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【漫画】おちこぼれフルーツタルト 感想

【前:な し】【第一巻】【次:第二巻
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

へんたい、あらわる!

情報

作者:浜弓場双

出版:芳文社

試し読み:おちこぼれフルーツタルト 1巻

ざっくりあらすじ

東京への憧れを抱いて上京した桜衣乃は、東小金井市にあるラットプロダクション通称「ネズミ荘」に新人アイドルとしてやって来た。そこには(売れない)(元)子役・関野ロコや、(売れない)ミュージシャン・貫井はゆ、(売れない)ファッションモデル・前原仁菜というような個性豊かな先輩達がいた。

感想などなど

アイドルと言えばお金持ち、というような等式が成立する……ということはない。残念だが、この日本には地下からテレビまで含めて数多くのアイドルと呼ばれる者達がいる。そのみんながみな、大金を稼げるということはない。

人気アイドルというのは、ほんの一握りの者しかなることのできない高み。

そこに至るまでの過程には、苦しい特訓の日々があることだろう。辛酸を嘗めることもあるだろう。それでもファン達の声援に応えて、彼女達はライブに立つ……そんなサクセスストーリーを期待して、本作を手に取った方も一人くらいいることだろう。

なにせ前作のハナヤマタが笑いあり涙ありのストーリーだったのだ。硬派な中身を想像したところで責める者はいない。

何を隠そう、本作は変態達による、変態達のための、変態ストーリーである。

 

ここで少しばかり個性豊かな変態……ではなくアイドル達を紹介しよう。

まず一人目は新人アイドルの桜衣乃。田舎で両親の畑仕事を手伝っていたことで、コンプレックスである足の太さを引き換えに女子高生とは思えない無尽蔵の体力を持ち合わせている無類の女好きである。

次に関野ロコ。ロッコちゃんという愛称で愛された元子役で、落語を代表とするような日本文化と、女性のふくよかな胸を心から愛する小さな小さな(身長140センチ)女子高生である。

そして次に紹介するは、本作の数少ない良心・貫井はゆ。ミュージシャンを志し、川原で一人ライブを開くほど練習熱心で、未だに小学生の頃の下着を履いたりするぼっち気質な女子高生である。ちなみに将来の夢は可愛いお嫁さん。可愛い。

最後はグラビアでも通用するようなプロポーションを持つ前原仁菜。好きなものはアロマや靴下、女性の匂いといった良い匂い全般と、小さい女の子。夜は関野ロコと一緒に寝たりすることが多いようだ。

……ふむ、アイドル達の変態気質というのは文章で書いても隠しきれないものがある。一人は女の子大好きで、一人は胸が大好きで、一人は(臭いもの含め)匂いフェチという性癖の擬人化みたいな輩がこれだけに留まらずやって来る。

 

まぁ、真面目にアイドルの話もしておきたい。一応、ネズミ荘の存続のために一億を稼がなければならない……という比較的ピンチナ状況に追いやられた面々が、アイドルとなって金を荒稼ぎするために奮闘することになる(しかし変態としての心は忘れない)。

だがアイドルというのはそう簡単に稼げるものではない。バイトの方が効率が良いのではないか? と疑問符を浮かべるような活動の数々と、以外とコネのあるマネージャー(プロデューサーではない)の手腕によって簡易的なライブを開けたりするが、やっぱり客は少なかったりと、アイドル作品としての一通りのイベントをこなしていく。

そんな中でも変態としての生き様は捨てられない。シスコンやレズなども登場し、変態濃度も濃くなっていく中、唯一といっても過言ではない貫井はゆが闇に染め上げられていかないよう願うことしかできない読者。あぁ、我々は無力である。

変態は珍しいから変態なのだ。それなのにこの濃度の濃さはなんだろう。それとも類は友を呼ぶということで、変態は変態を呼び寄せるとでもいうのだろうか。人を見れば普通と思うことなかれ、皆、心に変態を飼っているのだ。

このような漫画を購入し、一人楽しんでいる時点で、きっとブログ主も変態であろう。楽しい作品であった。

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