えることで生きながらえさせるため』である。ラファエルの母親はその生け贄のために利用される。

ラファエルを選んだ理由は、シリウスと似たような容姿をしており、さらには健康的な肉体であったからだ。また、夫人は生まれながらにして病弱であり、さらには自身の容姿に自信がないということもあり、家を飛び出して幸せに過ごしていた二人に対する嫉妬もあったようにも見受けられる。

記憶を移し替えるためには『闇の魔力』を利用する。これまでの説明から『闇の魔力』は人の命を奪うなどの行為で、後天的に得ることができる力であるという説明はしているので、第十話の解説記事など参照して欲しい。

その過程で母親が殺害された。そして記憶の移し替えというのも成功する。

シリウスの過去

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

シリウスを生んだ夫人ではあったが、ディーク家当主の寵愛は受けられなかったようだ。義務的に最初は通ってくれた当主も、いつしか通ってくることはなくなり放置されることになる。

そんな自身の不幸を嘆き、彼女は息子であるシリウスに依存した。しかし、息子は不治の病を発症してしまう。夫人ということもあり金と権力はあったが、どの医者も魔法も彼を治すことは叶わなかった。

そんなシリウスの記憶は、確かにラファエルの中に流れ込んできた。しかし、その中にシリウスの意思はなかったのだ。

シリウスが病気で床に伏している最中、母親はシリウスのことよりも自身の不幸を嘆き続けており、依存され続ける人生というものに疲れていたのだろう。病気が回復しなかったのは、彼自身に生きたいという意思が欠如していたような気がしてならない。

黒幕

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

実際に人を殺すことで『闇の魔力』を得て、言われた通りに記憶を移し替えるも殺されてしまった男がいたことを思い出して欲しい。男は復讐に燃え、シリウスの記憶に紛れてラファエルの中に入り込むことで操っていた。

つまり『闇の魔力』を扱っていたのは、実際の所ラファエルではなく、この目を隠した男だったのだ。ラファエル視点では『もう一人の僕』というように描写されており、母親の最後の台詞が『生きて』だったにも関わらず、『仇をとって』というように書き換えたのも彼だったし、心の闇を煽り増大させていたのも彼だった。

全ては彼自身の意思ではなかったのだ。最後、『もう一人の僕』の闇の魔力により操られそうになるも、カタリナの言葉や差し伸べられる手に支えられ解放される。

こうして長年に及ぶ苦しみから、ラファエルは解放されたのであった。

最後のイベント

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

全滅は免れ、無事にゲームとしての最後のイベントを迎える。だからといって気は抜けない。もしもマリアが誰かと恋仲になってしまえば、何やかんやでおそらくきっとカタリナは国外追放されたり殺されたりするのだ。その何やかんやが問題ではあるのだが。

カタリナは気付いていないが、マリア含め全攻略対象がカタリナに惚れている現状で、誰かがマリアに選ばれ、選ぶような展開が待っているとは到底思えないが。

ちなみにこのイベントはニコル達上級生の卒業式である。ニコルに花束(カタリナは野菜束であったが)を送っていたのは、「卒業おめでとうございます」的意味合いを込めてのことである。その卒業式にてマリアが愛の告白をすることでゲームは最終イベントを迎えることになるようだ。

そしてカタリナ達が迎えるイベントは……友情エンドである。

乙女ゲームとしては確かにバッドエンドかもしれないが、カタリナにとってはこれ以上ない程に救われるエンドであった。

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
その後

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ラファエルは確かに悪いことをしたかもしれないが、結果として誰も死んではいないし、ラファエル自身の悲惨な過去を考えて罪には問われないこととなった。そして学園を卒業できない代わりに魔法省へと努めることとなる。

そこで社畜として二十四時間、年中無休で働くことになることを、この時点でラファエルは知らない。またカタリナも事件に無自覚に、無意識に首を突っ込んでいくことで色々と死にかけることになることを知らないし、そのことの危険性を学ぶこともない。

ゲームが終わりを迎えても、彼・彼女達の生活というものは続いてく。二期も決定した本作はこうして完結。

またいずれお会いできる日を楽しみに……

最後に

絶対書くから二期でまた来てね。

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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第十一話【感想・解説】

【前:第十話】【第一話】【次:第十二話
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まず最初に

闇の魔力により眠ってしまったカタリナ。彼女は夢の中で前世の世界を生き、カタリナの周囲では彼女を慕う人達が涙を流していた。破滅フラグによる影響は多大で、このままカタリナの死でED?

これまでの振り返り的内容と、前世でのあっちゃんとのフラグを回収しつつ物語は終わりへと向かって行く……そんな第十一話の感想・解説を見ていきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス(=ゲームの姿)

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • シリウスの闇の魔力により眠らされてしまったカタリナ。
  • このまま眠り続けると食事を取ることも、水分を取ることもままならないまま衰弱して死ぬことになる。
  • 原因は医療的観点からは不明。闇の魔力によるものだと判断し、国にいる光の魔力保持者に協力を要請したが、闇の魔力が強力すぎたため解除は不可能と判断された。
カタリナ・クラエス(=前世の姿)

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 木登りが得意で、乙女ゲームをこよなく愛するオタクな女子高生。
  • 幼少期は兄達と共に野山を駆けまわり、中学にてあっちゃんと出会い仲良くなってオタクになる。高校には必死で勉強してやっとのことで合格。あっちゃんと同じ高校に通いオタクライフを満喫している。
  • 死因は事故死。木登りの上手さから野猿と称えられるほどの身体能力の持ち主だが、乙女ゲームを徹夜でプレイしたことによる睡魔には負けたらしい。
あっちゃん

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 前世のカタリナをオタク沼に引きずり込んだ友人。
  • 乙女ゲームを薦めたのも彼女であり、時折攻略情報など教えてくれた。
  • 前世では『FORTUNE LOVER』の続編として『FORTUNE LOVERⅡ』が発売される。あっちゃんは当然そのゲームをプレイし攻略。つまり二期では……。

注目すべきポイント

カタリナスヤスヤ(前世の姿)

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

アニメは『FORTUNE LOVER』というゲーム世界ではなく、カタリナの前世の世界から始まっていく。困惑した方も、多いのではないだろうか。

前世では徹夜でゲームをしたことによる不注意で事故を起こして死亡。高校生という若さで亡くなった。しかし、どうやらこの世界では死んだという事実は存在せず、普通の高校生活を過ごしていく。

きゅうりを咥えながらの登校。あっちゃんと一緒に食事を取り、オタクトークに花を咲かせる。時折、母親のことをお母様と呼んでしまったり、メイドのアンに髪をとかして貰っていたことや、アランが俺様よりも優しいという印象が強かったりするなど、ゲーム世界での生活の記憶は少し残っているような描写が見受けられる。

また、あっちゃんの意味深な視線や表情といったものから、彼女だけは現状を理解しているというような印象を受ける。

カタリナスヤスヤ(令嬢の姿)

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

第十話の後の展開を少しばかり説明しておく。

まず医務室で休んでいるはずのカタリナをジオルドが迎えに行くも、すれ違いになってカタリナはもう外に出てしまっているという話を先生に聞く。そこで捜しに歩き回っていると、中庭にカタリナが倒れているのを発見。

外傷は見当たらない。呼吸はあることから、ただ眠っているだけだと分かったが、彼女はその後も目覚めることがなかった……大急ぎで原因究明のために、国一番の名医を呼び寄せ原因を探らせるも分からない。もしやと思い、光の魔力保持者を呼び寄せてカタリナを見て貰うと、闇の魔力で眠らされていたことが判明する。

解除させようとするが、あまりにも闇が強すぎるが故に解除することができず、「もっと強い方ならば解除できるかもしれない」ということになった。しかし、その可能性のあったマリアは現在行方不明。

原因は分かったが、分かったからこそ解除できないという事実がはっきりしてしまったというのが、ジオルド達の置かれている現状である。カタリナが好きだった面々は、身も心もやつれていく。

ジオルドはカタリナのためにあらゆる力を尽くしたが、彼女を救えないことに唇を噛みしめた(ついでにファーストキスをする。こう書くと酷い状況だが、水を飲ませるための最善手を打った結果、キスをすることになった)。キースやニコル、メアリ達も何も出来ない無力さに打ちひしがれた。アランはカタリナを失いそうになって初めてカタリナに対する好意というものを自覚した。

そんな中でも異質とも言えるのがソフィアである。ここで、これまでのソフィアとあっちゃんが重なり合うような演出が生きてくる。あっちゃんはソフィア越しに、カタリナのいる世界を見ていたのだ。

あなたのいる世界は……

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

あっちゃんの言葉に惹かれるように、ソフィアやニコルやキースやメアリがカタリナの元を訪れて声をかけ続ける最中、あっちゃんはカタリナと前世では交わすことのできなかった最後の会話をする。

あっちゃんの生死に関しては、原作において明言されていない。『FORTUNE LOVERⅡ』をプレイするあっちゃんは登場するため、少なくともⅡが発売されるまでの間は元気にしているということだけははっきりしている。

そして、あっちゃんはマリアが物置の隠し部屋に隠されていること、生徒会長は本当の名前があること、など超重要な情報が開示される。さすがはゲームをやりこんでいるだけのことはある。知識量はそうとうなものだ。

あっちゃんの最後の台詞「今度は、ソフィアとしてずっと傍にいるから。ありがとう、私の大切な親友」は心にくるものがある。原作の描写、アニメの演出的にも、この台詞はカタリナの耳には届いていない。

マリア救出

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

カタリナの情報通り、マリアは物置の地下に閉じ込められていた。ここで重要なのはマリアに目立った外傷はないということである。

闇の魔力保持者にとって、光の魔力保持者は厄介すぎる相手だ。それは第十話にて、魔法が通用しなかったことや、正体がばれてしまったということからも分かって貰えるだろう。つまりは生かしておく意味がないのだ。

闇の魔力が通用しないとはいえ、殺せないということはないはずだ。人を殺すなどの行為で覚醒させる闇の魔力の持ち主が、マリアを殺すことを躊躇うということは、どこか矛盾を感じる。

また、あっちゃんの「救って」という台詞の意味や、本名があるという情報……単純にシリウスが悪役であるというように思えない。回想に登場するシリウスの母親らしき女性の姿や、シリウスの声とは違う声が重なり合う演出なども踏まえ、詳しくは第十二話の感想・解説にて書いていきたい。

最後に

記事の開始が遅く、とっくに第十二話が放映されて、二期まで発表されてしまいました。可能な限り早く投稿できるように努めたつもりです。二期が放映されたらまた書きたいですね。

そして今回は少しばかり情報が少なくなってしまいました。ジオルドやアラン達の回想は、これまでの内容の繰り返しにしかならないと判断して書かなかったので、これまでの過去記事を参照していただければ幸いです。

【前:第十話】【第一話】【次:第十二話
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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第十話【感想・解説】

【前:第九話】【第一話】【次:第十一話
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まず最初に

破滅フラグが急に牙を向いてきたことにより、いきなりのピンチに陥ってしまうカタリナ様。ラストの展開には驚かれたことでしょう。そして同時に、次話以降の展開というものにも期待が膨らむはずです。

第十話という二桁代に達し、終わりの近づきも感じてきた本作の感想・解説をしていきます。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 犯罪を犯罪と認識せず、自分が危険な目に遭ったとしても寝たら忘れている貴族令嬢。
  • 断罪イベントに遭遇し、彼女が犯したという罪に言及されたが、敷地内に花畑を作るというように言って、勝手に畑を作ったくらいしか悪いことをしていない悪役令嬢であった。
  • シリウスとしては彼女を直接操った方が確実であるし、簡単な方法であったはずだ。しかしカタリナには誰かを恨むような感情も、嫉妬するような感情すらも抱いたことがなかったために操ることができなかった。
マリア・キャンベル

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 光の魔力の持ち主であるため、他の人には認識することすらできない闇の魔力を視認することができた。
  • これまでアニメで登場していた黒い靄のようなものは、全てシリウスによる闇の魔力だったということだ。
  • 光の魔力は闇の魔力に対抗することができる。シリウスがマリアを操ることができなかったのはそれが原因である。そのため薬で眠らせる方向にシフトしたのだろう。 
シリウス・ディーク

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 闇の魔力を操り、カタリナの断罪イベントを引き起こした張本人。
  • 闇の魔力は後天的なものであり、人の命を奪うなどのことをしなければ身につけることはできない。つまり彼は……。
  • カタリナに魔法をかけたあと流した涙の真意とは……。
闇の魔力

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 後天的に殺人などの行為で扱えるようになる禁術のようなもの。
  • 人の心の闇の部分である嫉妬や憎悪の感情を増幅させることで、対象者の心や心を操ることが可能になる。
  • あまりに危険であるため、その存在は国が抹消し、世間には知られないようになっていたはずだった。

注目すべきポイント

断罪イベント

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

カタリナの元に、分厚い証拠の類いとともに断罪人がやって来た。ゲームではカタリナに虐められていたマリアを守るために、マリアとのフラグが立っていた攻略対象者達が行う(もしくは仕向ける)イベントであったらしい。

しかし、この場にはマリアを含めた攻略対象者達が来ていない。虐められていたはずのマリアなどは特に、この場にいなければおかしいだろう。大きなゲーム内との差であると言えよう。

カタリナとしては身に覚えのないことである。当然、アニメ視聴者達も覚えはないだろう。マリアを虐めていたのはカタリナではないし、むしろ守っていた側の人間である。彼女達が手にしているという証拠によれば、かなり手のかかった頭を使った虐めを敢行していたようだが、そんなこと木を登る才能しかないカタリナにできるはずもない。

生徒会の仕事により遅れて登場したジオルド達一向により庇われるカタリナ。「こんな手の込んだこと姉さんにできる訳ないよ」「馬鹿だから真っ向勝負しかできない」などなど中には庇っているようでけなしている様な言葉も混じっているようだが、周りの人達が納得しているからヨシ。

そしてトドメのマリアの言葉。これまで自ら言葉を張り上げることのなかった彼女が、カタリナを庇うために声を上げたのだ。

断罪イベントの違和感

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

唐突に起こった断罪イベントであったが、どうにも奇妙なことが多いようだ。まず前提としてカタリナを断罪しようとした理由が謎である。ジオルド王子との婚約を結んでいるということによる妬みや嫉みをされることは多かったが、だからといってこういった暴挙に出る者はただの一人もいなかった。カタリナに実害をもたらそうとする者は、ジオルドが裏で排除していたためである。

次にカタリナを陥れるために用意された資料が良く出来ている、という点である。彼女達にこれほどの文書を用意できるとは思えない。誰かに作らせたとすれば、一体誰が作ったものなのか。手を貸したものがいるとすれば、話は学外にまで波及するかもしれない。

またジオルド達が遅れてやってきたのは、生徒会に急な仕事が舞い込んだからであった。その隙を突くかのようなイベントの発生は、どこか仕組まれたような作為制を感じる。

マリアの失踪

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

マリアは「寄っていくところがある」と言い、そのまま失踪していまう。カタリナは付いて行かなかったことを後悔するが、あの状況下でそこまで予測できる人間はいないだろう。

アニメ視聴者であるならが、マリアが黒い靄のようなものを目撃し、それが事件と関係あるということを察したのだろうと推測できる。しかし、ここで理解すべき点はそこだけではない。

まずマリアは闇の魔力というものを知らない。闇の魔力は国が機密として徹底的に隠してきたものであるからだ。カタリナという侯爵令嬢ですら知らないのだから、それがどれほどの機密かは理解できるだろう。この後の展開で、不用意に犯人に接触したのは知らなかったからという理由が大きいだろう。

次にカタリナ達には黒い靄を認識していないという点である。原作小説はカタリナの一人称視点であるために、ジオルドに説明して貰うまではそういった魔力があるということに気付くことすらできなかった。アニメによりビジュアルで分かりやすく示されているため、今後の説明も理解もしやすくなっていた。

闇の魔力の説明

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

簡易的な説明については用語・人物解説に記しているため割愛。ここで注目したいのは国が隠していたためにジオルドくらいしか闇の魔力の存在を認知していないという点、そんな重要な話をカタリナにした真意である。

国が隠していたとは言うが、情報というものはそう簡単に隠せるものでもない。また隠すということは、闇の魔力を使うものはこれまでもいたということを意味する。事実、闇の魔力を扱うものはいた。しかし、それらはあまりに危険だったのだ。

例えば記憶を操るという魔法を使えば、歴史を歪めることだって可能である。政治・経済も自分のものにすることができるのだ。そのため闇の魔力を扱うことができる人間は、皆処刑だったり投獄されている。今現在、記録上には闇の魔力を扱う人間というものは存在しないことになっている。

ではそのような話をカタリナにしたのは何故か。その意味はカタリナが狙われているかもしれないというという事実に集約される。マリアが犯人に気付いて捕まってしまったのは、闇の魔力を知らなかったためである。もしも闇の魔力は、人を殺すといった行為でしか覚醒しないということを知っていたとすれば、不用意に近づくようなことはしなかっただろう。

知らなければ身を守ることなどできない。重い言葉だ。無知は罪と言うが、身を滅ぼすということも意味しているのかもしれない。

犯人

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

闇の魔力の話を聞いて眠ることができなくなったカタリナ。授業中に外を出歩くことになってしまう。そこで出会ったのは生徒会長シリウス・ディークであった。そこでふと「闇の魔力のこと」「犯人じゃないのか」と心に思ったことを口にしてしまう。

ここでのポイントはシリウスが怒りを露わにしたのは、カタリナの優しいという言葉に反応したから、ということにある。闇の魔力に言及された際も、犯人と疑われた時も、シリウスは決してその笑みを絶やさなかった。

そんな彼の心を強く揺さぶる「優しい」という言葉。何故シリウスはそれほどまでに、そこに反応を示すのだろう。そして最後に彼が流した涙の真意とは。

物語は佳境である。

最後に

解説できるだけの情報量があるアニメというのは楽しくて良いですね。書くのがキツいアニメというのは、書くことがなくて筆が止まってしまうものですが、本作は止まることがなくて助かります。

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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第九話【感想・解説】

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2020春アニメ化リスト

 

まず最初に

一応、原作にあるエピソードを交えつつ、カタリナ付きのメイドであるアンのエピソードが描かれていく第九話。これまで本記事で語ってきた総復習的な内容も踏まえつつ、アンに関してもまとめていきます。てっきりアニメでは描かれないと思っていたので、どこで書くべきかずっと迷っていたことでしたが、ちゃんとやってくれたようで何よりです。

二期も決定し、円盤売上も順調な本作の感想・解説を見ていきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • アンが話にくいことを察して話を変える名采配。さすがは貴族令嬢。
  • アンには毎年欠かさずに誕生日プレゼントを贈っている。また、アンが勝手に結ばれた婚約を、父親の協力もありつつ破棄させた。
  • 世界観的に政略結婚は珍しくない。元々カタリナの両親は、互いに互いが好きでもない相手と政略的に結婚させられているんだ……と勝手に勘違いしていた。ニコルの母親も政略結婚させられそうなところを父親に略奪されるような形で結婚している。
アン・シェリー

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • カタリナが八歳の頃から仕えるメイド。カタリナ付きとして学園まで付き添っている。
  • シェリー男爵とその使用人であった母との子供。幼い頃に家事で火傷を負い、政略結婚の道具としては使えないとして、捨てられるような形でクラエス家にやって来た。しかし数年が経過して、アンとの婚約者を見つけてやったとして引き取りに来るが、カタリナやルイジに押されて逃げるように帰って行った。
  • 「無人島に持っていくとしたら?」という問いに対しては、迷わずカタリナ様と答え、「恋人としたいことは?」という問いには、カタリナ様の次にお菓子や料理を食べさせてあげたいですね、と答えるほどにカタリナ様大好きである。
使用人の扱い

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • カタリナの住む国は平和だが、一度外に出ると『人身売買』や『スラム街』といった治安の悪い国というのも珍しくない。むしろカタリナ達のいるような平和で治安の良い国という方が珍しい。
  • 「使用人には何をしてもいい」という人権意識の国もあり、そこでは奴隷のように扱われる使用人も珍しくはないようだ。また魔法が使える人間は高く売れるらしい。
  • 六巻以降ではそのようなシリアスな設定や展開が多くなっていく。

注目すべきポイント

カタリナ大好き ジオルドの場合

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まず最初にカタリナ付きのメイドとして学園までついてきたアン目線での、カタリナハーレムの様子というものが描かれる。それぞれの人物達の裏の顔らしきものが見て取れ、見所は満載である。

まずはジオルド様とのエピソード。状況としてはカタリナの額の傷が消え、それにカタリナとアンの二人でひとしきり喜んだ後、意気揚々とジオルドに報告して婚約を破棄して貰おうとしたという状況である。

カタリナとしては『さっさと破滅フラグを破棄してしまおう』『ジオルド王子はカタリナのことを他の婚約者を遠ざけるための楯としか思っていない』とか考えているので、ジオルドはすぐにでも婚約を破棄してくれるとか思ったのだろう。

残念だがジオルドはカタリナにベタ惚れである。もしも彼女が殺されたならば、自身の持つ権力を総動員して犯人を見つけ出して、普段は使わないようにしている魔法を使って殺す程度に。

一介のメイドに過ぎないアンとしては生きた心地がしなかっただろう。カタリナが着ずが消えて喜んでいる理由が、『王子との婚約を解消できるから』と思っていたとは考えようもしなかったのだ。

そして王子が傷は残っていると言えば、残っているとしか言えないのである。カタリナはそこから考えて、ジオルドの思いというものに気付けば早い話ではあるのだが、残念ながら彼女が考えるという展開が今後ないに等しい。『ゲームよりも腹黒だわ!』と意味不明な方向に思考が向かっていく。

カタリナ大好き キースの場合

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ずっとカタリナと接してきたアンは、当然だがキースとも接する機会というものが多い。異性としては一番距離感が近いはずのキースだが、それ故の苦悩というものがキースにはあった。

まずカタリナが女性としての自覚なく距離を詰めてくるというのが、キースとしては我慢ならなかった。また家族(一応義理なのだが)ということもあり、その距離感は更に狭まっていく。これまでの記事でカタリナとキースのエピソードは何度か紹介しているので確認して欲しい。

その度にキースは己の色気というものが、カタリナには全く通用しないということを思い知らされる。原作でもキースの色気に対して、「まったく分からない」とカタリナは語っている。

肝心の相手に通じなければ意味がない、と語るキース。悲しい。彼の場合は、異性として意識してもらうためのハードルというのが高すぎるのであった。

そのような苦悩を抱えるキースは、母親を味方に引き入れて、カタリナに王子との結婚なんて身が重すぎるという発想からアプローチをしかけることで、婚約を破棄させようと目論む。

カタリナ大好き アランの場合

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ジオルド王子の双子の妹であるアランは、第九話まで来てもなお思いを自覚していない。メアリという厄介な婚約者を抱えているから、というのも理由の一つだが、単純に純粋すぎるというのも理由の一つだろう。

それにしても王子に野菜に向けた演奏を頼むとは、カタリナの頼み事のハードルは高いんだか、低いんだか良く分からない。しかしアランにカタリナのお願いから抗う術はない。

アランが自身の想いに気がつくのはもう少し後のことになりそうだ。

カタリナ大好き メアリの場合

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

メアリもカタリナのことを慕う人物の一人であることは説明することではないだろう。彼女の策略の一つとして、『カタリナと共に国外へ逃亡する』というものがある。冗談として、話のネタの一つとしてならば良かったが、残念ながら本気である。下調べや根回しは滞りなく進められている。

またジオルドとの婚約を破棄させるために、キースに協力して情報を流したり、男性と仲良くしているカタリナの元へ何処からともなく現れて妨害したり、『王子との婚約なんて』と苦労を語ることによるネガティブキャンペーンなど多数の工作を行っている。

しかし第一に考えていることはカタリナの幸せであり、ときにはジオルドと協力することもある。本当は良い子なのだ。

カタリナ大好き ニコルの場合

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無表情で会話も弾まないニコルではあるが、カタリナと過ごす時間というものに幸せを感じているようだ。原作では彼視点で描かれるエピソードもあるが、それはそれはベタ惚れである。

彼はカタリナ以外の女性とは、ほぼほぼ会話が成立しない。ニコルが言葉を発しないというのも理由の一つだが、どうやら女性陣は彼の持つ色気に当てられて逃げてしまうらしい。宰相の息子として今後、お見合いをすることになるが、お見合い相手が何故か逃げ出してしまうという奇想天外な珍事も発生する程である。

カタリナが色気を感じ取るなんて器用な真似ができるはずもないので、カタリナとニコルの間には、一方通行のように見える会話というものが成立する。また微かにではあるが、ニコルも笑っている様子も見受けられる。

カタリナ大好き ソフィアの場合

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男性同士から女性同士に至るまで、幅広い本を楽しむことができるソフィア。カタリナ大好き寡黙な兄を、カタリナに薦めていく。カタリナとしては「ソフィアは兄が大好きなんだなぁ」という程度にしか考えておらず、これ以上の思いに発展するようなフラグは見当たらない。

ソフィアにはメアリのような恋愛感情は見受けられず、「兄の恋が成就して欲しい」「カタリナ様ともっと一緒にいたい」という思いが強いように感じる。妨害工作その他には従事していない。

しかし男性(ジオルド)に絡まれるカタリナを救いださなければ! と奮闘するシーンがないわけではなく、今後の展開的には妨害工作に身を乗り出すかもしれない……というか兄を薦めるという行為は妨害工作か?

カタリナ大好き マリアの場合

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虐めの現場から何度も救われ、友人だと呼んでくれて、孤独から救ってくれたカタリナ様が好き好き大好きなマリア。カタリナ様の好きなお菓子を作ることで、確実に胃袋は掴んでしまった。

平民であるため、お茶会やパーティといった貴族の集まりには参加できない分、他の人達とは遅れをとるように思われていたが、実際のところ、ゲームのフラグであるために(それを除いたとしても)、カタリナから向けられる意識は一番多いかもしれない。

彼女が迎えるED次第では、カタリナは追放か殺害か、その二択である。しかしカタリナ大好きな今はどうなってしまうのか、誰にも予想できないであろう。

パジャマパーティ

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パジャマパーティをすることとなったカタリナ含む女性メンバー達。アニメでは『恋人としたいこと』というテーマでのフリートークであり、それぞれの特色が出たトーク内容となっている。

原作では他にも『恋愛イベントのようなものが起きたか』どうかをカタリナに尋ねられ、実際はあったにも関わらず(視点が切り替わり、それぞれの体験が語られる)、「特にないですね」とそれぞれがカタリナに語っている。

どうやらカタリナの鈍感スキルというものは、メアリを除きソフィアとマリアにも備わってしまったようだ。ソフィアはロマンス小説内で語られた小洒落た台詞を、咄嗟に口にしてしまって……という話。マリアは貴族男性に話しかけられたけど……という話がそれぞれ原作には存在する。

みんな可愛いから、恋愛と縁遠い生活はしていないのだ。

アンの過去

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シェリー男爵と使用人の娘として生まれたアン。屋敷には住めず小屋で過ごす毎日ではあったが、母との生活はそれなりに悪くなかったらしい。強いて問題点を挙げるならば、この生活で使用人として感情を殺して、気に入られるために絶対服従することを教えられたことだろうか。

そして運命の転機である火災に遭遇。母は死去し、一人残されたアンも火傷(原作では背中、アニメでは腕)を負ってしまう。その傷に対する父親・シェリー男爵の言葉は、「政略結婚の道具としては使えない」というものだった。

そこから成り行きでクラエス家のメイドとして生きていくことになったアン。彼女を闇と孤独から救い出したのは、幼い頃に猿をインストールされたカタリナであった。振り回されながらも、感謝の言葉をかけられ、色々な話を聞かされ、誕生日プレゼントまで毎年欠かさず渡され……そんな幸せな日々が続いて欲しいと願う程度には惚れていた。

そんなある日。シェリー男爵から婚約相手を見つけたという手紙を受け取る。

その結婚相手というのは、あろうことか父親であるシェリー男爵よりも年上の子爵で、愛人を多数抱え、黒い噂も絶えないという男であった。おそらく女を貢いだということで謝礼金をたんまりと貰えることになっていたのだろう。

クラエス公爵に話を通したと彼自身は語っているが、どうやら婚約相手に関しては話をしていなかったようだ。アンの「必要なの」という台詞から続く暖かな言葉の数々に、アンはどれほど救われたことだろう。灰色だった世界に色がつく演出は、ベタではあるがにくい演出であった。

オチ

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異性へのプレゼントというものは難しいもので、「高い装飾品でも贈っとけばいだろ」というものでもない。関係性によっては重いプレゼントになりかねない上、カタリナのような花より団子、花壇より畑には通じないことは想像できる。

おそらく作中の人物は皆、ジオルドと同じような苦悩をして畑に来たのだろう。たくさん集まったハサミ達。皆、彼女に対する理解度は同じであった。

最後に

二期決定おめでとうございます。原作ストックも十分ですし、新たなハーレム要員も次々と増えていくことになります。二期放映時には、またよろしくお願いしますね。

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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第八話【感想・解説】

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まず最初に

またしても原作にはない完全アニメオリジナルストーリーが描かれていく第九話。魔法書というファンタジーではお約束のアイテムが登場しています。原作では影が薄かった魔法関連のアイテムですが、アニメで思い切り活躍しているというのは何だか新鮮です。

さて、アニオリということなので解説というよりは感想という点に重きを置きますが、頑張って書いていきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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  • 食欲の旺盛さが魔法書の許容量を超えていた貴族令嬢。
  • 今さら説明することではないかもしれないが、ジオルドが婚約を解消しないのは面倒くさい他貴族のアピールから逃れるためだと未だに思っているし、キースはカタリナのことを女性として意識していることに気付いていない。
  • キースとは普通に「あーん」をして食べさせ合いをしたことがある。正確にはカタリナからキースに向けて食べさせたことがある、だが。キースからするのはハードルが高すぎたらしい。
メアリ・ハント

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • カタリナの登場により、最も人生を狂わされたかもしれないヒロインの一人。
  • ゲームではアラン王子に向いていた恋愛感情がカタリナに向いたからといって、ここまで性格が変わるものだろうか。良い意味でも、悪い意味でもカタリナの影響を受けているのだろう。
  • 社交界で集めた様々な貴族の悪い噂を集めたノート(この世界では書物とでも言うべきだろうか?)を持っており、カタリナには見えないところでは活躍しているのだろう。
魔法書

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  • 古代の魔法で作られた遺物のようなもの。指定の人にしか読むことができない書物や、特別な効果を持った書物など、その種類は多岐に渡る。中には今の技術では再現できないものもあるとされる。
  • 古代からのものは当然、古代語で書かれている。残念ながらカタリナは読むことができない。
  • アニメで登場した魔法書は、『欲望をエネルギーとしている魔法書。中に人を閉じ込めて欲望を叶えてくれる』ということらしい。あまりデメリットが見当たらない気もするがどうなのだろう。

注目すべきポイント

試験勉強

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死んで別の世界に転生したとしても、テストという呪縛から人間は逃れられないのかもしれない。現世でも試験勉強に精を出し、テストを受けた後には全てを忘れてしまうような脳の作りをしていたカタリナが、異世界に出て心を入れ替え勉強を出来るようになるはずもない。夏休みの宿題を最終日まで溜めに溜めていたことも記憶に新しい。

第七話で描かれていた試験は実技試験だとすると、今回カタリナが勉強しているのは筆記試験であろう。原作において、赤点をとると留年するといった話は登場していないが、描写やゲームの設定であるということから推察するに日本の高校などと大差ない進級制度では、と思われる。

息抜きに畑仕事をし、収穫した傷つきのカボチャを王子にプレゼントするカタリナ。こうして書くと凄い状況である。それを双眼鏡で眺めていたメアリは妨害しようと外に飛び出す。結果としてカタリナと共に勉強するという口実を作ることができたので、彼女としては万々歳である。

勉強場所はシリウスのいる生徒会室。シリウスの意味深なカットが挟まれ、今後の展開に期待と不安を募らせていくような演出が、丁寧に行われていく。次に向かうは図書室である。

まるでハーメルンの笛吹きのように増えていくカタリナの友人達。王子二人に次期宰相、次期侯爵に光の魔力の持ち主という驚きの面々である。これは誰も逆らえない。

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
魔法書に取り込まれ……

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図書室ではマリアとメアリを除く豪華メンバー達が魔法書へと取り込まれていく。カタリナはイベントに関わるようなアイテムは、知っているかどうかは関係なく手に取ってしまうことが多い。この魔法書も原作ゲームでは、何かしらのイベントで登場するアイテムだったのかもしれない。

この魔法書の効果は、『人を取り込み願望を叶えることでそれをエネルギーとする』ということらしい。それによりジオルドやキースの願望が形となって表れる。そのどれもカタリナが関わっているというのは、何とも彼・彼女達らしい。

ジオルドの願望

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ジオルドは本気で惚れてカタリナと婚約を結んでいる。このまま行けばいずれカタリナと関係を結ぶのは、間違いなく彼であろう。しかし、彼の周囲に敵が多すぎるので、あまり優位に見えないのは気のせいではないだろう。

そんな彼の願望は、『カタリナを自分のものにする』ことだろう。カタリナはあまりに無防備で、男性(カタリナの場合、女性からも)からの好意というものに無頓着すぎる。首筋にキスをされても虫刺されだと勘違いするほどである。一応、乙女ゲームでそういったシチュエーションというものは幾度となく見てきたと思うのだが、そのような繊細(?)なことを考えることは無理なのかもしれない。

またジオルドは、カタリナに嫌われるということを何よりも嫌っているような印象を受ける。王族ということもあり家庭関係は決して綺麗事ばかりではなく、それらをあまり語りたがらない。まぁ、カタリナに見つめられたらすぐに話してしまうのだが。

これまでより深い関係に踏み込んでいかないのも、彼女に拒絶されることを拒んでのことかもしれない。単純に経験値が少ないから、という可能性も否定できないが。

キースの願望

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

キースの願望はおそらく『カタリナに男として意識して欲しい』ということだろう。色気があっても通じて欲しい相手に通じなければ意味がない、とキース自身何度も語っている。

アニメではカタリナがキースのことを色っぽいと言っている。カタリナの口からは絶対に出てくるとは思えない台詞だ。添い寝や手を繋ぐ程度のことは、これまでカタリナの方からしてくれたので(というか今頼んでも普通にしてくれるだろう)、カタリナに男として意識して貰った上で、それらの行為をしてほしいのかもしれない。

一番一緒にいる時間は長いが、だからといって有利という訳ではなく、ある意味一番距離としては遠いような気がする。

ソフィアの願望

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ソフィアは文学少女ということもあり、恋愛の体験はそこから影響を受けることになる。第五巻にて女性メンバーが理想のシチュエーションを語り合うエピソードがあるが、そこでもソフィアだけがぶっ飛んだ内容を語っている。

彼女の願望はそういった『物語のようなことをカタリナとしたい』ということだと推察できる。彼女が読んだ作品の中には女性同士の友情物語も多数存在する。もともと二人が出会うことになった『エメラルド王女とソフィア』がそういった話である。中にはハードなものも含まれていることだろう。

壁ドンもそのなかから着想を得たのかもしれない。微妙に身長など足りていない感じがするが、本人が満足しているのでヨシ。

ニコルの願望

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ある意味、一番ヤバい願望を持ち合わせていたのは彼であった。『物語のように駆け落ちしたい』とまで言わずとも、カタリナと恋をしたいということなのだろう。

妹のソフィアの話は進められて読むことがあり、その中には略奪愛や駆け落ち系のエピソードが多かったようだ。ソフィアは兄とカタリナが結婚すれば、もっとカタリナと一緒にいられると考えて、またニコルがカタリナのことを好きだが王子との婚約者なので手は出せないと考えているということを知っての行動だろう。

また宰相である父が物語のような恋を経て、つまりは略奪愛のようなことをして結婚している。血は争えないということなのかもしれない。

アランの願望

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

演奏会をしたい、というよりは『カタリナにピアノを聞かせてあげたい』ということだろう。アラン……いい加減自覚しろ。

まぁ、メアリの策略がいささか効果的に機能しすぎているとも言えるが、それでも他人よりは恋愛に疎いだろう。

カタリナの願望

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

『お菓子が食べたい』というのが彼女の願望である。人間の三大欲求の一つだから仕方ない。その願望は本の中で作られた虚構の中で満たされることはなく、魔法書の許容量を超えてしまった。

霞を喰っても、どんなに妄想をしても、腹が膨れることはないのと一緒の原理なのだろうか。結局カタリナの願望は満たされることはないまま、吐き出されることになる。ようやくマリアのお菓子を口にして、メアリの紅茶を飲むことができた幸せそうな顔を見ることができて、とりあえず満足である。

アランとカタリナ

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

裸足になって一緒に過ごすカタリナとアランのエピソードは第五巻に描かれる。アラン視点でカタリナと一緒に過ごすことの楽しさと喜びが描かれている。アニメではその雰囲気をさらに良くして、なんか良い感じのカップルっぽく演出されている。

この後、メアリからの妨害が入ってくるのだろうが、それは本作のお約束。メアリから色々な洗脳工作が行われることだろう。

最後に

設定など細々とした場所は変えて、原作のエピソードの情報が散りばめられている。正直、解説はどうしようかと思っていたが、それなりに書くことはできたのではないだろうか。楽しんでいただければ幸いである。

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まず最初に

原作にはない完全アニメオリジナルストーリーが描かれていく第八話。原作既読勢としては「あぁ、二巻の結末で終わりにしたいんだな」とアニメ制作陣営の考えが良く分かります。第三巻以降の内容は、あまり目的というものがはっきりとしない展開が長々と続いていきます。良い切り時なのではないでしょうか。

さて、アニオリということなので解説というよりは感想という点に重きを置きますが、頑張って書いていきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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  • 扱う魔力は土。ちょっとだけ強くなった「土ボコ」を操る。残念だが優秀とは言えない。
  • 高度な魔法を扱うためには繊細な調整が必要であるらしく。繊細さとは程遠い彼女には到底無理なことであった。
  • 幼い頃から剣術を学んではいるものの、技術もなにもなく勢いだけは良いと褒められ(?)ていた。剣術の先生にすら見放されたとも言う。
炎の魔力

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  • ジオルドが扱える魔法。氷の壁を溶かす際に使用した。
  • 王族は元々あまり魔法を使わず、戦う場合には剣を扱うことが多い。あまりの怒りに感情を抑えきれず、魔法を使うだろうが……。
  • 原作においても、ジオルド含め王族の面々が魔力を扱うような描写はほぼない。はめふら原作(見返すとアニメもだった)で初めて登場する魔法は、カタリナの「土ボコ」である。
土の魔力

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  • カタリナとキースが扱える魔法。「土ボコ」だけしか扱えないカタリナとは違い、土人形や道のようなものを生み出せるキースは有能である。最底辺と最上級しかおらず、丁度良い感じの人がいないのだろうか。
  • 感情にまかせて暴走させてしまっていた幼少期とは違い、力を制御して誰かの役に立つように扱えるようになっている。カタリナと一緒にいるためにクラエス家跡取りとしての魔力の鍛錬にも励んでいたのだろう。泣ける。
  • この世界の魔法は、このような形以外にも魔道具としても存在している。しかしあまり実世界にまで溶け込んできていない。
風の魔力

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  • ニコルとソフィアが扱う魔力。竜巻のようなものを起こしたり、遠くの音を聞くなどの汎用性が高い。
  • 学年二位の実力者というだけあって、ニコルの魔力は相当なもの。ソフィア自身はあまり扱えないと語っているようだが、「土ボコ」しか使えないカタリナと比較すると、ソフィアはかなり扱えると言って良いかもしれない。
  • 一番扱う人口が多いのは土で、風は二限目に多い。しかし、それが強弱とイコールになる訳ではないことはキースを見ていれば分かるであろう。
光の魔力

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • マリアが持っている魔力。主に治癒などを行える。
  • 残念ながら彼女が魔法を使っているシーンはなかったが、彼女が動くことは誰かが傷ついたということを意味するので、彼女は活躍しない展開の方が幸せなのかもしれない。
  • 彼女だけに黒い靄が見えているようだが……?
???

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • カタリナに付きまとっていた黒い靄のようなもの。
  • カタリナ自身は気付いていないようだ。また第六話の終盤で、カタリナに厳しい視線を向けていた女性達の周囲にも、同じような黒い靄が現れているようなシーンが挟まれている。
  • マリアはこれを見えているようだが……?
古代語

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 日本で言う所の古文のようなもの。学園では必修の科目。
  • カタリナは、テストが終われば学んだことは忘れるという人間社会で苦労しそうな脳の作りをしているので、残念ながら全く読むことができない。
  • 原作では古代語を読むことができないためにかなり苦労する展開が存在する。二期があった際のための伏線として、アニメでも登場したのかもしれない。

注目すべきポイント

前世でのエピソード

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

あっちゃんと前世のカタリナの出会いが冒頭で描かれていく。原作では第二巻で描かれているエピソードであり、ストーリー上でも大きな意味を持つ。

乙女ゲームの世界にやって来てから、色々な人に無駄に優しさを振りまいて救ってきたカタリナであったが、その天然タラシ属性は現世からの引き継いでいたものであったことが描かれる。あっちゃんという孤独なオタクだった彼女を救ったのは、木の上から落ちてきた彼女だった訳だ。

また前世のカタリナが『FORTUNE LOVER』に嵌まっていたのは、この友人あっちゃんからの進めであり、高校合格した際の御褒美として手に入れて遊んでいたゲームであるということも明かされた。

そして意味深に乙女ゲームの世界へと戻り、それまでのシーンはソフィアの夢だったというオチで終わる。その後、カタリナの元へやって来るソフィアが可愛くて好き。

試験

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ここからは完全アニメオリジナルストーリーとなっていく。原作ではあまり描かれることのなかった魔力を扱うシーンや、アランとメアリの独特な距離感、ソフィアの思いなど見所は満載である。魔力に関しては用語・人物解説にまとめたので、ここでは改めて書くことはない。ご了承願いたい。

試験の内容は『トラップがたくさん仕掛けられた遺跡の中で魔石を見つける』というもの。知識と実技の両方の力を測ることができる試験内容となっている。先生や先輩が配備されているということは、命を落とすことはないようなっているのだろう。

メンバーは『アランとメアリとマリア』チームと、『カタリナとジオルドとソフィアとキース』チームとなっている。カタリナを除いて生徒会メンバーという超優秀すぎるメンバー構成にした先生方の意図は全くもって理解できないが。

インディジョーンズ的なお約束も済ませつつ、それぞれのメンバーの探検は進んでいく。

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

床が落ちるなどかなり危険なトラップの数々。メアリとアランの距離も急接近? いや、残念ながら現状そのようなことはないだろう。ちなみにこの時点ではまだアランはカタリナに対する思いに自覚がない。その原因は、画像にて彼が抱き上げているメアリであることに、彼が気付くことはあるのだろうか。

魔石発見

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

動く必要がないので動いてトラップに嵌まっていたカタリナ。壁に手をついたら危ないということを、彼女は最初の失敗から学ばなかったということである。結果としてキノコを採るための道具として、試験の目的である魔石を入手することに成功。

ニコルとソフィアが風の魔力で聞きつけた声が「キノコ」だったのは、実にカタリナらしい。ちなみにカタリナは過去にキノコを食べて腹を壊したことがある。その失敗を生かそうという意識が芽生えることはないことを、これまでの積み重ねで読者もアニメ視聴者も学んだことだろう。

ソフィアもカタリナを失いたくないがために必死に行動してくれた。可愛い。

謎の影

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

カタリナとソフィアが謎の竜巻に助けられて、その後映し出された謎の影。助けてくれたのは彼なのだろうか。だとするとカタリナが聞いたという足音の正体もこの影なのだろうか。カタリナを付きまとっていた黒い靄のようなものももしかしてこの影なのだろうか。

様々な疑問が脳裏を飛び交っていることだろう。その真相は第九話にて明かされるのを待つことにしよう。

最後に

あまり書くことはできなかったが、アニオリとしては大満足の内容である。やはり原作に対する理解度が高い。これが正しいアニオリだよな、とブログ主は声を大にして言いたい。

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まず最初に

乙女ゲームの主人公であるマリアと無難な出会いをはたし、互いに互いをおとしあうという展開を見せてくれた第四話。第五話ではいよいよ本格的にマリアを攻略しにかかります。まぁ、完全に無意識ではあるのですが。その辺りの過程において、アニメオリジナルの演出が差し込まれるなど、制作陣の原作に対する理解度の高さが伺える第五話の感想・解説に進んでいきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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  • 相手が誰であろうと(誘拐犯だろうが、危険な相手だろうが)警戒心なく接する貴族令嬢。
  • 一応、令嬢としての振る舞いなどは母親やメイド達の協力により教育されている。そのためお茶会での最低限のマナーは守れるようにまで成長したが、お菓子をバクバクと食べる食欲まで制限する気はないようだ。
  • キースは男として意識していない節があり、幼い頃には寝起きに抱きついたり、風呂に一緒に入ろうとしたりしていた。その度に「義弟とはそのようなことはしない」と怒られ、どうにも納得していないような気がする。
トム・ウィズリー

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  • 貧しい田舎の村に生まれ、若くして奉公に出されてから、各地を転々としながら生きてきた。喋ることが下手で、顔が厳ついという理由から、基本一人で仕事をしてきたらしい。
  • 手先の器用さと植物との相性の良さから庭師となり、先代のクラエス侯爵家の当主にその才を認められて雇われて以来、二人は『友』として一緒に街へ行くなどしていたようだ。
  • しかし、先代の当主が亡くなって以来、彼の世話した庭を褒めてくれるような者などいなくなり寂しい日々を過ごしていた。そんな彼を退屈から救ったのが、「畑を作りたい」「精巧な蛇のおもちゃを作りたい」などの仕事(?)を持ち寄ってくるカタリナであった(第五巻のエピソードの要約)。
メイド頭

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  • それなりの商家の三姉妹の三女として生まれる。長女・次女が次々と嫁いでいく中で人付き合いが苦手だったために嫁ぎ先が見つからずに、カタリナ侯爵家のメイドとして働くこととなった。
  • そんな彼女は黙々と仕事に取り組み、若くしてメイド頭に抜擢される。若いからという理由で舐められないように、さらに仕事に打ち込むようになり人との付き合いはさらに疎遠になっていく。
  • そんな彼女を救ったのは、お菓子が大好きでせがんでお菓子を作って貰えるように頼むカタリナ・クラエスであった。今はメイド頭も結婚し家庭を持ってい(第五巻のエピソードの要約)。

注目すべきポイント

夏休み

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学園も夏休みに突入し、キースと共に寮から実家へと戻って来た。そこではトムさんに作って貰った精巧な蛇のおもちゃを投げる練習をしたり、カタリナの夏休みに合わせて戻って来ていたメイド頭さんの作ってくれたお菓子に舌鼓をうちながら優雅に過ごしている。ちなみにトムさんは今後もこの蛇のおもちゃを量産し続け、屋敷の至る所におもちゃが置かれるようになっていく。

トムさんとメイド頭に関するエピソードは用語・人物解説にて示した通り。共に第五巻の短編集に掲載されている数ページほどの短いエピソードであり、カタリナが無駄に優しさを振りまいているということを教えてくれる。現世でのあっちゃんもそうだが、コミュ障は基本的に彼女に救われているようだ。

また、伏線というほどではないが、夏休みの宿題があるということについて、キースはしっかりとカタリナに言及している。まず間違いなく、カタリナの耳には届いていないし、現世でも夏休みの宿題で苦しんでいたという経験が生かされることはない。

キースと過ごす夏休み

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夏休みのエピソードというよりは、キースが過去にカタリナに救って貰ったという回想が描かれる。これはトムさん達のエピソード同様に第五巻で描かれているエピソードの情報を元に書かれたアニメオリジナルである。

原作では幼い頃のカタリナ視点(最後はキース視点も入ってくるが)で「弟と仲良くしたい!」という彼女の突飛な行動により、振り回される周囲の様子というものが描かれる。

例えば。

寝起きでカタリナに抱きつかれるキース、風呂に入ろうとしたらカタリナに一緒に入ろうと誘われる、夜は一緒のベットで眠る……というように。最後の夜は一緒に眠るというカタリナの行動により、キースは悪夢から解放された。人肌が恋しかったのかもしれない。

ジオルドと(?)過ごす夏休み

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愛しのカタリナを湖に涼みに行こう、と誘うジオルド王子。ニッコニコで幸せそうで何よりだが、この笑みもすぐに歪むこととなる。カタリナの有能な防波弟であるキースの登場であった。

キースは次期当主として、現当主から色々と仕事を見て回っていることが多く、社交界の集まりもその一つだと考えられる。アラン王子も参加している辺り、それなりの集まりと言えるだろう。「ジオルド王子は何故参加していないのか?」と問われれば、考えるまでもなくカタリナと二人きりの時間を作り出すためである。

ジオルド王子は(この段階では)カタリナの速度に合わせ、ゆっくりと友好を深めつつ、既成事実も作っていこうと考えている。キスもまだだが。ある意味、夜に一緒のベットで寝たこともあるキースの方が進んでいると言えるかもしれない。

カタリナといえば勝手に脳内で思考を進め、目の前でバチバチと戦っている弟と婚約者の様子を、「楽しそう」と表現するように勘違いが加速していく。ジオルド王子の気など通知らず、メアリ達まで巻き込んでの涼みへと発展していく。

みんなで過ごす夏休み

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いつのまにか増えていたアランにメアリ、ソフィアにニコルにマリア達。キースにジオルド王子は集まりに参加していないと教えたアランよ、集まりはもういいのだろうか。笑みを浮かべるメアリの裏の顔は、あまり想像したくない。そしてソフィアは可愛い。ニコルは……うん、多分笑ってる。それにしてもマリアはどうやって来たんだい?

カタリナの一言で王子や宰相の息子や、貴族界で一目置かれている令嬢や、光の魔力を扱える学生まで集めるというのは凄すぎる。流石は「彼女に嫌われたら生きていけない」とまで噂されるカタリナ・クラエスである。

それは噂ではなく、カタリナの悪い噂を流して潰そうとした貴族を田舎送りにしたジオルドや、情報を探ってジオルドに協力したメアリなどの行動により事実となってしまっているが、そんなことカタリナが知るはずもない。

ソフィアとニコルで過ごす夏休み

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ニコルとソフィアと共に、『魔性の伯爵シリーズ』の最新刊を買いにやって来た。猿卓会議メンバー達が出会ったニコルのような男が、魔性の伯爵その人である。過去にソフィアが兄(=ニコル)に似ていると言っていた登場人物がそれである。

しかし本を買うだけではつまらない。互いに似合うといって買って交換したヘアピンや服など、街での買い物を楽しんでいる様子が描かれる。それにていもソフィアが可愛い。ニコルも街中で色気を振りまきつつ、何だかんだで楽しんでいるようだ。

そして最後は、ニコルにカタリナを略奪して欲しい、と願うソフィアの策略により二人きりにされてしまう。ニコルは表情にはあまり出てこないが、カタリナにベタ惚れで、どの女性と出会ってもカタリナと比較してしまい真面に見ることができないほどなので、饒舌に喋って感謝を伝える。

ちなみにカタリナ以外の女性は同じような状況におかれた場合、逃げ出してしまうことが多いらしい。というかニコルと目を合わせて話すことができる数少ない女性がカタリナなのであった。ニコル関連のエピソードは原作でも外れがないので、是非とも読んであげて欲しい。おそらくアニメで受ける印象とは少しばかり異なっていくはずだ。

アランとメアリと過ごす夏休み

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

アラン王子の演奏会も開催される社交界にお呼ばれしたカタリナ達。残念ながらマリアは貴族ではないので参加できない。ドレスも持っておらずマナーも学んでいないため仕方がない。

会場にはアラン王子のファンである令嬢が多いようだ。素晴らしい外観と、素晴らしい音楽の才能を持ったアランは、やはりモテモテであるらしい。アニメではそんな彼の演奏を、キラキラとして表情で見つめるカタリナのシーンが挿入されている。個人的にはアニメで一番評価したいシーンである。「この顔を見るためにもアランは演奏してるんだな」と思うと、アランの恋路を応援したくなる。

一方メアリはというと、アランが自らが抱く恋心に気付きそうになることを必死で妨害しようとしていた。メアリからアランに対する恋心がそうさせている……という訳ではなく、単純にライバルを増やしたくないからという理由である。彼女の腹黒さはここまで来ると清々しい。今後とも頑張って欲しい。

シリウスと過ごす夏休み

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

シリウスも侯爵家の子息として参加している。やはりモテモテであられるようで、アプローチというものは相当にあるのだろうことは、女性に囲われているシーンからも想像できる。

そして今回も彼に関する不穏なシーンが挟まれる。

「誰か気になる方がいらっしゃるとか?」という貴族達の世間話としては、まぁ、普通の内容である。というか婚約が決められないと語っている時点で、そのような推測をするというのは、至って普通のことだろう。

そこで咄嗟の二の句が継げないシリウス。そんな彼の行動の意味が分かるのは、もう少し後になりそうだ。

その後、シリウスの背景にいる女性達の周りに黒い靄のようなものがかかっていくようなシーンが挟まる。この意味というのもまたいずれ。

宿題と過ごす夏休み

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

宿題は夏休みの友であり、もはや夏休みといえば宿題といっても過言ではない。何も書かれていない白紙のノートは、夏の様式美を感じさせてくれる。最終日なので、これから徹夜が始まることが確定した。

まぁ、カタリナが好きでもないことで徹夜などできるはずもなく、あっちゃんの夢を見ながらの寝落ちで幕を閉じていく。彼女が学校でどのような目に遭うのかは、想像で補っておこう。

最後に

次話からはオリジナル展開になっているという話を聞き、この記事の構成をどうしようか真剣に思い悩んでいます。まぁ、原作の知識をフル動員した記事を書くと思いますので、その時はよろしくお願いします。

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