工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

【漫画】ザ・ファブル(3) 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

※ネタバレをしないように書いています。

プロやからな――

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作者:南勝久

試し読み:ザ・ファブル (3)

ざっくりあらすじ

仕事を始めるために、人生で初めて履歴書を書き、人生で初めての面接を受けた――。その手応えは思いのほかあるのであった――。

感想などなど

若頭に頼まれる形で、一通りの犯罪を犯したレスラー風の男を一瞬で無力化した佐藤。疑っていた訳ではないが、彼はやはり本物だった。そのことを認めた若頭は二度と彼を巻き込まないと誓う。

第二巻の結末はこんな感じだ。

第三巻からは再び日常に戻っていき、彼が大好きな芸人ジャッカル富岡が、『日替わりで抱く女を決めるために愛人を複数人こしらえる男と、その男の愛人の一人に恋をした男の話』という良く分からないけれども先が気になるドラマに出演していたこと――つまり芸人として俳優業という新しいことに挑戦している姿勢に感動し、自分も新たに仕事を始めることを決意する。

そのために必要なのは、まず履歴書を書くこと。ただ本人には真っ当な経歴などないので、適当な名前の学校と会社を記載。それによると、佐藤明は東京の中学を卒業後にいきなり広島の運送屋に就職――その後、九州と名古屋の運送屋を点々とした……ということになった。

特技の欄に「殺し」と書くわけにもいかないので「車の運転」

趣味の欄に「拳銃の掃除」と書くわけにもいかないので「ジャッカル富岡」

古着屋とかライン工場のバイトの面接に臨むも、あえなく撃沈。エイプリルフールが誕生日であること、趣味欄に書いたジャッカル富岡のウケはかなりよかったが、それ以外の受け答えは残念だった。

そうして点々とした暁に、第一巻で鼻血を出して泣いていた佐藤に、ハンカチを貸そうとしてくれた女性・ミサキの紹介で、名刺やチラシのデザインを行う狭い会社・オクトパスに就職することに成功。

ただ時給は八百円。伝説とされている天才殺し屋が時給八百円でこき使われる……佐藤は気にしていないようだが。

 

そんな中、佐藤がお世話になっている組の若頭は、小島という男が出所してきたことで慌ただしくしていた。この小島という男は、街中でたまたま佐藤を見かけ、気にくわない顔と感じたようだ。

この小島という男が厄介なことを引き起こすフラグがビンビンに立っている。

また、クロという若頭の部下。佐藤が殺し屋ということを知る数少ない彼は、佐藤という男に憧れ、何とかして彼の弟子になりたいと画策する。

彼もまた厄介なことを引き起こすに違いないことは想像するまでもないだろう。

佐藤が入った会社オクトパスの従業員の一人は、同僚であるミサキを盗撮、ストーカーまでする変態であるということを瞬時に見抜いた佐藤。彼にバレぬように、その行為を妨害する佐藤の行動は優しさによるものなのかは定かではない。

とにかく、その変態も佐藤の平穏を脅かすことはなんとなく分かる。

平和に思える中に、爆弾が散らばっている。彼がこれからも平和な時間を過ごせることを願うばかりだ。

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

【漫画】新米姉妹のふたりごはん3 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

※ネタバレをしないように書いています。

姉妹の新生活

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作者:柊ゆたか

出版:電撃コミックスNEXT

試し読み:新米姉妹のふたりごはん 3

ざっくりあらすじ

父が再婚し、急に妹ができた。食べることが大好きな姉・サチと、料理が大好きで無口な妹・あやりの二人による美味しい匂い漂う生活は始まったばかり。

「クレームブリュレ」「マカロン」「鹿肉のロティ」「生春巻き」「アイスクリーム」「ローストチキン」

感想などなど

「クレームブリュレ」

新米姉妹がガスバーナーを買いに行くという料理漫画とは思えない導入で始まっていく本作。読み進めてみれば、ガスバーナーもお洒落なものがあるということ、あれば料理で一工夫を加える際に便利ということを学ぶことができた(〆鯖とか、焼き豚をさっと炙ったりとか)。料理好きを自称する女子には、ガスバーナーをプレゼントするというのも一考かもしれない。

さて、そうして購入したガスバーナーを使って作る最初の料理は、クレームブリュレというお菓子である。

作り方は超簡単。第二巻でサチが一人でも作れるようになったプリンに、グラニュー糖と粉砂糖をかけてバーナーをを使って炙って焦がし、五分ほど冷やすだけ。それだけでパリッ、とろっのプリンが完成する。

……喰いてぇ。

 

「マカロン」

あやりのことをほとんど知らないということに思い悩むサチ。そんなサチを優しく諭し、「お互いのことは少しずつ知って行けば」「家族なんだし」と声をかけてくれる友人・絵梨のロッカーにラブレターが入っていたのだ。

この情報化社会において、ラブレターは絶滅危惧種だと思っていたが、生きていたんだな……などというブログ主の的外れな感想は置いておくとして。サチは「今後は一緒にご飯を食べてくれなくなる! それは嫌だ!」というこれまた不思議な感想を抱いているようだった。

どうやら絵梨に彼氏ができたら、自分よりも彼氏のことを優先するようになって、それにより一緒にご飯が食べられなくなるけどそれは嫌だ……ということらしい。頭の回転が速いんだか遅いんだか。

そんな自分の思いを伝えるため、あやりの協力でマカロンを作り始めたサチ。このマカロンというのが、作るのがかなり手間なようだ。しかし無事にサクッ、ふわっなマカロンが完成、絵梨にも彼女の思いは通じただろう。

この作品はゆるーい百合が分かりやすい構成で描かれていて、それが本作の魅力だと個人的に思っている。この話はその王道を貫いて、絵梨のことが可愛らしく見える内容であった。

 

「鹿肉のロティ」

ロティとは高温で一気に肉を焼く調理法、ということをこの漫画で学んだ。やはり一人暮らしでせせこましく料理を作る程度では、このような知識は身につかないのかもしれないと思案する今日この頃である。

ちなみに鹿肉を、ブログ主は食ったことがない。調べて見ると、通販で買うことができるようだ。「脂っこさのない牛のおいしい赤身肉ってかんじ!」というサチの感想や、「牛のヒレ肉に似てますよね」というあやりの感想を読む限り、下手な安い牛肉よりも旨そうに聞こえてくる……今度、買ってみるか。

そんな鹿肉は、猟師であるあやりのおばさんが、血抜きから冷却まで済ませた持ってきてくれたところから始まっていく。このおばさんが、美人で良いキャラをしているのだ。しかも姪であるあやりを心配して、鹿肉をお土産に様子を見に来てくれているというのも嬉しい話だ。

そんなおばさんを通じて、あやりのことを知り、さらにあやりとの距離が近づいたサチ。そういったストーリーにも注目である。

 

「生春巻き」

 生春巻きとは、専用の皮で野菜や肉などの食材を巻いて食べる料理である。正直、コンビニの弁当くらいでしか見たことのない料理なのだが、この漫画を見ると身近に感じることができるから驚きだ。

理由はこのエピソードの大半が、鮮度の良い食材を選ぶために妹が姉に色々教えていくことにページを割いているからなのではないかと思う。それらの情報は、生春巻きを作らないにしても、すぐにでも役に立つ情報であるからだ。

そうして選ばれた食材が、手際よくカットされ、生春巻きの皮に巻かれて完成するというシンプルさ。それに加えた一工夫により、さらに美味しさを増していくという料理漫画の醍醐味まで詰まっている。シンプルに分かりやすく面白い話であった。

 

「アイスクリーム」

一応、今の季節は、雪が降り、吐いた息が白くなる冬である。

だがたとえ家の外が寒くとも、炬燵を出せば温かい。そんな炬燵の中で喰うアイスは、これ以上無いほどに贅沢であり、かつ旨い。今回は姉と妹の二人でアイスクリームメーカーを引っ張り出し、最高のアイスを作ろうと奮闘する。そうして出来上がったアイスは、売られていてもおかしくないほどのクオリティであったことは言うまでもない。

二人の微笑ましい空間と相まって、読者の心はホッと温かくなる。そんな話であった。

 

「ローストチキン」

え? ローストチキンって家で作れるの?

それがこの作品を読んでの感想であった。クリスマスを目前に控え、互いに贈るプレゼントを考えていた二人の姉妹が、クリスマス当日になって二人並んで作るローストチキン。中をくり抜いて現れたチキンの中にリゾットを突っ込んで、手足をタコ糸で縛られて「あっ、これがローストチキンだ」と分かる形になる。そして焼くこと一時間。

完成したローストチキンのこれまた旨そうなこと。「鶏のとこっむちむち!」「おいしーっ!」という分かりやすいサチのコメントに微笑ましさを感じつつ、互いに互いのことを考えて決めたプレゼント交換。

二人とも考えていたことは同じであって、それはまるで長い時を一緒に過ごした本当の姉妹のようでした。二人のこれからが幸せでありますように、と願わずにはいられない。

微笑ましい話であった。

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

【漫画】ディーふらぐ!3 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

※ネタバレをしないように書いています。

ハイテンションラブコメギャグ

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作者:春野友矢

試し読み:ディーふらぐ! 3

ざっくりあらすじ

船堀や子王という我の強いキャラが加わったかと思えば、芦花の闇の袋を巡って、学校全体を巻き込んだバトルが勃発。妙にハゲの多いモブ達と揉みくちゃにされながらのゲーム対決の決着は如何に!?

感想などなど

魔の十四楽団との死闘(?)を乗り越えた風間一派は、学内でも有名な不良に……なれるはずもない。なにせ捕まった挙げ句、ゲーム制作部(仮)の女性陣に助けられたのだ。今後、某任天堂ゲームのピ〇チ姫呼ばわりされることになるのだが、それはもう少し誘拐される経験を積んでからの話である。

そして、ゲーム制作部と馬鹿みたいなゲームをする日常が戻って来たかと思えば、新キャラが二人? モブも含めれば結構な数が追加される。

例えば。

風間と同じくゲーム制作部(仮)の部員になっているはずの男・子王。風間よりも早く入っていたようだが、実家である大財閥・子王グループの経営を手伝っていたとかで、あまり学校に来ることはないようだ。

だが、そんな実家の力と、容姿から運動神経から学業に至るまでの全てが優れており、毎年のように大量のチョコレートを貰っているらしかった。そんな彼はどうやら芦花さんにホの字であるらしく、度々彼女にアタックする様子が確認できる。それを嫌がり気配を消したり、猛スピードで校内の廊下を走る芦花さん。学校の裏ボスとまで言われている彼女をここまで追い詰める男がいるとは驚きである。スペックの高さが伺える。

だが、そんな彼には重大すぎる欠点がある。川原中と同程度のドMにして、狭い所をなによりも愛し、とくに芦花の持っている闇の袋を被せられることを至高の喜びとしているのだ。袋を求める様は一種の狂気である。

そんなヤベー男キャラに加え、まともすぎる本シリーズの良心も新キャラとして加わる。

名前は船堀。非公式で開催された嫁にしたいランキング一位。炊事、洗濯、家事に至る全てが完璧にこなせる美少女。毎朝、学校に一番に登校し、クラスの掃除から花の水替えをこなしているという天使。後々、聖なる力が強すぎるということまで判明する。

第三巻において天使のコスプレをさせられるのだが、それを当たり前のように受け入れて、何だかんだで楽しんでくれる様がとても可愛くて好きだ。

そんな天使と変態以外にも、新キャラは多いのだが、多すぎるので語るのは辞めておこう。『テキサスチャーシュー室見』『ザ・フィフティーフィフティー藤崎』『あだ名がない赤坂』『ワンダフル姪浜』『24禿夜行が一人 大堀』『禿げじゃない天神(自称)』『声はいいけど肺活量は雀の涙 稲城さん』というように名前だけ列挙しておく。

カオスであることが分かっていただけたら幸いだ。

 

 

第二巻のストーリーを大まかに説明すると、上位に列挙したキャラクター達(船堀を除く)と風間と芦花と高尾を合わせた面々が、船堀さんがアイロンがけした芦花が持っていた闇の袋を賭けたゲーム大会に挑む……という内容である。

ゲームに優勝した者だけが、闇の袋を手に入れることができるという手に汗握る戦い(?)が幕を開け、順調に勝ち上がってくゲーム制作部メンバーと高尾とモブ達との絡みが面白い。

そんな第二巻の見所としては、高尾の胸が大きすぎてジャージが弾けるチャックボーン事件や、船堀天使のコスプレ事件、そもそも大会の優勝賞品を誰も知らなかった事件、司会が巨乳の高尾に恨み辛みを吐く事件、など上げていけばキリがない。

特にブログ主的な見所としてあげたいのは、汚い手を使ってまで勝つことに執着する芦花と風間だろう。真剣勝負と口で言っておきながら、全く真剣じゃない相手の裏を掻く戦略が光る。

 そうしてずるい手で勝ち上がった芦花と風間の決勝戦は必見。優勝者を決める最後のゲームは王様ゲーム! 割り箸二本の中から赤い印が付いたものを取った方が勝ち、というシンプルなものだが、ここでも風間の狡猾さが発揮されていく。

予想外の頭脳戦(?)と伏線(?)に戸惑いが隠せない読者であった。

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

【漫画】熱帯魚は雪に焦がれる1 感想

【前:な し】【第一巻】【次:第二巻】

※ネタバレをしないように書いています。

鏡に答えはない

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作者:萩埜まこと

試し読み:熱帯魚は雪に焦がれる 1【電子特別版】

ざっくりあらすじ

都会から海が近い田舎の高校に引っ越して来た天野小夏は、なかなか周囲に馴染めずにいた。そんな中、水族館部の唯一の部員である帆波小雪と出会った。心に抱えた寂しさを紛らわせるように、互いに惹かれ合って……

感想などなど

海に近づくと、潮の香りが濃くなってすぐに気付くものだ。海にはたくさんの人がいる。夏は水着を着た人達がビーチを埋め尽くし、ビーチを離れた堤防には糸を垂らして魚がかかるのをまつ釣り人が座っている。

今回はそんな海に近い田舎を舞台にした物語となっている。

ということは海をテーマにしているのかな? タイトルに熱帯魚とか入っているし。

かと思いきや、本作はかなり変化球的なとある部活を舞台にして、物語が展開されていく。

その部活の名は、『水族館部』

愛媛県立長浜高校に実際にある部活らしく、学校が一丸となり立派な水族館を月一で公開しているようだ。作者である萩埜まこと氏は、実際にその様子を取材させてもらい、その活動されている姿勢に感動して本作を書くに至ったようだ(第一巻、後書きより)。

 

そんな水族館部のある高校・七浜高校に、父の海外への転勤をきっかけにして、親戚の家に預けられるような形で東京から引っ越して来た天野小夏。その顔にはかなりの不安が浮かんでいる。これから一人で新しい環境に放り出される不安が伺える。

そんな彼女が日曜日に、これから自分が通うことになる高校の前を通りかかると、なにやら人が大勢おり賑やかにしている。門に立てかけられた看板には「水族館」と書かれており、それを見た小夏は、案内の人に無理やり連れて行かれる形で「水族館」を見ていくことになる。

そうして大きな水槽に入れられて魚を見ていくと、一つだけ何も入っていない水槽を見つける。それを見ていると、

「サンショウオ お好きなんですか?」

と話しかけてくる女子高生がいた。斬新なナンパ……という訳ではなく、彼女が水族館部唯一の部員にして、本作における ”もう一人の主人公” 帆波小雪である。クールで美人な彼女に声をかけられてドギマギしつつも、彼女から水族館部のチラシをもらい、月一で学校に水族館を開いているという説明を受け、「また遊びに来て下さいね」と言って貰えた。

この出会いが、彼女の高校生活を彩っていく運命的なものだったことは言うまでも無い。

 

帆波小雪というのは、成績優秀・スポーツ万能・美人・高嶺の花ということで学内でもかなりの有名人であるらしかった。多くの男達が彼女をデートに誘い、散っていたことが描かれていく。

しかし。そんな彼女は完璧すぎて、近寄りがたいとも思われていたようだ。

だが、小夏が彼女に対して抱いた感想はかなり違っていた。

釣った魚を狙う猫と追いかけっこする先輩。その隙を狙って魚を奪っていくペリカンを怒る先輩。部室にてサメのジョーに「昨日恥ずかしいところみられちゃったなー」と話しかける先輩。小夏との間接キスで照れまくる先輩。

クールとは程遠いどこか抜けている感が、はっきり言って可愛い。

そんな彼女が、たった一人で切り盛りしていた水族館部へ入ることを決めた小夏。そうして後輩が出来たことを喜び、にへーとした笑みを浮かべる先輩もまた可愛いのであった。

 

この作品では井伏鱒二の小説「山椒魚」が、小夏の心情を表す表現として使われ、二人の距離を近づけるギミックとしても機能している。

そもそも山椒魚という話は、自分の身体が成長しすぎて外に出られなくなった山椒魚と、その山椒魚に閉じ込められて一緒に外に出られなくなったカエルという話だ。教科書にものっていたりするので、知っている人は多いのではないだろうか。

小夏はそんな山椒魚を授業で習い、「小雪先輩は山椒魚のようだ」と感じだ。そして、「いっそ蛙になれたらいいのにな……」と小雪先輩に言う。独りぼっちの山椒魚と、山椒魚に閉じ込められるカエルという関係性を、小夏は心の片隅で望んだ。その時、先輩はその言葉の真意を理解できずにいた。

だが、そのことにはいずれ気付くだろう。気付かないといけないだろう。

こういう先を読ませる展開が上手い。そんな罠に引っかかった読者の一人はブログ主である。二人の距離が縮まっていく過程や、感情の起伏を丁寧すぎるくらいに描いて、ラストも微笑ましさと緊張感が両立したような締めで幕を閉じる。

結論。二人が可愛かった。

【前:な し】【第一巻】【次:第二巻】

【漫画】嘘喰い10 感想

【前:第九巻】【第一巻】【次:第十一巻】
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

至高の騙し合い

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作者:迫捻雄

試し読み:嘘喰い 10

ざっくりあらすじ

ラビリンス二回戦でわざと負けて屋形越え惨敗のアリバイを盗ませた貘。それに対して、さらなるラビリンス勝負を望んだ両者は、ラビリンス三回戦へと突入する。

感想などなど

「嘘喰いは間違いなく負けるぞ」

立会人・門倉のこの台詞通りに、嘘喰いが負けるとは思わなかった。彼の不適な笑み、不遜な態度、そのどれもが彼が勝つことを示しているようにしか見えなかった場面からの嘘喰いの負けは完全に予想外だった。

そして嘘喰いは、負けることで屋形越え惨敗の日のアリバイを奪わせたという事実が明らかになった時、この漫画は傑作だと確信した。門倉の台詞のミスリード、負けることで相手に屋形越え惨敗を押しつけるという発想。興奮冷め止まぬまま、第十巻を読み進めていくこととなる。

現状の振り返りをしよう。

第一回戦は貘の勝利。大金をせしめた。

第二回戦は雪井出の勝利。しかし、屋形越え惨敗の思い出が雪井出のものとなった。

つまり雪井出はボロボロである。このままだと大金を払った上、屋形越えで負けたのは自分ということになって、いつ殺されるか分からない日々を過ごすこととなる。

このままでは引き下がれない。

それは貘としても同じであるらしかった。二人はもう一回戦することとし、貘は負けたら屋形越え惨敗の思い出を受け取ることを約束し、雪井出は10億と梶が賭けたアリバイとラビリンスに関わっている警察関係者の名前を出すこととなった。

雪井出の足下を見て、絞り出せるだけの利益を得る機会を作り出した貘。

この三回戦は絶対に負けられない。

雪井出がこれまで勝ってきたのは、ラビリンスを作るために壁を書き込む紙に仕掛けがあったのだ。油性ペンで書き込むと、その内容がもう一方の紙に写り、雪井出は相手の書いた迷宮が分かるように細工が施されていたのである。

第一回戦はそれを利用し、貘が勝利した手口を雪井出は推理する。そこで同じ手は使われないように手を打ち、絶対に勝てる場を作り出した。雪井出もほくそ笑む。

だが、その上を行く貘の策。雪井出も思わず、

「す……凄い……」

「微かな疑念も持たれぬように徹底した手口……」

とべた褒めするほどだ。是非とも鮮やかな勝利を見て欲しい。

そんな賭け事勝負も楽しいが、それと同じく展開されていく雪井出の秩序を何よりも重視するようになった過去も描かれていく。なんと彼の父もラビリンスにてアリバイを奪い続け、さらに上の人間の身代わりで罪を被ったという狂人だということが明かされた。

今の彼を突き動かすのは、秩序を重んじる父の姿。迷宮を解いていくことで秩序を正していくことができるという信念であった。そんな彼に対して突きつけられる貘の言葉が最高だった。

この勝負、一人の男を救うための戦いだったような気がする。

 

そうして勝利した貘の前に、新たな敵が二人現れる。

一人は天真征一警視庁。もう一人は密葬課に所属する屈強な男・箕輪。

二人は雪井出が負けるということを予見し、負けた際の損益である10億を ”殺してでも” 回収するために来たらしい。勝ったのに殺されたのではたまらない。そんなピンチな状況に駆けつける元廃ビルの悪魔・マルコと、金を守るために中立の立場として戦ってくれる門倉。

拮抗した状況下、新たな賭け事をすることで場を収めようという提案に乗って、

マルコと貘 VS 天真と箕輪

という対決が幕を開けた。場所は警視庁の地下にあるという迷宮……ラビリンスの次に迷宮とはお洒落というか何というか。肉弾戦と頭脳戦が上手く噛み合ったゲームが見られそうで期待に胸が膨らむ幕引きであった。

【前:第九巻】【第一巻】【次:第十一巻】
作品リスト

【漫画】ジャンケットバンク3 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

※ネタバレをしないように書いています。

鏡に答えはない

情報

作者:田中一行

試し読み:ジャンケットバンク 3

ざっくりあらすじ

村雨礼二とのゲーム「サウンド・オブ・サイレンス」に決着。音楽を何度も聞いて、耳から血を流す真経津と、一度も音楽を聞かずに0秒を引き続けた二人の内、勝者はどちらか? そして間髪開けずに次のゲーム「ジャックポット・ジニー」が……。

感想などなど

ゲーム「サウンド・オブ・サイレンス」についての説明は二巻の感想で書いているので省略させていただきたい。とにかくこのゲームで重要なのは、10分1秒を引かせることだ。

逆に言ってしまえば、例え10分間音楽を聞いたとしても、その次の1秒を引かせてしまえば勝ってしまう。現状、真経津が3分を三回引いて、合計で9分間も聞いてしまった。その影響で耳から血を流し、鼓膜も破れたのか音が聞こえなくなっている。

真経津の体調は最悪。彼の後ろに立っている御手洗の挙動から、真経津がどこに0秒をセットしているのかを読み取って、これまで一度も音楽を聞いてこなかった村雨礼二はあることに気がつく。

「御手洗は0秒のセットされた場所だけを知らされている?」と。

つまり真経津はずっと礼二に ”わざと” 0秒を引かせていたのだ。

その目的を考える。もしや、音楽を聞かないと分からないギミックがあるのではないか? そのギミックに気がついて、罠に嵌めようとしているのではないか? と。

なるほど。こういったギャンブルゲームではお約束の展開である。ゲームで使われていたアイテムを利用して、ルールに抵触しない形で相手を罠に嵌める。村雨がやった0秒のカバーの中に、3分のレコードを入れるというような感じだ。

そこで礼二は慎重になる。真経津としては10分1秒目を引かせれば勝ち。これまで相手の細かな挙動から心を読み取って来て、そのことを見越して ”わざと” 0秒を引かせてきた男はこれからどんな罠を仕掛けてくるのか。

そんな思考を真経津は利用した。

「鏡に答えはない」

俺ならこうする、という考えで出した答えは、真経津の裏を書いたことにはならない。相手の心を打ち砕く見事な勝利であった。

 

そして御手洗のターンに移る。すっかり真経津信者となってしまった訳だが、真経津の最期が見たいというのが彼の行動原理なのだから、かなり変態である。その熱意を遺憾なく発揮して、次の勝負を取り付けた。

ゲーム名は「ジャックポット・ジニー」

6戦を1ラウンドとした3ラウンドマッチの対戦型カードゲームである。

両プレイヤーにはそれぞれ6枚の手札が配られる。内訳は下記の通り。

「黄金」のカード……使用した場合には自らの金貨を4倍に増やす(6枚中4枚)

「盗賊」のカード……敵の金貨の半分を奪う(6枚中1枚)

「魔人」のカード……相手の「盗賊」を無効化し、逆に相手の金貨を90%を奪う(6枚中1枚)

それらのカード制限時間内に同時に出し合って、金貨を「盗賊」や「魔人」を使って奪い合い、最初に渡された1枚を増やしていくことが目的のゲームである。

プレイヤーはそれぞれ巨大な砂時計のような器に入れられ、上に示したカードを出し合って金貨を奪い合う。その後、手に入れた金貨は頭上のポット(砂時計でいうところの上の部分)に入れられていく。敗者はその貯まった金貨が頭上に降り注いで死ぬという仕掛けだ。

何とも悪趣味。しかもそのゲームには観客がいた。彼・彼女らはギャンブラーのどちらかが死ぬことを今か今かと待っているのかと思うと、気色が悪い。

そんなゲームの相手は芸術家を自称する男・雛形。彼が心を砕かれた時、どんな顔をしてくれるのか楽しみな自分は性格が悪い説が有力です。

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

【漫画】ジョジョリオン19 感想

【前:第十八巻】【第一巻】【次:第二十巻】
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

「呪い」を解く物語

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作者:荒木飛呂彦

出版:集英社

試し読み:ジョジョの奇妙な冒険 第8部 モノクロ版 19

ざっくりあらすじ

新ロカカカの枝を岩人間プアー・トムが手に入れてしまった。その枝を巡っての争いは激化し、常敏もその隙を狙う。戦いの決着はいかに!

感想などなど

 

第十八巻の感想にて、岩人間プアー・トムのスタンド「オゾン・ベイビー」の説明を『埋められた周囲を加圧して、ゆっくりとダメージを与えていくという能力』というように書いているが、これは正しくない情報であった。申し訳ない。

正しくは、『スタンドの射程範囲にある閉鎖された空間の空気を加圧する』というものである。ジョジョリオンの岩人間のスタンドは、かなりややこしい条件式のバトルだったが、これは……まぁ、分かりやすい方なのではないだろうか?

空気による加圧となると避けようがない。常敏のとっさの機転により、果樹園に火を放ったことで来ざるを得なかった岩人間プアー・トムと、豆銑・定助のバトルが幕を開ける。

このバトルを一言で説明するならば、『張ったりと根性の勝負』である。

枝を手にしたプアー・トムに対して、定助のシャボン玉に入って近づき、伸ばしたワイヤーで首の骨を折る力で締め付ける豆銑。直接触れている相手は、より強力に加圧できるらしく、首を締め付けられながらも加圧により攻撃する。こうして互いに顔を歪ませながら血反吐を吐くという先に死んだ方が負けという勝負になる。

そこに助けに入ったのが、同じくシャボン玉に入って距離を詰めてきた定助だ。しかし、近づきすぎては彼も豆銑と同じような目に遭うことは明らか。何とか距離を取ったまま、彼を攻撃する策を考える。

そこで取り出されたのが、果樹園に実っていたイチイの実……の種である。どうやらイチイの種には毒性があるらしく、ワイヤーで締め付けられ動けないプアーの口に、その種を突っ込む。

毒は瞬時に効力を出し、苦しみ出すプアー。

しかし先に力負けしたのは豆銑であった。加圧で顔がひしゃげている……死んだよね、これ……まぁ、ジョジョだしなぁ……。

毒で苦しみながらも逃げ出すプアーを追いかける定助。この追いかける過程で、枝を持って有利なはずのプアーが必死に命乞いをし、「カネをやる……」「そこで寝てろよォォォーッ!」と無様な姿が面白すぎる。

ドドドドドドドド

というジョジョ特有の効果音と共に、覚悟を決めた定助が格好いい。

そんな戦いの末に枝を手に入れたのは……。

 

枝を手に入れた人物が判明するのが、この第十九巻における一番の盛り上がりだと思うのでネタバレを避けるために断言は避けるとして、舞台は病院へと移る。

そこでは常敏の妻である東方密葉は、自身の胸を素晴らしい形にするために病院で治療して貰った過去が明らかになる。しかしその代償として、歯が岩のようになってしまった。それを治療して貰うと、次は頭皮が岩のようになってしまい、それを治療して貰いに来たようだ。

もう察することは容易だが、彼女を治療した羽伴毅は岩人間で、ロカカカの実を治療に使っていたようだ。そんな彼が密葉に提示した治療費は二億円。これまでの胸や歯に関しても、それくらいの治療費は請求されていたのかと思うと、常敏が不憫に思えてきた。

そんな彼女に対して、「あなたは健康体なんですよ」と念を押す羽伴毅が印象深い。

そうして治療を受けて、足が岩のようになってボロボロと崩れていく密葉を、偶然にも目撃してしまった康穂。急いで定助に連絡し、ロカカカに関する何かが病院にあることを話す。

そうして病院にて、羽伴毅と定助達のバトルが始まっていくことになるのだが、それは二十巻からのお楽しみにしておこう。岩人間らしい価値観が光る話であった。

【前:第十八巻】【第一巻】【次:第二十巻】
作品リスト

【漫画】鬼滅の刃9 感想

【前:第八巻】【第一巻】【次:第十巻】
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

絶望を断つ刃となれ

情報

作者:吾峠呼世晴

試し読み:鬼滅の刃 9

ざっくりあらすじ

音柱・宇髄天元に連れられて、鬼が潜むとされる遊郭の調査に乗り出した炭治郎達。先に調査にしていた天元の妻であるくノ一三人が消息を絶っていたのだが、なかなか鬼の消息は掴めない。そんな中、花魁達に鬼の魔の手が忍びよる……。

感想などなど

炎柱・煉獄さんが無限列車の乗客全員を守って死んだ。その後、鬼殺隊メンバーとして活躍している様子が描かれていくのだが、上弦以下の雑魚鬼との戦闘は描写すらされずカットされていく。

つまり、ここから先は全て上弦の鬼との戦闘である。

上弦の鬼……鬼殺隊で最も強いとされている柱ですら負けてしまう。ここ百年は顔ぶれが変わっていないという奴らである。煉獄さんが戦った上弦の参・猗窩座には、炭治郎達は手も足も出なかった。

その頃よりも成長した炭治郎達の刀は、果たして上弦の鬼の首に届くのか?

と、その前に。まずは人間社会に上手い具合に溶け込んで、姿を隠している上弦の鬼を見つけ出すことから戦いは始まっていく。その上弦の鬼の尻尾を掴んだとして、音柱・宇髄天元に連れて行かれた先は、善逸が喜びそうな遊郭であった。

 

このブログに来た小学生、中学生の方はブラウザバックしてお父さん、お母さんに「遊郭って何?」と無邪気に聞いてみよう。大変に困った表情を見ることができるはずだ。

そう、遊郭というのは大人が子供に聞かれて困る場所である。

おめかしをした女性が男性を楽しませる場……大人の遊園地……まぁ、色々と遠回しな表現が聞こえてくる。炭治郎はそもそも遊郭という場所を知らず、伊之助も言わずもがな。善逸は想像通りに楽しみに期待胸膨らませているらしい。

そこに鬼が潜んでいると睨んだ音柱・宇髄天元。

大抵の人は柱に良い印象は抱いていないと思われる。蜘蛛の鬼を倒した後、鬼を連れていた炭治郎を処刑しようとしていた柱達の様子が思い浮かぶからだ。ちなみに、その時の音柱は「派手に首を落としてやる」と意気込んでいた。

しかし、読み進めていけば音柱・宇髄天元のことが好きになっていく。なにせ滅茶苦茶いい人なのだ。

「いいか? 俺は神だ! お前らは塵だ!」

「まず最初にそれをしっかりと頭に叩き込め! ねじ込め!」

「俺が犬になれと言ったら犬になり猿になれと言ったら猿になれ!」

「猫背で揉み手をしながら俺の機嫌を常に伺い全身全霊でへつらうのだ!」

九巻冒頭からいきなり印象に残る自己紹介をしてくれる天元さん。暑苦しい人だな……と思うかもしれないが、最後には好きになることをお約束しよう。

そんな彼が遊郭に鬼が潜んでいると睨んだ理由は、自分の婚約者であるくノ一を三人、遊郭に忍び込ませて、定期的に送らせていた文通が途絶えたから。彼女達は決して弱くない、にも関わらず三人が同時に連絡が取れなくなった。そのことを心配し、急いで適当な部下(炭治郎達)を引き連れて助けに向かった訳だ。

そして遊郭を調査するために、炭治郎達に女装させて遊郭の遊女として働かせようとする天元さん。ひょっとするとアホなのかもしれない……と思ったら上手くいくのだから良く分からない。炭治郎は炭子ちゃんとして、善逸はブスとして、伊之助は美女として潜入することに成功(?)する。

そうして調査していると、出てくる出てくる鬼のいるような痕跡。匂いや音や感覚で、この遊郭のどこかにヤバい鬼がいることが伝わってくる。しかし、誰が鬼なのかまでは分からない上手い痕跡の隠し方をしている。

そして満を持して現れる上弦の鬼が、遊郭に潜んでいるに相応しい美貌を持っているのだから、これまでの鬼とは全く違った緊張が生じることとなる。美しき人の造形から繰り出される攻撃、第一発見者である炭治郎を苦しめるスピードに威力は上弦の鬼と呼ぶに相応しい。

 

遊郭に潜んでいた上弦の鬼の強さを見せつける場面であるが、炭治郎の成長に見せ所でもある。その強さのパワーバランスの見せ方が、この漫画は非常に上手く感じだ。炭治郎があっさりと勝つようでは上弦の鬼としての威厳は保てない。逆にあっさりと炭治郎が死ぬようであれば「これまでの修行は何だったんだ?」ということになる。

力が拮抗しているようでいて、上弦の鬼の威厳を落とさない理由付けが上手くできている。主人公もしっかりと活躍しつつ、他のキャラクターもそれぞれの役割を演じて活躍するストーリーの構成は見事だと思う。

改めて良い漫画だと思った。

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作品リスト

【漫画】ザ・ファブル(2) 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

プロやからな――

情報

作者:南勝久

試し読み:ザ・ファブル (2)

ざっくりあらすじ

ボスからの指令でペットを飼うことになった佐藤兄妹。しかし外出した先々で、彼らを街から追い出そうとする若頭たちに絡まれてしまう。プロとして、人を死なせずに対処するが――

感想などなど

ファブル達は殺し屋のプロであるということは、第一巻で十二分に伝わっただろう。だがその認識は甘い。彼がプロたるゆえんを語るにはまだまだ足りない。

例えば。

ファブルはベットで眠らない。ベットにはまくらなどの上に布団を被せて、人が眠っているように見せかけ、自身は風呂で眠っている。寝込みを襲ってきた敵が、一番最初に狙ってくるのがベットだろうから、警戒する場合はベットに寝ているように偽装した上で別の場所で寝るというのは何かで聞いたことがあるが――常在戦場、常に警戒を欠かさないのだろう。プロだからな――

体力だってそこら辺の輩には負けない。ペットを買うために訪れたホームセンターで、第一巻でファブルを泣かせたキックの人に追いかけられるも、ぶっちぎりで差をつけて走って逃げていく。しかも三階くらいの高さがある橋から、無傷で飛び降りるという荒業まで見せつけ、そのままの足でホームセンターに戻ってくる――やっぱりプロだからな――。

元レスラーの強面の男――これまであらゆる犯罪を犯してきた輩――を五秒で無力化させてしまった。プロやからな――

そんなヤベー奴だと見抜き、街から追い出そうとした若頭は有能なのかもしれない。だがやり方がまずかった。

そんなことがされていると知っていながらも、普通にホームセンターでシロハラインコ属のズグロシロハラインコを購入したファブル。値段はなんと19万円。殺し屋の仕事で金には困っていないのだろう。迷わず購入を決意。

最初はプロからの指令ということもあり、あまり乗り気ではないような様子であったが、インコにカシラという名前を付けて可愛がり、いつも部屋では裸で過ごしているがために陰毛をちぎり取られるファブルであった。こんなん笑うなっていう方が無理だろ――。

 

そんなファブルのキャラクターも魅力ではあるが、妹ということになっている佐藤洋子もまた、強烈な個性の持ち主である。彼女の家に仕掛けられていた監視カメラを見てシコっていた高橋は、若頭に彼女を食事に誘うように命じられる。

その話に乗った洋子は、彼の車に乗って(安い)焼肉を食べる。全く持って楽しくなさそうな様子だったが、第一巻で兄妹で一緒に入ったオシャレなバーに入ってからは様子が一変する。

どうやら彼女、酒に酔ってボロボロの男を可愛らしいと思うような性癖であるらしい。高橋にテキーラを何杯も飲ませ、呂律も視界も滅茶苦茶になって便器に顔を突っ込んで吐くような姿を愛おしそうに見つめている。

彼女との甘い一夜を期待していた高橋は、必死に意識を保とうとするのだが、時すでに遅し。それどころではない。

今後、数多の男がこの女の罠にかかり、潰されることになるのであった――。

 

この作品の独特な空気感を形作っているのが、セリフの端々に入るダッシュ――である――。この記事でも度々使ってみたが、自分の性には合っていないようだ――どうにも書きにくい――でもプロやからな――なんとかしてこの文体を模倣して見せよう――。

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