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【漫画】あかね噺6 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

落語に魅せられ

情報

作者:末永裕樹、馬上鷹将

試し読み:あかね噺 6

ざっくりあらすじ

ネタ下ろしの会「禄鳴会」のために、新ネタを蘭彩歌うららに教えてもらうこととなった朱音だったが、想像以上に苦戦させられることとなる。

感想などなど

新しい噺を師匠に教えてもらって、それを高座で出来るようになるためには、次のようなステップを踏む必要がある。

  1. 噺の稽古
  2. あげの稽古

噺の稽古では、師匠が演じている噺を聞いて覚える。手取り足取り教えてもらうような授業形式ではなく、また、録画などする訳でもなく、目の前で師匠が演じる噺をただ聞いて見て覚えることで自分のものにする必要がある。第六巻の第一話では、そんな噺の稽古がカラオケボックスで行われる。

花魁 全然似合わないわね

一回聞いただけで蘭彩歌うららの『お茶汲み』をコピーしてみせた朱音。その器用さを一切無視して「似合わない」という一言で一刀両断したうらら。 こうして一回目の稽古は終わった。

さて、あげの稽古が次に控えている。これは噺の稽古で覚えた噺を師匠の前で披露し、認められることで漸く噺を高座で演じられるようになる。つまり、ここで師匠に認めてもらわないと、教えてらったにも関わらず高座で演じることはできない。

そもそも蘭彩歌うららに新ネタを教えてもらう経緯は、禄鳴会という新ネタ下ろし会にて開口一番を任せてもらうためであり、その日までに認めてもらう必要があるということだ。そんな大事な「あげの稽古」は残りあと二回。

この数少ないチャンスの中で、『お茶汲み』を自分のものにしなければいけない。そのためのヒントが、うらら師匠の「花魁 全然似合わないわね」である。

可楽杯にて寿限無の演じ方を予選と本選で変えたように、同じ噺だったとしても同じ人だったとしても状況によって変わってくるし、ましてや人によってその演じ方は大きく変わる。

さて、蘭彩歌うららが演じて見せた『お茶汲み』を、そのまま朱音が丸々コピーしたらどうだろう? 朱音の『お茶汲み』で観客達が色気で絆されていくのだろうか? 答えはきっと否である。

花魁とは色気で男を誑かす手練手管の持ち主であり、そのイメージが蘭彩歌うららにはピッタリである。朱音は全く当てはまらないことは、これまでの朱音を見てもらえば分かるだろう。

覚えれば終わりではない。朱音が朱音の花魁を追い求める第六巻について語っていきたい。

 

これまで学んだ了見を生かして、花魁について書籍を読んで学ぶ朱音。しかし、こと花魁に限れば、知れば知るほどに自分の中の花魁像が崩れて駄目になっていくらしかった。

そんな彼女に対するうらら師匠の助言はシンプル。

若いんだしデートでもしたら?

これにより、これまで色恋が始まる素振りは一切なく、これまでの感想記事では一切名前すら登場してこなかった幼馴染み・尾崎とのデート回が始まる。ちなみにこの尾崎、第一巻の第一話にて朱音の父親を無職と揶揄したクソガキである。

そんなクソガキも成長しており、朱音の夢を応援してくれる紳士となっている。そんな彼は朱音とのデートで、男を落とす技術(?)を学んだ朱音に誘惑(?)されて恋に発展する……なんてことはなく、朱音の妙ちくりんな言動を心配し、落語で何かあったのだろうと予想し話を聞いて上げることにする。

そこでの彼の些細な言葉が、朱音にとっての『お茶汲み』を完成させるのだから面白い。これまで学んだ了見も生きつつ、朱音と落語の付き合っていく方法が確立されていく。

実際、彼女の作り出した『お茶汲み』はうらら師匠に認められた。そうして演じられる禄鳴会での『お茶汲み』。袖では八正師匠が見ている。読者も、彼女が見つけた『お茶汲み』が何なのか、緊張して見守る。

そうして高まったハードルは易々と越えられていく。

読者としても落語に対する見方は分かってきた。いかに物語の背景を想像させるか、その方法は様々であり、それこそが技術だ。そこに人が乗っかって、落語は面白くなっていく……そのことが良く分かった。

 

この第六巻までで朱音の落語家としての技術は大きく向上した。最初は認めてくれない人も多く、そのことで苦労も多かった。しかしそれらの壁を実力で捻じ伏せてきた。しかし、彼女の周りにいる落語家達もまた、その場で停滞している訳ではない。

可楽杯で朱音に負けた二人はそれぞれ師匠に弟子入りして落語家としての道を決めた。阿良川魁生は凄まじい速度で二つ目に駆け上がり、四年目にして真打になるのではとの声が上がっている。

朱音の先輩達、阿良川こぐま達もただ停滞している訳ではない。これまで朱音の成長に焦点を当ててきたが、どうやらここから朱音の周囲も大きく変わっていきそうな予感がある。

多くの魅力的な落語家が多いからこそ、それぞれの行く末も気になってくる。みんな応援したくなる第六巻であった。

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