まず最初に
第三話になりまして、主人公以外のメインキャラは全員攻略してしまいました。恐ろしいタラシです。両親やメイドまで合わせると、そのタラシ率というものは百パーセントなのではないでしょうか。道筋はどうであれ、結果として相手の心にクリティカルヒットする台詞を選択し続けるというのは尊敬に値します。
そんな第三話を早速見ていきましょう。
用語・人物解説
カタリナ・クラエス
- 公爵令嬢としてのマナーがなっていないというように両親からも心配される。
- 十五歳の誕生日を迎えるということは同時に、社交界デビューするということを意味するため、その誕生日パーティには大きな意味がある。
- ジオルド様と婚約をしているものの、メアリやキースにより、王子と結婚するということの不安などを植え付けられ、母親はカタリナの結婚に反対までするようになっている。
ソフィア・アスカルト
- 国の宰相であるアスカルト伯爵の娘。カタリナを深くお慕いしている。
- アルビノという先天的に色素が欠損していることにより、髪は白く、瞳は血の色が透けた赤に染まっている。そんな白い髪と赤い瞳により、周囲から心ない言葉を掛けられて育ってきた。
- 本が好きで、その範囲は幅広い。
ニコル・アスカルト
- 国の宰相であるアスカルト伯爵の娘。カタリナを深くお慕いしているが、王子の婚約者に手を出すわけにはいかないと自制している。
- 心ない妹に向けられた誹謗中傷の同情から、不幸な兄としてのレッテルが貼られており、それを歯がゆく思っていた。
- 魔力は風。
宰相
- 君主に命じられ、城で国政を補佐する者。つまりはかなり優秀。
- アルビノというのは劣性遺伝子であり、両親から共にその遺伝子を受け継いでいないと発現しない。そのため両親ともに劣性遺伝子を持っていながら発現しておらず、ソフィアが劣性遺伝子をピンポイントで引き継いでしまったと考えられる。
- 宰相の才能への嫉妬などから、娘への嫌がらせが加速したという背景もある。
エメラルド王女とソフィア
- カタリナがはまっているロマンス小説の一つ。
- 王女様と平民の女の子の美しい友情を描いている。ロマンス小説では王子や騎士との恋や、友情物語が多いためスタンダードな内容とも言える。
- 物語のソフィアは美しい黒髪に黒い瞳の少女として描かれている。ソフィアと王女との出会いは、街中で突然「とても、綺麗な髪ね。少しだけ触っていいかしら」と王女がソフィアに話しかけるシーンとなっている。
注目すべきポイント
カタリナのロマンス小説趣味
もともと現世ではオタクだったということもあり、物語に飢えていたカタリナ。そこで彼女が出会ったのは、貴族達の間では下世話なものとして扱われており、趣味として公にはできないロマンス小説であった。
母親としては、そのような下世話なものに手を出して欲しくないのだが、外に出て木登りしたり、魚釣りしたり、畑仕事をしたりするよりは室内で大人しく本を読んでくれる方がマシだと判断したらしい。
小説の装丁を見る限り、かなり高価な本のように見えるが、この国では城下町でも販売されているような本である(というか元々貴族界ではあまり出回るような品ではない)。
王族主催のお茶会
王族主催のお茶会に招待されたカタリナ一行。ここでは『カタリナ達の背景と行動』と『ソフィア達の背景と行動』について説明していきたい。
- カタリナ達の背景と行動
カタリナとメアリは、それぞれ王子の婚約者であるため当然招待され、キースも次期クラエス家当主として呼ばれている。王族主催というだけあって、用意されたお菓子や飾り付け、用意された食器までも豪華だ。
そしていつも通りに食べ過ぎるカタリナ様。今も過去も未来もこの調子なので安心して欲しい。一応、漏らすことなどないように学習したようだが、食べ過ぎないという方向に思考が向かわないのは流石と言うべきだろう。「太るのでは?」という心配があるかもしれないが、毎日のように畑仕事や木登りというハードスケジュールをこなしているため問題はない。
前世で犬猿の仲であった犬に追いかけ回され逃げた先の木の上から、虐めを受けるソフィアを発見。彼女自身、それを虐めとは全く認識せず、「なんか集まってきちゃった!」というように思う辺りカタリナらしい。しかしトイレに行きたいが為、正面突破でその場を乗り切る。ソフィアを救い出す格好いい登場のように見えるが、ただトイレに行きたかっただけだったことを、ソフィアは知らない。
- ソフィア達の背景と行動
宰相の息子ということもあり、ニコルも招待を受けた。ソフィアも「今後社交界にデビューすること」を考えると、マナーや人に慣れておかないといけないということで参加することに。嫌々ではあったが、兄と一緒ということで何とか受け入れたようだ。
しかし、すぐに会場の外へ連れ出されて虐めの対象となるソフィア。原作では「やはり部屋を出るべきではなかった」というように心境を吐露している。そこで颯爽と現れ彼女を救ったのはカタリナ様であった。ここでソフィアは、カタリナ様とエメラルド王女を重ねて見ている。
会場に戻って、偶然にもカタリナを見つけることができたソフィア。ここでなけなしの勇気を振り絞って話しかけると、エメラルド王女と同じ台詞を言ってくれるカタリナ。まるで物語と同じような展開に、彼女が心を打たれるというのも仕方あるまい。
ロマンス小説仲間
家にソフィアを招待したカタリナ。それについてきたニコル。ここでニコルとのファーストコンタクトとなり、緊急の無脳内会議が開催される。結論として、『ソフィアと仲良くする分にはニコルのルートには入らない』となっているが、ニコルを攻略するためにソフィアから攻略するという正統な攻略手段を踏んでいるということに彼女が気付くことはない。
ちなみにニコルが来た理由は、以前にソフィアが同じように招待された際、ただ罵られるだけ罵られて帰ってきた過去があるためである。世の中、たいそうな暇人がいるものだ。
楽しい時間というものはあっという間に過ぎ去って、ソフィアの迎えの馬車がやって来る。そこで(無意識のうちに)ソフィア攻略のためのラストスパートを掛ける。
「私は、ソフィア様のその絹のような白い髪も、ルビーみたいに赤くキラキラした瞳もとても綺麗だと思います」
「ですから、また遊びに来て頂けると嬉しいです。そしてよければ、私のお友達になってくださいませんか?」
ソフィアの白い髪と赤い目が誹謗中傷の対象になっていたことは、これまでの話から分かっていただけるだろう。そのため自身の容姿に自信を持つことができず、家に閉じこもる日々を送っていた。
「エメラルド王女とソフィア」で描かれているような美しい友情物語などない、と思いながらも、想像を膨らませ期待し続けた日々。そんな彼女を救いだしてくれたカタリナ。彼女が流した涙の意味を理解して貰えただろうか。
あっちゃんとソフィア
あっちゃんとソフィアを重ね合わせるシーンというものは、原作にも度々描かれている。同じ長髪に、オタク仲間、ともにカタリナに救われた(あっちゃんが救われたエピソードは後々説明したい)という共通点がある。
カタリナの想像通り、ソフィアが前世の世界にいたとしても、きっと同じように友達になっていたことであろう。それほどに似ている二人だ。
ニコル攻略
ソフィアを攻略した後にニコルを攻略するという正統な手順を踏んだカタリナ様。彼女にその自覚がないのは、いつも通りのこと。いい加減、アニメ視聴者も慣れたことだろう。
彼が抱える心の闇は、『幸せなのに、それを理解してくれない周囲に対する憤り』だ。ソフィアの容姿に向けられる誹謗中傷は、同時にニコルに対する同情へと変わっていく。
その同情を拒絶しても、周囲はニコルの優しさを褒めて、さらに同情を深めていく。まるで彼が不幸のドン底にいるような扱いで、彼自身「俺は不幸なのか」と心の片隅に抱くようになっていく。
その疑念を振り払ってくれたのは、「幸せですね」という屈託のないカタリナの笑顔だった。追い打ちを掛けるような「違うんですか?」というカタリナの問いに、ニコルは笑顔で答えることができた。今後も家族とともに、幸せな日々というものを歩んで欲しい。
ちなみにキースがニコルに対して抱く感情は恋愛感情などではなく、タラシこまれる人がさらに増えてしまったという驚きが大きいだろう。彼には胃を痛めない程度に、防波弟としての役割を全うして欲しい。
十五歳の誕生日
時間は飛んで、カタリナ様の十五歳の誕生日。社交界デビューとなる大きな節目だ。これまで盛大な誕生パーティは開かれなかったが(本人が面倒だと拒否していた)、ここだけはどうしても外せないということで敢行された。
皆、立派に成長し、美しく、かっこよく、ゲームと同じような容姿へとなっていた。しかし中身はゲームとは大きく異なっているということは説明するまでもないだろう。
ジオルドは持ち前の腹黒さでカタリナとの既成事実を作ろうとするし(といっても現時点では本人に合わせてゆっくりと攻略するつもりだった……だったんだよなぁ……)、アランは……メアリの策略により恋心を意識しないように洗脳されているが、カタリナを好きであるということに変わりはないし、ニコルは実際のところカタリナを溺愛してるし、メアリは二人で国外逃亡する準備までしている。ソフィアはニコルとカタリナをくっつけていちゃいちゃする計画という名の妄想をしている。
酷い状況だ。それでも皆に幸あれ……。
最後に
一巻の内容が終了。アンとのエピソードなど入れたかったのですが、これから先の解説記事のどこかにねじ込みたいと思います。次話からゲーム本編の部分へと入っていき、本格的に破滅フラグが襲い……襲って……たぶん来るので、破滅フラグ君の頑張りに期待しよう。
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