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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第二話【感想・解説】

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2020春アニメ化リスト

 

まず最初に

第一話の感想・解説記事が公開された時点で、第五話が放映されているというスルースタートな更新開始となってしまいましたが、それなりにアクセスを集めることができているようで……有り難い限りです。ペースとしては週一、ゆっくりとではありますが今後ともお付き合いいただければ幸いです。

第二話でも相変わらず、RTAばりに攻略を進めていくカタリナ様。彼女の活躍を見ていきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 「畑仕事は魔力向上に意味はありません」と魔法の先生に言われたが、趣味として、国外追放されても生きていけるようにするため、に畑仕事を続けていく。
  •  キースとジオルドは共にカタリナに惚れているが、腹黒ドS王子やチャラ男というゲーム内の印象が強すぎて気付くことができていない。まぁ、それを差し引いても鈍感すぎるが。
  • 剣術に関しては「勢いは凄い」と褒められた。
メアリ・ハント

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • ハント公爵家の四女。母親の身分が低かったため、母親の死後、三人の姉達に嫌がらせを受けるようになる。その生活の中で、中庭で植物達の世話をしている時が唯一の癒やしだった。
  • ゲームではアラン王子にベタ惚れで、カタリナのように嫌がらせをするような形ではなく、自分の魅力を高める形で主人公に対抗する。その結果、どのエンディングでも死ぬことはない。
  • 今後、ジオルドに最も警戒される程の腹黒に成長を遂げる。手段を選ばないとも言える。
アラン・スティアート

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 王国の第四王子。メアリとの婚約者。
  • 兄ジオルドとは双子で生まれた。しかし生まれて数年は身体が弱く、ほとんどをベットの上で過ごした。本格的に剣術や学問を学ぶことができるようになると、ジオルドとの距離と詰めようと必死に努力するが追いつけず、使用人達が「良いところをジオルド様に全てもっていかれた」と噂されているのを耳にする。それ以来、自分に全く自信を持てなくなり、他人を信用することもできなくなる。
  • メアリとの婚約は他の貴族達が躍起になってあてがっただけに過ぎない。ゲーム内でも恋愛感情というよりも、妹に向けるような感情という方が近い。
お茶会

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 同年代の貴族の子息と交流を深める目的で開かれる。
  • 九歳くらいから参加して、社交界デビューに備えるのが一般的。
  • アホの子だが、王子の婚約相手であり、公爵家の長女ということもあり人気者。もし彼女に嫌われたら生きていけないとまでされているレベル。
緑の手

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • ゲームではアランが言うはずだったが、カタリナが奪ってしまった台詞。
  • 『緑の手を持つ女の子』という物語から、『植物を育てることが上手な人』のことを『緑の手を持つ人』と言うようになった。
  • アランもキースもこの物語のことを知っているため、この世界の住民にとっては慣れ親しんだ物語なのだろう。
爵位
  • 貴族という特権階級の位付けのこと。国や時代で微妙に異なるが、本作では一般的に爵位として扱われる五爵が当てはまる。
  • 位が上の方から順に、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵というようになっている。
  • クラエス家は公爵、ハント家は侯爵、アン=シェリーの生まれは男爵家。

注目すべきポイント

ジオルドとキース

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ジオルドとキースを陥落させたカタリナ・クラエス。そんなことは露知らず、ジオルドとキースが互いに牽制し合う光景を、微笑ましい光景と捉えて顔をほころばせる。

あまりにも鈍感すぎるが、ゲームでの印象が強すぎるということ、前世での恋愛経験のなさが起因している。まぁ、前世の描写からして自動的に、無意識に人を救ってしまうことがあったため、彼女の鈍感は生まれ持った病気だろう。

ゲームでは全くもってカタリナに対して興味を抱いていなかったジオルドも、いつの間にか三日に一度ほど訪れ、畑仕事の手伝いをするようになっていた。ジオルドとカタリナが二人きりになることを嫌い、キースも一緒にいることが多い。

ハント侯爵家主催のお茶会

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ハント侯爵家のお茶会に招待されることとなったカタリナ・クラエス。マナーのまったくなっていないカタリナを送ることに抵抗のある両親だったが、実地で経験を積ませた方が良いだろうということで、前日までマナーを詰め込み小言を言って、(キースを)信じて送り出した。

ちなみにキースはカタリナの隣にふさわしい男になるために――元々それなりにできてはいたが――マナーの特訓に余念はない。カタリナは三秒ルールに則り床に落ちたお菓子を頬張り、スカートのまま木を登り、ジオルド王子にほっかむりで接するような女の子なのでマナーの出来不出来に関する説明は不要だろう。

ハント侯爵家には四人の娘がおり、長女は十四歳で、もうじき社交界デビューを控えている。次女と三女に関して明確な説明はないが、(メアリを除く)三人とも蜂蜜色の髪に瞳だと描写されているため、一人だけ髪色の違うメアリだけが浮いているような印象を受けた。

アニメで描写されているハント侯爵家の娘らしき三人の女性は、髪色も瞳もバラバラであるため、表だって挨拶をした子が長女で、後ろの二人は付き添いか友人なのかもしれない。となると自己紹介をするメアリ・ハントに冷たい視線を向ける描写と矛盾する気もするが。

中庭の花壇

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

お菓子を食べ過ぎて、トイレに駆け込むことになるカタリナ様。今後も学習することなく、限界一杯まで食べ物を口に詰め込み続ける。十五歳になって学園に入学してもなお、彼女のその性格はむしろ悪化の一途を辿る。カタリナの元気がなくなれば、友人達が「お腹が空いているのかしら」と食事を勝手に持ってくる程度には、彼女の食欲旺盛さは知れ渡ることになることを、カタリナは知らない。

さて、トイレに行ったはいいものの帰り道が分からなくなったカタリナは中庭へと辿り付く。そこには今後、腹黒乙女として成長を遂げることになるメアリ・ハントと、美しい庭園があった。

畑の野菜達の成長が芳しくないため、相談相手としての庭師の紹介をお願いするカタリナ様。メアリは、自分よりも位が上のカタリナが農作業をしていることや、自分のような下の人間に明るく話しかけてくれることに困惑しつつも、「自分が中庭の世話をしている」ことを語り、家に行って相談に乗ることを約束する。

このとき、カタリナは「迎えを出す」というように言っているが、メアリに断られた。些細ではあるが、公爵と侯爵の身分の違いを気にしていないカタリナの性格が表れている。

緑の手

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

公爵家の娘が畑仕事を本当にしているということに驚きつつ、事前に野菜の勉強をしてきた知識を駆使して畑の改革に乗り出す。数日ほど通い詰めていると、互いに魔力を持っていて学園に通うことになること、同年代であるということを知り、次第に仲良くなっていく。

そしてターニングポイントがやって来る。

「メアリの手は緑の手なんだわ」「メアリは特別で素晴らしい存在だわ」

この台詞を受けたメアリの心境を、『メアリの過去』と『ゲームにおける状況』の二点から説明していく。

  • メアリの過去

メアリは貧しい身分の母親から生まれ、髪色も他の姉達とは異なっていた。母親がいる間は大人しくしていた姉達も、母親の死後に彼女を虐めるようになった。ちなみに父親は仕事によりほぼ家におらず、使用人達も逆らうことなどできるはずがなかった。

その経験により人と接することが恐くなり、自分に自信もなくなっていく。自己嫌悪のサイクルと、ただひたすらに孤独に中庭で植物を育てる日々。

そんな彼女が公爵家であるカタリナにより、『緑の手を持つ特別な存在』として認めて貰うということは大きな意味を持つ。このとき、初めて自分という存在を認めて貰ったのだ。

  • ゲームにおける状況

さて、ゲームではこの台詞をアラン王子が告げるはずだった。それによりアラン王子のことが本気で好きになり、王子の隣にふさわしい女性になろうと努力し、主人公であるメアリの前に正々堂々と立ち塞がる敵役となる。

カタリナとは違い、マリアとアランが結ばれる『ハッピーエンド』では素直に身を引いて二人を祝福し、『バッドエンド』ではアランとメアリが当初の予定通りに付き合うというエンドである。ともにカタリナはあまり関わらず、メアリ自身も権力を振りかざすカタリナを良く思っていなかったようだ。

しかし、カタリナが農家になったことで状況は一変する。メアリがアラン王子に向けていた恋の矢印が、カタリナに向いてしまったのだ。これにより新たな破滅フラグが生まれてしまわないか心配するカタリナであった……。

アラン王子襲来

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

畑仕事をしていると、いきなりやってきたアラン王子。どうやらメアリを誘惑されたことにご立腹であるらしい。可哀想に、メアリも『アラン王子と婚約した』ことよりも『カタリナ様と同じように王子と婚約を結んだ』という事実を喜んでいる。アラン王子のことが眼中にないことが分かって貰えるだろう。

つまりはアラン王子の怒りもごもっともな訳だが、そこに追い打ちをかけるように「男としての魅力がない」と告げるカタリナ。一応言っておくが、彼は王子である。相手が相手、時代が時代ならば極刑に処されていても文句は言えまい。そこまで馬鹿にされたことを不問にし、暴言を挑戦状と言い換えてくれた彼の男気には拍手を贈りたい。

そして肝心の勝負内容は……

勝負内容

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

カタリナが選んだ勝負内容は木登りであった。当然だが、アラン王子は木登りをしたことがない。彼が想定していたのはボードゲームや魔法や楽器演奏であったことだろう。そんな常識が彼女には通用しないということを思い知らされることとなる。

ちなみに勝負の行われている大木周辺には、大きな猿が頻繁に出没するという噂が流れている。新手のホラーのようだ。

勝負の結果はカタリナの連戦連勝。前世では野猿として称えられた(?)彼女に勝つことは、大抵の人間にはできない。そうして連日通い詰めることになるアラン王子は、いつしかカタリナと仲良くなっていく。

そしてカタリナの婚約者で、三日に一度は欠かさずやって来るジオルドとかち合うのも時間の問題であった。

アランとジオルドの確執

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

カタリナと仲良くするアランが気にくわないジオルドと、いつも比べられ下に見られてきたアラン。二人が顔を見合わせ、険悪なムードの漂う中、珍しく空気を読むことに成功したカタリナは、木登りとはまた違った勝負としてピアノを選択する。

勝負の結果としてはアランの完勝。しかし、ジオルドからの心ない賞賛を受け、飛び出していくアラン。実際は長年ベットで寝ていたはずなのに自分に追いつこうとしてくるアランを、ジオルドはとても高く評価している。

逃げ出したアランを追いかけ向かった先は、これまで木登り勝負をしてきた大木。

そこでカタリナは「向き不向きがあるということ」を語って聞かせ、ジオルドは蛇が苦手であるということを、蛇のおもちゃを投げつけることでアランに示すことで、アランとジオルドの間にある確執は解消され、自分に自信を持つことができるようになっていった。

ゲームではマリアと恋に落ちることで解消されていく問題点だったため、カタリナが解決させてしまったということを意味する。破滅フラグとは違うが、一つマリアの役割を無自覚に奪ってしまうカタリナ様であった。

最後に

アニメオリジナルのシーンなどを見ていると、アニメ制作者の原作に対する理解度の高さが伺えます。アニメスタッフに恵まれ、原作ファンとしてはこれ以上ないという程に心強いことでしょう。

声優が行う畑仕事も、ブログ主は楽しく見ています。本当に愛されていますね……記事を書いていて楽しい作品で良かったです。

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