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【漫画】あかね噺2 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

落語に魅せられ

情報

作者:末永裕樹、馬上鷹将

試し読み:あかね噺 2

ざっくりあらすじ

学生向け落語大会が開催され、その審査員が阿良川一生だということを知った朱音は、自身の父親が破門された事件の真相を聞き出すべく、この落語大会に参加することに決めた。

感想などなど

落語家として生きていく覚悟を決めていた父が、一方的に破門を言い渡される現場を見ていた朱音。その事件以来、父は落語を辞めて営業として働いていた。落語家として生きていくことは叶わなかったが、一人の父親として家族を支えていくと決めた父の覚悟が自分は好きだ。

何でウチの旦那がこんな目に遭わなきゃいけないんですか‼

ずっと旦那の夢を応援し続けていた妻の言葉がとても辛い。

この事件は、朱音に大きな衝撃を与えたはずだ。学校で友人の言動を真似して見せた器用さ、父親の練習している姿を見続けてきたからこそできる基礎の基礎。朱音が父親が好きであるということは、随所から見て取れる。

そんな父親の夢が目の前でへし折られた。落語というものが嫌いになってもおかしくないと思うが、彼女はその悔しさをバネに、落語家になる道を進むことに決めた。そのために父の師匠であった阿良川志ぐまに弟子入りし、母親にも報告。高校を卒業した後に正式に弟子になるという運びとなった。

この辺り、朱音のギャル的人間性と猪突猛進な感じが組み合わさって生み出されたスピード感が好きだったりする。ちょっと思春期拗らせた面倒くさいキャラクターであれば朱音と両親が揉めるで1エピソード挟みそうな湿度感が、日本じゃないくらいカラッとしている。

そんなスタートダッシュを決めた朱音の落語家生活、第一巻では初めての高座(お客様の前で落語をすること)をやらせてもらえるも、しかし思うようにハマらない。「志ぐま一門のお奉行様」こと享二先輩曰く、朱音には「気働き」が足りないのだという。

朱音の芸は傲慢とまで言われ、下手に心が弱いキャラクターであれば心が折れてシクシク枕を濡らすシーンがあってもおかしくないが、先輩に勧められて居酒屋バイトに精を出すことに。

バイトという一見すると落語の修行からは程遠いことを経て、何かに気付いた朱音の成長を見届けていくことになる第二巻。学生落語大会というイベントの情報など盛りだくさんの第二巻について語っていきたい。

 

人にウケたきゃまずは相手を受け入れろーってね

まず相手を大事にしなきゃ

「気働き」とは何かという疑問について、作中の台詞を引用するならば上記を使いたい。これは朱音のバイト先・居酒屋「海」の店長、みくちゃんの台詞である。これだけでは分からないという方のために、享二先輩の台詞も引用しておこう。

落語に必要なのは お客さんとの対話だ

言葉を交わさずとも お客さんの目線や表情 雰囲気等から得られる情報は多い

相手の気持ちを汲み 応える事で 自分の噺に引き込む

それを可能にするのは お客さんへの意識があってこそ

YouTubeなどの動画で落語を見た気になっている方も多いかもしれない。しかし落語は話芸であり、それぞれの人を見に行くものだ。こちらが見ているだけの一方通行の落語は、本当の意味で落語を見たことにならない気がする。

そんな学びを読者は得て成長し、朱音も一緒に学んで成長していく。そんな彼女の記念すべき一席目の演目は『子ぼめ』、前回全く嵌まらなかった演目が、老人ホームというアウェイな空間でバッチリ嵌まるシーンは、彼女の成長を感じられて気持ちが良い。

ここでそんな朱音への期待を口にする志ぐま師匠の台詞を引用しておこう。

朱音はな 人を想い考え 学ぶ事が出来る子だ

そんな朱音の成長を前に、兄弟子・享二は自身が辿り着いた成長の姿を見せるための一席『三方一両損』、朱音とは全く違う道を行っていることは説明がなくとも良く分かる。徐々に熱を帯びて笑いが渦巻いていく現場の様子が、きっちり、かっちり描かれていく。

漫画の演出を駆使して演出される落語家毎の個性が、この漫画の魅力の一つだと思う。

 

学生落語選手権『可楽杯』が開催されることが発表された。

今年で二十周年というそこそこの歴史がある大会。例年の参加規定は18歳以上の短大・大学・専門学生だったが、今年からは高校生まで出場枠が広がった。その枠拡張を言い出したのが、あの阿良川一生である。

そんな大きな節目を迎えた今年、彼自らが審査員となり、さらには優勝者には自分との対談を特典にするという太っ腹ぶり。落語を広げるために尽力する姿勢は、恐ろしさすら感じる迫力がある。

そんな『可楽杯』に参加したいと意思表明した朱音。彼女の目的は一つ、優勝特典である阿良川一生との対談、そこで父親を破門にした理由を聞くこと。しかし、この大会に出るには一つ大きな問題がある。

この大会への出場資格の一つは高校生から短大・大学・専門学生までの学生であることと、アマチュアであること。朱音は入門はまだとはいえ、兄弟子・享二に同行して何度か高座で一席を演じている。それは勿論、プロとして。

そんな彼女がアマチュアの大会に出れば負けるはずがない。負けたら終わりだ。プロとして朱音の顔に泥を塗るどころか、彼女の同行を許した阿良川志ぐまも批判されてもおかしくない。

それでも朱音は、このチャンスを逃したくなかった。

そんな彼女は条件付きで出場を許された。その条件は『寿限無』だけで挑むこと。『寿限無』は誰もが知っている演目、それ故にウケない。だって全て知っているのだから。ネタバレをされた物語の面白さが半減するように、この演目でウケて勝つことの難しさは、何となく素人にも分かるのではないだろうか。

気のせいかもしれないが、バトル漫画の香りを感じた第二巻であった。

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