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【漫画】とんがり帽子のアトリエ(1) 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

憧れは捨てられない

情報

作者:白浜鴎

試し読み:とんがり帽子のアトリエ (1)

ざっくりあらすじ

幼い頃から魔法使いに憧れていた少女・ココは、魔法は「生まれ持った素質がある者しか使えない」という話を聞いて、自ら魔法使いになることを諦めていた。しかし、偶然にも村を訪れた魔法使い・キーフリーが魔法を使うところを見てしまい……。

感想などなど

皆さんは子供の頃に憧れていたものは何かあるだろうか?

ちなみに自分の子供の頃の夢は、科学者だった。その言葉の響きがカッコいいと思ったのかもしれないし、学校の授業でやった理科の実験が面白かったのかもしれないし、この世を豊かにする新しい発見をして歴史に名を残すという偉業に憧れを抱いたのかもしれない。

今、自分は科学者とは程遠い仕事をしていて、この記事を書くまで、自分の憧れていたのは科学者だったことを忘れていたくらいには記憶の彼方に追いやられている。

本作『とんがり帽子のアトリエ』の主人公・ココは、魔法使いに憧れる少女であり、しかし生まれ持った素質によって決まるという魔法使いには、もうなることができないと思っていた。

魔法をかけられるのは魔法使いだけ

ただの人間は魔法を恵んで貰うことしかできない

魔法使いにはなれないのだ

魔法は選ばれた人間にしか使えない。自分は選ばれなかったのだ……それでも憧れを捨てられないのは人の性。ココは自分の家にたまたまやって来た魔法使い・キーフリーが、魔法を使う瞬間を隠れ見てしまう。

どうやら魔法をかける瞬間というのを見てしまうのは禁忌であるらしい。

その不思議な禁忌が必要となったその意味を、ココは自らの手で証明してしまう。

特別な「魔の墨」

決められた「魔方陣」

それさえあれば誰にでも使えてしまう

魔法使いたちの「絶対の秘密」

魔法が使えるかどうかは、生まれ持った才能で決まるのではない。特別な墨と、魔方陣の知識さえあれば誰でも使える。それが魔法だった。そんな魔方陣を知識のないココが描いた結果、何が起きたか?

ココの母親が石化した。たった一人の肉親が、ココが発動させた魔法によって。

 

本来であれば魔法は誰でも扱えるという秘密を知ってしまった時点で記憶を消されるはずだったココは、キーフリーの思惑によって助けられ、石化してしまった母親を助けるために彼に弟子入りすることとなった。

魔法が便利で何でもできるのであれば、さっさと母親を治してしまえ……と思われるかもしれない。しかし、どうやら魔法は万能ではない。あくまで便利なツールに過ぎないらしく、ココが発動させてしまった魔法が何なのかが分からなければ治すことはできないらしい。

というわけで、その発動させてしまったという魔法の調査を早急にする必要がある。そのために行くべきは、魔法に関するすべての書籍が書かれた瞬間に複製されて保管される『図書の塔』。

しかし、この塔の中に入るには司書の試験に合格する必要があり、そのためには魔法使いとして一人前になる必要があって……というように丁寧に段階を踏む必要がある。焦っていても仕方がないと諭すキーフリーの言葉に従いつつ、彼女は楽しみながら魔法を学んでいった。

ちなみに読者も一緒に魔法について学ぶことができる。

魔法とは、つまり魔法陣というのは3つの要素で構成されている。中央を「紋」、その周りに描かれている線を「矢」、この2つを囲う円を「陣」といい、紋の種類に応じて炎・水・光・風というような属性が決まり、矢はその魔法がどんな形で現れるかと大きさ・方向を定める。それらを最後に円で囲うことで陣が閉じられて魔法が発動する。

この設定は漫画という媒体だからこそ、目で見た魔法陣を見ながら "何となく" 分かってくるようになるのだから面白い。「あぁ、だからココは失敗したのか」とか「彼らの魔法が実に理にかなっていること」とか。

そんな魔法陣や、とんがり帽子、魔法器、筆といった全てが、この漫画の世界観を構築している。ファンタジーらしい現実感のなさ、しかし説得力のある物語が、読んでいて虜になっていく。

コマ割も他の漫画ではお目にかかったことのない形になっている。コマ割が街や家を形作っているというか、コマを魔法使いが自由に歩き回っているというような不思議な感覚になる。

単行本の最後には、先ほど描いた魔法陣の説明、つまりは「魔法陣入門」が付随している。紋や矢についての実例がまとめられており、随所に渡って作り込まれた世界が広がっている。

読んでいて引き込まれる面白い漫画だった。

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