※ネタバレをしないように書いています。
キャンプに行こう
情報
作者:あfろ
試し読み:ゆるキャン△ 5巻
ざっくりあらすじ
年始早々からバイトに勤しむなでしこ達。少ない休みには遠出してキャンプしたり、初日の出を見に行ったりと冬を満喫するのだった。
感想などなど
年が明けるということに特別な意味を見出して、新年一発目の日の出は初日の出としてわざわざ見に行く人々がいる。かくいう自分は初日の出の時刻は爆睡していて、まともに地平線の彼方から登ってくる太陽を見たことはない。
それをもったいないと感じる時が来るとは、考えたこともなかった。
リンは一人で福田海岸と呼ばれる日の出スポットへと赴き、千明と犬山姉と犬山妹と鳥羽先生の四人で身延山へ。それぞれ海と山という正反対な立地だが、心が洗われるような光景を見ることができる。
吐く息が白くなるような、手がかじかむような寒さの中、多くの人が集まって日が昇る様を見るのはいいものだ……素直にそう思う。
そんな冬の楽しみは初日の出だけではない。外で食べる食事もまた魅力的だ。
千明たちが食べた串団子。『苦死』を切るという意味で、『串』を切る洒落の効いた縁担ぎも含め、日本らしさのある冬のお菓子だ。よもぎとか餡子とか、読んでいるだけで食べたくなること必死。
リンは年越しに合わせて蕎麦を持参。アツアツで出汁の良く出た汁をすすりつつ、蕎麦を豪快にいただく。これもまた日本のらしさが出ていて好きだ。
キャンプ場にやってきた移動式のピザ屋。外で食べるピザというのは、少し特別な感じがして、「お金がないんや……」と購入を諦め……ることができなかったリンの気持ちもよく分かる。少し金を出してでも味わいたい気分という魔力が、そのピザにはあった。
食事の話となれば、なでしこは外すことができない。
とても美味しそうに食事するなでしこは、周りの人を笑顔にする。中学三年生の頃までは丸々と太っていたなでしこの写真が登場するが、それに対する感情は驚きよりも納得の方が大きい。
なにせその写真ですら何かを喰っていた。きっと周りの人が色々と買い与えて食わせていたのだろう。その光景がありありと想像できる。
一人で過ごす、寂しさを楽しむ時間と、大勢でワイワイとしつつ過ごす時間、それぞれの良さが描かれていく。アウトドア系の楽しさがこれ以上ない程に伝わってくる構成の上手さが光るように感じた。
元々コミュ力の化け物にして、多くの人に笑顔を振りまき、一人キャンプしかしてこなかったリンの牙城を崩したなでしこが、一人キャンプの良さに気付きつつあった。いずれ彼女が独り立ちしていくのも遠くないかもしれない。
かくいう自分もキャンプに行きたい欲が高まりつつあった。