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【漫画】よふかしのうた5 感想

【前:第四巻】【第一巻】【次:第六巻】
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※ネタバレをしないように書いています。

今日に満足できるまで夜ふかししてみろよ

情報

作者:コトヤマ

試し読み:よふかしのうた (5)

ざっくりあらすじ

吸血鬼を殺す探偵・鶯アンコや、血を吸わずに凶暴化した吸血鬼との遭遇を経て、「吸血鬼になりたい」という自分の夢に疑問を抱いた夜守コウ。人として生きるか、吸血鬼として殺されるか? コウの選択は――。

感想などなど

吸血鬼になりながら十年間、血を吸うことを我慢し続けた男がいて、学校に肝試しにやって来たコウ達を襲った。吸血衝動に抗い続けていたのも、いい加減に限界が来ていたのだろう。

そんな男を人として殺したのが、探偵・鶯アンコだった。

タバコの似合うトレンチコートに丸眼鏡の美女が、余裕の表情を浮かべ、服をはだけさせたまま首筋から血を垂れ流す絵面は、刺さる人には刺さるのではないだろうか。少なくともブログ主の心には深々と刺さった。そのまま中学生達に向け、「吸血鬼って知ってるかい?」と訪ねるまでの流れが最高である。

この夜の遭遇は、夜守コウの考えに大きな衝撃を与えた。

これまで「吸血鬼になりたい」と願って、ナズナに何度も血を吸わせていた。彼の周りにいる人は、吸血鬼という存在を受け入れ、自ら吸血鬼になる者さえいた。そんな中、「吸血鬼になりたくなかった」という者の存在は想像もしなかった。

「吸血鬼による被害者」を見せつけられたコウは、自身の夢について考えさせられることになる。

吸血鬼になったとして、それからどうするのか?

そもそも彼が吸血鬼になろうと決意した理由は、実にフワッとしている。ナズナに見せられた非日常が広がる夜の世界に憧れたからか、日中の日常に嫌気が差したからか。コウ自身、明確に言語化できるかどうか怪しいところだ。

吸血鬼になると不老となる。ナズナを含め、吸血鬼達の年齢は不明だが、これから何も起こらなければ十年、二十年、百年近くその若々しさを保ったまま生き続けることだろう。その間、日常を捨てて、ずっと夜の世界を生き続けられることを幸せと思える人はそう多くない。

その悩みを抱えたコウにダメ押しするかのように、友達のマヒルは質問を投げかける。

「お前、吸血鬼になって何がしたいんだ?」

「吸血鬼になって人をだまして血を吸うのか?」

コウが吸血鬼になれば、人の血を吸わなければ生きていけないだろう。学校で吸血衝動を必死に我慢していた男のように、十年ほど経てば死んでしまう。血を吸わないという選択肢はない。

コウはさらに考える。ナズナにその悩みを打ち明ける。

対するナズナの反応は、実に冷めたものだった。

 

そういえばあまり考えてこなかったが、ナズナはコウのことをどう思っているのだろうか。変な奴と思っているのだろうか、退屈を紛らわせる相手と思っているのだろうか。ただ血を吸わせてくれる良い人と思っているのだろうか。

そのどれも違う気がする。

そもそも二人の関係を説明することが難しい。

かつて他の吸血鬼達に絡まれた際、コウに触れようとする吸血鬼にガチ切れしていた。少なくとも他の吸血鬼に、夜守コウを取られたくないという想いは確かにあった。ただ彼女の行動は、自分に惚れさせようという意思はなく、常に自然体であった。

まぁ、それが魅力なのかもしれないけれど。

この第五巻では「吸血鬼になりたい」という夢に対して、改めて本気で考える夜守コウと千草ナズナの物語であって、その心境の変化が大きな意味を持ってくる。最後の千草ナズナは破壊力が凄いということだけ、ここで述べておこう。

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