工大生のメモ帳

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お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件5 感想

【前:第四巻】【第一巻】【次:第六巻】

※ネタバレをしないように書いています。

駄目人間ですが何か?

情報

作者:佐伯さん

イラスト:和武はざの

試し読み:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 5

ざっくりあらすじ

ついにお付き合いすることとなった二人は、そのことをクラスメイトや両親に公表した。周囲からの見る目が代わり、二人は堂々といちゃいちゃするようになって……。

感想などなど

お付き合いすることになった周と真昼。もう完結でいいじゃんと思った読者はブログ主だけだろうか。この第五巻からは、ゴールイン後のいちゃいちゃが延々と描かれていく。

読了しておいて何だが、内容は覚えていない。なにせこれまでも散々いちゃいちゃしていたのだから、二人がしていることはあまり変わっていない。変わったのは周囲の人達が二人を見る視線である。

はっきり言って、どうでも良い。

「天使様が取られた!」という男達の嘆き、「陰キャだと思ったらかっこ良くなってた!」という女達の悲鳴が聞こえる。クラスメイトに質問攻めされる真昼と、女性からの視線を感じる周の構図を、我々読者はどういった気持ちで見れば良いのだろうか。二人の成長(?)を喜ぶべきなのだろうか。

そういえば、周には悲しい過去のようなものがあった。

感想を読み返すと、ネタバレになると言って語っていなかったのでここで書かせていただこう。詳しくは第三巻を参照。

周の家庭はそこそこに裕福な家であった。そのためか、中学生で仲良くなって一方的に友達だと思っていた相手に金づるにされていたのだ。それでも周は仲良くしているつもりだったのだが、陰で容姿とか性格をボロクソに言われているところを聞いてしまった。それにショックを受けた周は、地元を離れて一人暮らしをしていたという流れだ。

マンションで一人暮らしさせることからも、彼の家の裕福さは良く分かるだろう。

この第五巻ではいちゃいちゃしているついでに、その過去との決別も計ることになる。

 

過去を忘れようとしてもそう簡単にできることではない。ましてやそれが悲しく辛い過去であれば尚更だ。周にとって友人が仮面を被って自分と接していたという事実は、そこから先、他人との関係を閉ざすに至るトラウマとなっていた。

だからこそ真昼に対してもどこか及び腰で、それでなくとも自信なさげな姿が、「陰キャ」といわれるゆえんだったのだろう。ただそんな彼も真昼に釣り合う男になりたいと奮闘し、勉強に運動を頑張ることで自信がついた。元々、顔は良かった。

努力すれば努力するほどに報われる環境は、自己肯定感が爆上がりする。周が変わることができたのは、間違いなく真昼のおかげだ。

そんな真昼の手を引いて、実家に帰ることにした周。先ほども書いたように、実家がある地元は彼にとってトラウマの地だ。楽しかったこともたくさんあるだろうに、悲しかったこと一つで全てが塗り替えられる。もういたくない場所になっていた……はずである。

しかし彼は真昼を案内すると言って、一緒にデートをする。ラストシーンはスカッとする方も多いのではないだろうか。

付き合った後の話には興味がないのだが、ただいちゃいちゃしているのを眺めるのも悪くないと思った。高スペックカップルは滋養に良いのかもしれない。

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