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乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…8 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

破滅フラグは終わってない……

情報

作者:山口悟

イラスト:ひだかなみ

ざっくりあらすじ

よく分からない闇の契約の書なるものを手に入れてしまったカタリナ。それの解読に勤しむ傍ら、王宮で開催される他国との交流会に参加することになってしまう。マナーに不安を感じつつ、厄介事に首を突っ込み体質を心配しつつ、みんなで一緒に王宮へと向かった。

感想などなど

マリアが光の契約の書を、カタリナが闇の契約の書を。それぞれ相反する属性の持ち主が、何やら力を手に入れてしまった。作品が違えば、今ごろ殺し合いの一つや二つぐらい起きていたことだろう。

『FORTUNE LOVERⅡ』では、国外追放されたカタリナが憎しみの感情を高ぶらせ、闇の魔力を解放させ、カタリナに復讐するという内容になっている。それ以上の内容に言及がないため推測になるが、二人が魔法で戦うような展開になっていたとしても何ら不思議ではない。

カタリナとマリアが敵対してしまうようなイベントが、ゲームの強制力によって発生してしまうというブログ主の予感は、決して行き過ぎたものではないと思う。学園編では、隠しキャラであるシリウスのフラグを解消していなかったことにより、身に覚えのない罪を追求されたということもあった。ただでさえ情報不足の現状において、油断というものをしてはならない。

……まぁ、カタリナがそんな難しいことを考えているはずがない。寝たら忘れ、お菓子を食べたら忘れ。そして無意識に誑し込む。

 

今回の舞台はジオルドやアランが生活している王宮である。どうやら数年に一度、他国の貴族達が集まり交流会を開催しているらしく、ジオルド王子の婚約者で、公爵家の娘であるカタリナも招待されたとのことらしい。

両親としては酒に酔って眠ったり、ずっとお菓子を食べていたり、王宮で迷子になっていたり、目を離した隙に誘拐されたりするカタリナを、そのような場所へ送ることは憚られるらしい。

メアリやソフィアとしてもジオルドの独壇場とも思える王宮に彼女が行くことは不安を覚えるようだ。カタリナのファーストキスを奪い、既成事実を得ようと目論む彼を警戒するのは、カタリナ好き好き大好きな彼女達にとっては当然なのかもしれない。一応、婚約者なので問題はないと思うのだが。

ということでいつの間にか、いつものメンバーが王宮に集うことになる。一番有利であるはずのジオルドが、一番カタリナから遠い場所にいるように見えてしまうのは、何か目の錯覚かなにかだろうか。

そして始まるいつも通りのいちゃいちゃタイム。女性メンバー達の入浴タイムや、アラン王子のピアノに聞き惚れながら過ごす平和な時間、寝起きニコルに抱きつかれるカタリナなど見所は満載である。

こうしてみると、カタリナの距離感は近すぎるように思う。男性と二人きりの空間で寝るというのは、まぁ、百歩譲って良いとして(良くない)、そのまま抱きついたり、身体を預けたりというのは、あまり精神衛生上よろしくない。

こうして多数の被害者を生み出しながら、交流会は進行していく。

 

そして新たな攻略対象が登場する。エテェネル王国の国王、セザール・ダル様である。

ジオルド王子もかなりの権力の持ち主たが、今回の相手はなんど国王である。国のトップである。エテェネル王国というのは決して大きな国ではないが、それでも国王である事実に変わりはない。

しかしカタリナの出会い方というのは、決して国王らしいものではなかった。部屋を窓から抜け出したカタリナと、国王としての役割に疲れて息抜きをする二人は、城の庭の目立たない場所で出会い、互いに身分を隠して使用人を名乗っていた。

二人の交わす楽しそうな会話は見ていて心が温まる。とくに国王は久し振りとも思える心の動きに戸惑いを隠せずにいるらしい。カタリナの人間誑しスキルは、誰であろうと発動された。いずれ知ることになるであろう互いの正体、その先の展開というものは是非とも読んで確認してほしい。

読み終えた後は、少しばかり奇妙な感情になった。面白くないということではないが、それもこうして感想として文字に起こしてみると納得できた。

王子とカタリナとのエピソードはあまりに王道だったのだ。

いつもラブコメやロマンス小説にありがちな王道を、カタリナがぶち壊していくことでストーリーに起伏が生み出されている本作。たまにはこういうのも悪くないかもしれない、そう思える第八巻であった。

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