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【漫画】さんかく窓の外側は夜2 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

霊感サスペンス・ミステリ

情報

作者:ヤマシタトモコ

試し読み:さんかく窓の外側は夜 2

ざっくりあらすじ

非浦英莉可に遭遇した三角たち。その場では何もせず、離れていくことに。その後も依頼をこなしていくが、冷川理人に契約書を書かされてからはどこか違和感があって――。

感想などなど

呪いの背後にはかならずと言っていいほどに囁かれていた非浦英莉可、いないと思われていた彼女が実在した。そんなラストカットで幕引きを迎えた第一巻。そこから第二巻で何が起こるか期待した読者も多いのではないだろうか。

だがしかし、突如として三角がおかしなことを話始め、その間の記憶がないと言い出した。その犯人は間違いなく、非浦英莉可であろう。そして事務所に戻ってきた冷川理人に契約書を書かされた三角は意識を失った。

一気に何かが展開している。だが、その正体が掴めない。

三角は何をされたのか?

「あんなに簡単に彼女を許すから」「彼女が魅力的なのはわかりますが あれはいけませんよ三角くん」

どの台詞も意味深極まりない。

そんなモヤモヤを抱えたまま読み進めていくことになるが、その真相は、様々な霊にまつわる事件を解消していくことで明かされていく。そして第二巻もまた、気になるワンカットで締められているのだから憎い。

 

さて、第一巻と同様に様々な霊にまつわる事件を解決していくことになる。

個人的に印象的なエピソードは二つある。

一つはインチキ占い師・迎系多と芸能人の家に行き、トイレの電気が勝手に点いたり、扉が勝手に開いていたりするという怪奇現象を解決する話だ。系多は三角と似たような特異体質により、こういった相談をされることが多いようだ。

もしも、理人がこの依頼を受けていたら、トイレにいた霊体を引っぺがしてぶん投げて終わりだろう。そこに霊との対話はない。第一巻では、「霊との対話など無駄」といったことを描くエピソードもあっただろう(ビジネスホテルで二人が同じベットで寝たやつ)。

それに対して系多は、霊との対話を通じて、ゆっくりと霊を遠ざけていった。除霊の仕方にはこういった方法もあるのだと、彼は知ることとなる。

二つ目は、三角の昔の知り合いが、「婚約者が何だかおかしい」ということで相談に来た話だ。だが、この依頼者の男がどうにも感じが悪い。三角のことを「霊感のあるインチキで気色の悪い男」と思っているたちがあり、最初から最後まで三角に対する扱いは一貫して、気味の悪い相手に触るような感じだった。

だが、理人と三角の二人は、婚約者に憑いていた問題をあっさりと解決してしまう。それにより万事解決なのだろうが、依頼者である男が吐いた言葉は、感謝よりも先に「わざわざ来ておらってなんだけどもー帰って……そんで連絡とかしてこないでくれよな」「おれの弱味握ったとか思って調子こくんじゃねーぞ」という文句だった。

酷い話であるが、これがリアルなのかもしれない。

 

やはりこの漫画は最後が憎い。

街で偶然(実際は必然だが)に出会った三角、非浦、冷川の三人。非浦は淡々と自身の行ってきた仕事を語ってくれた。本当に淡々と語りすぎて、なんともないことのように思ってしまうが、実際は人には語ることのできないようなとんでもないことを語っている。

そして別れ際。

「……あんまり嫌わないで ばいばい」

という台詞と共に去って行く非浦英莉可。彼女のことが強く印象づけられていく第二巻。ここから先の展開も見物である。

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