工大生のメモ帳

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【漫画】あかね噺4 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

落語に魅せられ

情報

作者:末永裕樹、馬上鷹将

試し読み:あかね噺 4

ざっくりあらすじ

「可楽杯」で会心の一席を演じて会場を味方につけた朱音。果たして優勝は誰の手に! そして高校を卒業して正式に弟子入りした朱音の物語は新章に突入する。

感想などなど

優勝したのは朱音だった。

あらすじで「果たして優勝は誰の手に!」などと煽ったが、文句なんて一つもでないくらい圧倒的に朱音の優勝だった。当たり前といえば当たり前、彼女は公式ではないとはいえ弟子入りしている落語家なのだ。

負けるはずがない。

それは朱音の落語を見終えた練馬家からしと高良木ひかるの様子を見て貰えば分かる。もう自分が優勝できないことが分かっているかのようだ。良い落語は演者が消えるという話が第三巻で出てくるが、漫画としてのコマからも朱音の姿が消え、寿限無の物語が当時の情景に合わせてストレートに描かれていく。

志ぐまが朱音に学ばせたかった了見――教えたことをすぐモノにしてしまう彼女が、志ぐまの期待していた通りに、自分なりに模索して答えを見つけ出すことができた。彼女はどうしても応援してしまう魅力がある。

とはいえ、そんな朱音の落語を見た阿良川一生の一言は重いものだった。

ここはお前が来ていい場所じゃないって分かってるよな?

観客達はざわついて、その言葉の真意は分からないようだが、読者は分かる。素人の大会に、プロに弟子入りして師事していた朱音が出ていいはずがないのだ。それくらい圧倒的だった。からしとひかるの二人は、それぞれ同率二位であるが、二人に対する審査コメントは褒めているようで辛口だった。

からし君はコント ひかるさんは一人芝居の要素が大きかった

その仲であかねさんは純度の高い "落語" を演っていた

落語家として、からしとひかるは所詮は素人。相手にすらなっていなかったのだ。

 

優勝者は阿良川一生との対談ができるという特典があって、朱音は怖い顔してその会場に向かった。彼女が質問することはただ一つ。

6年前 真打昇進試験で阿良川志ぐまの弟子 阿良川志ん太を破門にしたのは何でですか?

この質問を聞いた時の阿良川一生の表情は、笑っているように見えた。しかし、その後の真意を語るまでも、語っている間も、睨んだり目を伏せたりとしながら強い口調で語る。その言葉の全てに説得力がある。ただ落語の話題作りのために破門にしたのでは無く、彼には彼の落語に対する誇りがあるのだと感じた。

彼の言葉は是非とも読んで確認してほしいが、全ては次の一言にまとめられると思う。

落語を弱くするものは "阿良川" には要らん

落語という芸能の将来を憂いているからこそ、落語の芸の質を落としてはいけない。人に応援されるような自信のない不抜けた芸ではなく、見た人を惹きつける芸こそが求められるものである、と。

そんな一生の言葉を聞いた朱音の返事は一言、「よかった」と。ただの気まぐれやパフォーマンスではなかった、と。

朱音は「認めさせますよ あなたが切り捨てた芸で」と啖呵を切って、対談を後にした。そんな彼女の言葉を聞いた一生の表情が嬉しそうなのは、落語に生きる修羅故だろうか。

読者としても一生の真意を知ることができてよかった。

それとは別に、破門された後の志ん太の行動も詳しく聞くこととなる。どうやら(褒められたことではないようだが)破門されたとしても、別の一門に入って落語家を続けることはできたらしい。しかし、彼はその話を全て蹴った。

ここで "志ぐまの芸” というフレーズが出てくる。阿良川の落語家達は、全員がこの影を追っているような不穏さがある。そんな影をちらつかせながら、朱音の物語は新章『前座修業』が開幕した。

 

前座は落語家になってから楽屋に入って細々とした下働きをする期間であり、一応、下記のような基準を満たせば、次の段階、二つ目になることができる。

  • 落語50席
  • 講談
  • 歌舞音曲
  • 寄席の太鼓

阿良川魁生は入門二年で二つ目になっているが、これが異例のスピードと言われている。つまりは三年以上はかかるのが通例だ。朱音は当分の間、 "弥栄邸" という昼夜問わず落語が見られる定席と呼ばれる場所に所属し、芸を磨いていくこととなる。

芸を磨いていくというと、日夜落語をすると思われるかもしれないが、実際のところ、師匠達が落語をしやすいように茶を出したりタバコの準備、座布団の準備などをするといった気働きをしていく。

しかし、ただ気働きをしていくだけでは芸は伸びない。当たり前である。できる者は働きながら、落語に耳を傾けて、学び取っていく。そうして自身の落語に取り入れて成長していく "捨て耳" を習得する。

見て学ぶというのはバカにされるが、ただ見ているだけではなく自身に取り込んで学びにできるものが成長するのかもしれないと、ふと感じた。色々な学びがある第四巻であった。

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