工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件2 感想

【前:第一巻】【第一巻】【次:第三巻】

※ネタバレをしないように書いています。

駄目人間ですが何か?

情報

作者:佐伯さん

イラスト:和武はざの

試し読み:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 2

ざっくりあらすじ

マンションで一人暮らしする藤宮周の隣には、学校で天使様と呼ばれる学校一の美少女・椎名真昼が住んでいる。いつしか毎日の食事を彼女が作ってくれるようになり、クリスマスや年末年始も一緒に過ごすようになったが、真昼の母親がマンションにやって来て……。

感想などなど

プレゼントを渡し、両親との顔合わせは済ませ、クリスマスを一緒にゲームをして過ごした。第一巻でもはや関係性としてはゴールインを果たしたといっても過言ではないのではないだろうか。

おそらく大半の人が想像する範囲内のいちゃいちゃを、第二巻でも継続していくこととなる。

例えば。

二人の年末年始は、天使様が作りし重箱に詰められたお節を食べた。初詣では、イケメン化した周と天使が並んでいる。ちなみに駄目人間となってしまった周は、ちゃんと身嗜みを整えればイケメンという設定である。女性もメイクをすれば化けるし、男もそれなりにすれば化けるということなのだろう。

第一巻時点で両親との顔合わせは済ませているが、第二巻では両親と天使様の仲が深まっていく。これが逃げられないように周囲の堀が埋められている状態なのだろうか。そのまえに胃袋が掴まれているわけだが。

そんな天使様の体調不良イベントを乗り越え、年末年始が終わり、次に来るラブコメ定番イベントといえば……そう、バレンタインである。もてない男は幾度となく煮え湯を飲まされたものだ。

ちなみに容姿を整えればイケメンという事実が周囲にバレていない周は、お世辞にもモテるとは言い難いらしい。挿絵など見る限り、整えずともイケメンな気がするが。この世界の女子は男に対して求めるレベルが高すぎるのでは? 自分だったらゴブリンと勘違いされて殺されるのでは? という疑念は捨て置こう。

そこからホワイトデーへとテンポよく物語は進んでいく。

 

この作品の特徴に、物語のテンポの良さを上げたい。他のラブコメではバレンタインデーだけで十万字、つまりは一冊を費やすことは珍しくない。年末年始だってそうだ。何かしらの問題が起きて、その解決にうんぬんかんぬん……あなたの脳裏に思い浮かぶ作品があるはずだ。

本作はそれぞれのイベントごとに対し、短編が一つ、多くても三つという構成で時系列が進んでいく。その間、特に目立った問題が起こるということもない。まぁ、両親の乱入や、プレゼントで悩むことを問題と言いたいならそうかもしれないが、自分の認識では、それらは幸せだからこそ起こる可愛い悩みだ。

そのテンポの良さにより、この第二巻は年末年始に始まり、春休みまで時間が一気に進む。アニメ化しやすそう、という適当なメタ的感想は置いておくとして、最後の最後で爆弾を投下された。

天使様・椎名真昼の心の闇――第一巻の冒頭で、彼女が雨に濡れていた理由である。

 

両親のもとを離れ、一人暮らしをするという状況がそもそも異常である。

彼女が家族との良好な関係を羨ましそうにしていた描写は、何度か登場していた。彼女が抱えている闇というのは、そういった家族間の問題だろうとは察しがつく。年末年始は家に帰らず、周と一緒に過ごすことを選んだのは、周に対する好意だけの問題ではないだろう。

そんな椎名真昼の母親が、この第二巻に登場する。

そして思う。この両親からよくもまぁ、こんな良い子が育ったものだと。色々と複雑な思いに駆られながら、周がみせる男気に期待したい。最後、急速に物語が展開した第二巻であった。

【前:第一巻】【第一巻】【次:第三巻】