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なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?2 堕天の翼 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

英雄のいない世界で英雄になる

情報

作者:細音啓

イラスト:neco

試し読み:なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 2 堕天の翼

ざっくりあらすじ

「冥帝」ヴァネッサを倒したジャンヌ達の軍は、要請を受けて蛮神族との最前線であるウルザ連邦へとやって来た。

感想などなど

「冥帝」ヴァネッサとの戦闘は、何か一つでも歯車が狂えば勝てない綱渡りのような戦いであった。ジャンヌもファリンもリンネも、言わずもがなカイも。誰か一人が欠けていては勝てなかった。

こうして王都を奪還し、悪魔の牙城を一つ崩した人類が次に挑むは、天使やエルフやドワーフなどの蛮神族。その頂点に君臨するは「主天」アルフレイヤ。ヴァネッサは残りの三英雄の中に黒幕がいるというように語っていた。もしかしたらアルフレイヤがその黒幕かもしれない。

人間がこの戦争に勝つためにも、歴史が書き換えられた原因を知るためにも、カイはジャンヌ達と共に次の戦いの場へを歩を進めることとなる。正確には「要請を受けたから」向かうのだが。

 

蛮神族というのは、悪魔に匹敵する法力を備えた天使、強力な法力を宿しつつ、その力を法具に込める技術を持ったエルフとドワーフ、風や水などの自然に干渉する力を持つ妖精、計四種族の連合のことを指す。

彼らはとても狡猾であるとされる。

妖精は風に干渉し、はるか遠くの声を聞き取る。法具は武器として人間の作り出して兵器を上回る火力と射程を持つ。ちなみにジャンヌが使う武具は、エルフが作ったものであって、かつて悪魔とエルフが争って互いに疲弊したところを漁夫の利で得たものである。またカイが扱う武具も、エルフの武具を参考にして人間が作り出したものだ。まぁ、この世界の歴史では再現できていないようだが。

そんな蛮神族との最前線で戦う人類反抗軍は、ダンテという指揮官によって率いられている。この男、言わばジャンヌとは正反対だった。

まず彼は必ず戦場に立たない。彼曰く「王が戦場に立って死んだらどうするんだ?」。まぁ、それはそうなのだが。そのため安全な内地から指示を飛ばすが、その指示も不適格でいて遅い。現場の指揮が著しく下がってしまう大きな要因となっていた。

次に蛮神族に勝つということよりも、彼は自身のプライドを優先しようとする節がある。ジャンヌに要請を出したのは、現状に危機感を覚えた参謀ツェフヴェンでありダンテではない。そのためか、自身の立場を脅かすジャンヌに対して警戒心を露わにしていた。

何というか、これじゃあ勝てる戦も勝てないな……という落胆に近い感想を抱いてしまう。それでもジャンヌは最善を尽くす。蛮神族の拠点である森に脚を運び、ダンテの部下達の信頼を勝ち取りつつ、小さいが確実な実績を積み重ねていく。

徐々に人気が高まっていくジャンヌ。流石に不味いと思ったのか、ダンテは動き出した。そして敵に捕らわれるという二コマ落ちな展開を見せてくれる。

 

さて、無能ではあるが指揮官であるということに変わりはない。急いで救出へと向かうジャンヌは、エルフ達に取り引きを持ちかけられる。ダンテ達を返す代わりに、天使宮殿と呼ばれる場所に赴き、主天アルフレイヤに囚われているエルフの長老を救出して欲しいらしい。

この依頼、突っ込み所が満載である。

まずアルフレイヤとエルフの長老は、同じ蛮神族であるにも関わらずこのような事態になってしまったのか? 全くもって辻褄が合わない。エルフ達が言うにはアルフレイヤが突如としておかしくなり、エルフやドワーフや妖精は皆殺しにすべきだと言ったらしいが、一体何が起こってるのだろうか。

次に人間側のメリットに関してだ。はっきり言ってダンテを返して貰える以外にメリットがない。こちらは命を賭けるのだ。それ相応の対価が必要なはず。

だがジャンヌ達は天使宮殿に向かうことにした。アルフレイヤの態度の急変。エルフとの間で何か取り引きが引き出せるかもしれないという打算。歴史の上書きが起こった真実に近づくためにも向かわなければいけなかった。

リンネとカイの二人だけで挑んだ冥帝戦。今回はカイとジャンヌ、そしてエルフのレーレーンという三人で挑む最強の天使との戦い。豊富な法具と、空を飛んでいるという阿東的不利な状況での戦いとなった。

熱い展開の連続する戦いであった。

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