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【漫画】ゆるキャン△(12) 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

キャンプに行こう

情報

作者:あfろ

試し読み:ゆるキャン△ 12巻

ざっくりあらすじ

リン・綾乃・なでしこの三人でキャンプに行ったことを聞いた千明・あおい・郁恵の三人は、深夜テンションの勢いでキャンプの計画を立て、先生も巻き込んでのキャンプへと赴く。

感想などなど

『水曜どうでしょう』というテレビ番組をご存じだろうか。

北海道テレビ制作の深夜番組で、サイコロで出た目のところには絶対に行かなければならないサイコロの旅や、引いた絵はがきの場所を探す日本全国絵はがきの旅、日本をカブで横断し「ダルマ屋ウィリー事件」が有名なカブシリーズなど、数々の名シリーズを生み出している。

特徴としてキャスト達が体当たりで行う企画と、その過程で起きたハプニングなども全て盛り込んだ構成、独特で印象に残る編集等々が上げられる。そんな『水曜どうでしょう』のネタは、これまで作中で出てきていたし、アニメでは声優として藤村忠寿・嬉野雅道の両名が登場していた。

そんな『水曜どうでしょう』のネタが、この第十二巻ではかなり盛り込まれている。

そもそも十二巻の構成がかなり特殊だ。千明・あおい・郁恵・先生の四人でキャンプに向かう、その回想シーンが延々と書き連ねられていくのだが、「回想だから何をしても良い」という千明の発案により、本来はいなかったはずの出来事が回想に挟み込まれていく。

例えば。

今回のキャンプには郁恵のペット・ちくわは連れて行けなかった。しかし「回想だから」という理由でちくわも同行し、ついでに知らない犬も着いてきている。ついでにちくわは人語を話し始めるまで回想は飛躍する。

「回想シーンだから」話を聞いているだけのなでしこはワイプとして登場し、突っ込み風のボケとして賑やかしの役割を担ってくれる。ワイプの中から手を伸ばして、みんなが食べている料理を摘まみ食いするのは序の口で、ワイプから引きずり込んだり何だりかんだり、何でもありの回想シーンとなっている。

 

ちなみに千明達が向かったのは神戸。

神戸……これ、何と読むかお分かりだろうか。大抵の人が「こうべ」(おそらく最も有名か)もしくは「かんべ」と読むのではないだろうか。そして今回はそのどちらにも存在しない読み方「ごうと」という場所に、四人で赴く。

場所は岐阜県、作中では美味そうな焼き鳥に舌鼓を打っており、調べる限りは実在する店のようだ。また、バスに乗り遅れたせいで山道を登ることになるのだが、地図を見る限りかなり急な坂の多い地形らしい。

いずれ聖地巡礼を……と考えているブログ主にとって、ここは一つの関門になるかもしれない。そんなことを考えつつ、読み進めていくと、出てくるわ美味そうな料理の数々が。

例えば。

ピザなんて宅配サービスでしか頼んだことのない贅沢なのに、それを山の上で焼きたてを食べられるとなると幸せ以外の何物でもない。トマトとか、チーズとか好きなものをいくらでも乗せられるのも幸福度を上げてくれる。

キャンプ中、たった1ページしか綺麗な姿を見せてくれていない先生であるが、彼女が飲んだくれている日本酒も美味そうだ。焼き鳥と日本酒が合うという先生の言葉には同意せざるを得ない。犯罪的な旨さである。

あと忘れてはいけないのは、しよゆ漬け……しよゆ漬けって何? いや、分からん。結局何だったんだ……?

 

この第十二巻はかなりの遊び心が仕込まれた巻となっている。『水曜どうでしょう』風の規格発表に、フォントに場面転換。こうしてみると、かなり印象的で分かりやすい唯一無二の編集だったんだなと思う。

それを漫画の媒体に落とし込んでいるのはかなり面白い。読んでいて楽しい巻であった。

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