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【漫画】さんかく窓の外側は夜3 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻

※ネタバレをしないように書いています。

霊感サスペンス・ミステリ

情報

作者:ヤマシタトモコ

試し読み:さんかく窓の外側は夜 3

ざっくりあらすじ

突如として行方不明になった者達が、最後に目撃された場所が全て同じ「場所」だった。しかし刑事の半澤は、その関連性が分からず捜査に行き詰まり冷川に助けを求めるが――。

感想などなど

霊的な存在を信じない大人になってしまったブログ主。これから先の人生もそうなるだろうと、漠然とした予想がある。たとえ自称霊能力者が現れて、凄く摩訶不思議な現象を見せつけられたとしても、そこには何かしらのトリックがあるのだろうと考えると思う。

この作品には、そんな科学的思考に縛られない――だって霊とか見えてるし――という人達ばかり登場する作品だ。そんな中で、霊的な存在を信じないという立場でありながら、冷川達に近しい距離感にいる特異点みたいな人がいる。

それこそが刑事・半澤さんである。

第一巻では見つかっていないバラバラ死体の捜索を依頼してきた人であり、霊感がなく、霊的な存在も信じようとしないにも関わらず、冷川達を頼ってきたりするという奇妙な立ち位置に、興味を抱いたものもいるのではないだろうか。

ブログ主はそんな人間の一人だ。彼がこの作品において、もとい冷川達にとってのどういう存在になるのか? 物語としての動向が気になって仕方が無かった。

そんな彼の立ち位置を、第三巻を読み終えた後も掴みきれていない。

 

この第三巻では冷川・三角コンビ、非浦・ヤクザコンビ、半澤さん、それぞれの仕事の様子が描かれていく。仕事の内容は、掃除屋と呪い屋と警察官というように全く違う触手ではあるが、徐々にだがそれらの裏が繋がっていく。

例えば。

冷川・三角の二人は、今日も依頼された霊にまつわる事件を解決していく。第三巻のオープニングを飾る事件は、美人が一人で住まうお屋敷の池が、何やらおかしいらしいという内容である。

池に足を踏み入れると、池の中に美人の死体が浮いている。死体とは言っても実体はない霊的な奴であり、彼女が屋敷の主である女性に、奇妙な夢を見せたり取り憑いたりしているらしかった。そんな事件の解決……その女性の霊をぶん投げれば終わりなのだろうが、冷川がとった行動は現状維持であった。

第二巻の三角の知り合いの夫婦を助けた事件から匂わせていたが、冷川は霊的な存在を自分のものにしている節がある。つまり、何かもっと別の目的のために、利用できる霊を集めているような――。

一方、女子高生・非浦は今日も仕事をしていた。その仕事は、父を経由して依頼されているらしかった。娘に呪いをかけさせて、自分は何もリスクを払わずに金だけを貰う。そのことに対して何も言わない母。複雑な家庭事情という奴である。

その父の上に立っているのが、先生と呼ばれている男であり、彼もまた霊的な存在を知覚し、利用する力を持っているようだ。その力を使い、街のいたるところに ”罠” を張っていることなど、霊感のない人に気付きようがない。

だが、その罠にかかり、行方不明になったという事件だけは、表面上に浮かび上がってくる。それと霊的存在とを繋げて考える者がいないだけの話だ。

ただ一人、半澤さんを除いて。

彼は行方不明事件を調べていて、その被害者達の最後の目撃現場が共通していることに気がついた。だがその現場には、ヤクザが絡んでいるようなこともなく、怪しいことが行われているという痕跡もない。

その事件の調査に狩り出されたのは三角と冷川のコンビ。といっても現場に直接足を運んでいるのは、半澤さんと三角だけな訳だが。その罠のえげつなさと先生という人間の考え方、その核心に迫った話である。

 

三角と冷川という二人の関係性……というよりは、繋がれた紐の歪さが如実な巻だったように思う。この関係性で二人が満足というならば、ガヤから言うことは何もない。ただ、三角は納得しているようには思えない。

歩み寄ろうとして、その一歩の踏み出し方が分からないような危うさがある。この関係性がどう転ぶのかは、今後の彼が冷川が周囲との間に引いた線を、どう踏み越えていくかにかかっている気がする。

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