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【漫画】よふかしのうた2 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

今日に満足できるまで夜ふかししてみろよ

情報

作者:コトヤマ

試し読み:よふかしのうた (2)

ざっくりあらすじ

吸血鬼になりたいという彼の話を聞いても、変わらず学校に誘い続けてくれる朝井アキラが、よふかしに加わった。何としてでも吸血鬼になりたい夜守コウは、毎日のように七草ナズナに会いに行くが、進展はなく――。

感想などなど

中学生の時、不登校の友達の家に、書類を届けに行ったことがある。

その書類の中には、「学校来いよ!」「学校楽しいよ!」とかクラスメイトが書いた寄せ書きが添えられており、自分もその中に一文書いた。たしか「学校の図書室に『動物のお医者さん』が全巻あったぞ」って書いた気がする(『動物のお医者さん』は超面白い少女漫画。少女漫画でありながれ恋愛要素は皆無である)。

不登校の彼は、一時期だけ学校に来ていた。虐められていたということはない(自分が認識していない可能性、記憶違いの可能性、いくらでも考えられるが)。そんな彼に学校の楽しさを力説したところで、彼の経験がそれらを否定する。だったらと、自分なりに考えて添えた一文だった。

結局、不登校の彼は『動物のお医者さん』全巻を自分で購入して読破した。図書室に面白い漫画が置かれている程度では、学校に来る理由には足りないということだろう。自分の好きな作品を布教しただけで終わったという、つまらないオチである。

夜守コウにとって、学校に行く理由が存在しない。超可愛い同級生に誘われたら、自分ならホイホイ学校に行く気がするが、それは自分が単純馬鹿だから。そもそも学校に行かなくなった理由の一端が、同級生に告白されたからという特殊事例の彼に、自分たちのような一般人の思考回路を当てはめて考えることが間違っている。

あげくの果てに将来の夢が吸血鬼になりたい、だ。そのために吸血鬼に恋をしなければならない、だ。そんな一連の話を聞いて、それでも彼との友達関係を継続させようとする者もまた、夜守コウと同じ匂いのする人間なのだろう。

そんな彼と同型種の人間が、超可愛い同級生・朝井アキラである。

 

彼女は朝4時に家を出て学校に行くという、不良のような、健康児のような、良く分からない学生である。夜8時に寝て、明朝に起きるという斬新な生活スタイルだ。ただ明朝過ぎて、ある種の夜行性のようになっている。

ただその生活スタイルのおかげで、ナズナに恋をして吸血鬼になりたいコウと、コウの血を吸い続けるナズナという一巻で完成された関係性を知り、理解した。

その上で彼女が取った行動は、夜守コウのこれからを見守るというものだった。「良かったね。夢が見つかって」という彼女の言葉が、彼女のスタンスを物語っているように思う。

そして、「いつか来てくれるかな学校……きっと……楽しい……」という台詞まで含めて、朝井アキラの人間性を象徴しているように思う。彼女のそのスタンスと性格があるからこそ、二人の関係性は途切れることなく続いていく。読者としては続いて欲しいという風に思ってしまう。

あと、おっぱい大きい。これ大事。吸血鬼・七草ナズナも言っている。

 

本シリーズの魅力をたくさんの人が語っている。独特な夜の雰囲気と、七草ナズナというヒロインの存在は根幹であり、たまらない魅力となっている。その中でブログ主的にはテンポの良さが魅力ではないかと思っている。

この作品では『夜守コウが七草ナズナを好きになって吸血鬼になる』という明確すぎる目的が宣言されている。『好きになる』という事象がそもそも抽象的だが、そのことは夜守コウも自覚している。どのようにすれば好きになることができるのか、暗中模索している様が描かれていく。

その進捗がしっかり明確に描かれている。

第二巻を通して、夜守コウは「好き」にはなれずとも様々な感情を引きずり出される。それは「性欲」であったり、「嫉妬」であったりするかもしれないが、少しずつだが彼という人間の内面が出てきているように感じられた。人間味が出てきたとでも言えばいいのだろうか。

それにより、夜守コウは「ナズナのことを知りたい」と思うようになる。少なくともブログ主はこのことを大きな進展だと思うし、重要な第一歩だと思う。そこに至るまでの過程が、朝井アキラという同級生の登場や、ナイトプール回、ラブホ回といった様々なシーンを経て描かれている。

『好きになる』という抽象的なゴールへの階段を、少しずつ上っている感覚……それが感じられる作品はなかなかない気がするが、皆さんはどう思うだろうか。

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