工大生のメモ帳

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【漫画】ひとりぼっちの地球侵略7 感想

【前:第六巻】【第一巻】【次:第八巻】
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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

一緒にこの地球を侵略しましょう

情報

作者:小川麻衣子

出版:小学館

試し読み:ひとりぼっちの地球侵略 (7)

ざっくりあらすじ

オルベリオが滅びたことを知った大鳥希は、鍵を変えて誰も入れないように下秘密基地に引きこもり、外にいた形跡の一切を消し去ろうとしていた。

感想などなど

オルベリオが滅びているという衝撃情報が明かされたと思いきや、右手が黒く大きくなって、岬一達が苦戦した敵を瞬殺した凪。

「俺が地球を守る。ひとりでそれができる力を手に入れれば、もう岬一は大鳥先輩と手を組まなくてすむ……」というように語る凪。オルベリオ王は死んで、凪がその座につくような不穏な台詞の数々。面白くなって参りました。

 

見上げた夜空には、大鳥希の故郷オルベリオはないのですね。彼女はこれまでオルベリオのために地球を守ってきましたが、その目的が潰えた時、彼女は何を糧にして生きていけばいいのでしょうか。

十年前、港が開かれたあの時も同じように、オルベリオが滅びたという真実を知っています。そして打ちひしがれる彼女に生きる意味を与えたのは、岬一でした。今回もまた、同じようなことをしてくれるのは、できるのは彼しかいないでしょう。

ただ状況が違います。

大鳥希は何も言わず、中に入るための鍵を変えて、秘密基地に引きこもってしまいました。しかも外では彼女のいた痕跡というものが少しずつ消えていき、あれほど強烈なキャラクターの持ち主である大鳥希のことを忘れていくのでした。

クラスメイト達に彼女のことを訊ねようとも、誰も知らないの一点張り。そんな様子を鼻歌歌いながら笑いつつ眺める凪も含め、下手なホラーよりも恐いですわ。

もしかしたら中で秘密基地の中で死んでいるかもしれない……そんな嫌な想像が、岬一を突き動かして、これまでの思い出が、岬一と希先輩を引き合わせたのかもしれません。自分の存在を消そうとしても、深い関わりを持ってしまった限り、それは無理なのかもしれませんね。

 

さて、色々あって大鳥希は十年前にあったことから、オルベリオとエラメアの関係まで含めた全てを追憶することになります。その際には、もう百万年くらい生きているエラメア産まれのおばさまの力も借りつつ、「地球はオルベリオ王のもの」「オルベリオが地球を守る訳」など伏線が回収されていきます。

やはりこういったSFやセカイ系作品の醍醐味は、伏線回収だと思うんですよね。「地球を守る港は誰が作ったんだ?」とか、「オルベリオ王って?」とか、誰もが抱くであろう疑問の答えは読んで確認してもらうとして(まぁ、逆に疑問が増えたりもする訳ですが、それはご愛敬)。

この第七巻のメインは、『大鳥希としての再スタート』と『凪の願い』の二つであるように感じます。故郷を失った彼女が、新たな故郷として地球を受け入れる過程……そして岬一に固執する凪の本当の願い……これまで岬一視点で描かれた過去が、凪視点になるとまた一味違う世界を見せてくれます。

第三十四話「パーフェクト・ワールド」の意味が分かった時、これまで謎に包まれていた凪の思惑が一気に瓦解していく感覚が、溜まらなく好きで、これまでの巻を読み直してしまいました。きっとみなさんもそう思うことでしょう。

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