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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第九話【感想・解説】

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2020春アニメ化リスト

 

まず最初に

一応、原作にあるエピソードを交えつつ、カタリナ付きのメイドであるアンのエピソードが描かれていく第九話。これまで本記事で語ってきた総復習的な内容も踏まえつつ、アンに関してもまとめていきます。てっきりアニメでは描かれないと思っていたので、どこで書くべきかずっと迷っていたことでしたが、ちゃんとやってくれたようで何よりです。

二期も決定し、円盤売上も順調な本作の感想・解説を見ていきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • アンが話にくいことを察して話を変える名采配。さすがは貴族令嬢。
  • アンには毎年欠かさずに誕生日プレゼントを贈っている。また、アンが勝手に結ばれた婚約を、父親の協力もありつつ破棄させた。
  • 世界観的に政略結婚は珍しくない。元々カタリナの両親は、互いに互いが好きでもない相手と政略的に結婚させられているんだ……と勝手に勘違いしていた。ニコルの母親も政略結婚させられそうなところを父親に略奪されるような形で結婚している。
アン・シェリー

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • カタリナが八歳の頃から仕えるメイド。カタリナ付きとして学園まで付き添っている。
  • シェリー男爵とその使用人であった母との子供。幼い頃に家事で火傷を負い、政略結婚の道具としては使えないとして、捨てられるような形でクラエス家にやって来た。しかし数年が経過して、アンとの婚約者を見つけてやったとして引き取りに来るが、カタリナやルイジに押されて逃げるように帰って行った。
  • 「無人島に持っていくとしたら?」という問いに対しては、迷わずカタリナ様と答え、「恋人としたいことは?」という問いには、カタリナ様の次にお菓子や料理を食べさせてあげたいですね、と答えるほどにカタリナ様大好きである。
使用人の扱い

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • カタリナの住む国は平和だが、一度外に出ると『人身売買』や『スラム街』といった治安の悪い国というのも珍しくない。むしろカタリナ達のいるような平和で治安の良い国という方が珍しい。
  • 「使用人には何をしてもいい」という人権意識の国もあり、そこでは奴隷のように扱われる使用人も珍しくはないようだ。また魔法が使える人間は高く売れるらしい。
  • 六巻以降ではそのようなシリアスな設定や展開が多くなっていく。

注目すべきポイント

カタリナ大好き ジオルドの場合

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

まず最初にカタリナ付きのメイドとして学園までついてきたアン目線での、カタリナハーレムの様子というものが描かれる。それぞれの人物達の裏の顔らしきものが見て取れ、見所は満載である。

まずはジオルド様とのエピソード。状況としてはカタリナの額の傷が消え、それにカタリナとアンの二人でひとしきり喜んだ後、意気揚々とジオルドに報告して婚約を破棄して貰おうとしたという状況である。

カタリナとしては『さっさと破滅フラグを破棄してしまおう』『ジオルド王子はカタリナのことを他の婚約者を遠ざけるための楯としか思っていない』とか考えているので、ジオルドはすぐにでも婚約を破棄してくれるとか思ったのだろう。

残念だがジオルドはカタリナにベタ惚れである。もしも彼女が殺されたならば、自身の持つ権力を総動員して犯人を見つけ出して、普段は使わないようにしている魔法を使って殺す程度に。

一介のメイドに過ぎないアンとしては生きた心地がしなかっただろう。カタリナが着ずが消えて喜んでいる理由が、『王子との婚約を解消できるから』と思っていたとは考えようもしなかったのだ。

そして王子が傷は残っていると言えば、残っているとしか言えないのである。カタリナはそこから考えて、ジオルドの思いというものに気付けば早い話ではあるのだが、残念ながら彼女が考えるという展開が今後ないに等しい。『ゲームよりも腹黒だわ!』と意味不明な方向に思考が向かっていく。

カタリナ大好き キースの場合

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ずっとカタリナと接してきたアンは、当然だがキースとも接する機会というものが多い。異性としては一番距離感が近いはずのキースだが、それ故の苦悩というものがキースにはあった。

まずカタリナが女性としての自覚なく距離を詰めてくるというのが、キースとしては我慢ならなかった。また家族(一応義理なのだが)ということもあり、その距離感は更に狭まっていく。これまでの記事でカタリナとキースのエピソードは何度か紹介しているので確認して欲しい。

その度にキースは己の色気というものが、カタリナには全く通用しないということを思い知らされる。原作でもキースの色気に対して、「まったく分からない」とカタリナは語っている。

肝心の相手に通じなければ意味がない、と語るキース。悲しい。彼の場合は、異性として意識してもらうためのハードルというのが高すぎるのであった。

そのような苦悩を抱えるキースは、母親を味方に引き入れて、カタリナに王子との結婚なんて身が重すぎるという発想からアプローチをしかけることで、婚約を破棄させようと目論む。

カタリナ大好き アランの場合

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ジオルド王子の双子の妹であるアランは、第九話まで来てもなお思いを自覚していない。メアリという厄介な婚約者を抱えているから、というのも理由の一つだが、単純に純粋すぎるというのも理由の一つだろう。

それにしても王子に野菜に向けた演奏を頼むとは、カタリナの頼み事のハードルは高いんだか、低いんだか良く分からない。しかしアランにカタリナのお願いから抗う術はない。

アランが自身の想いに気がつくのはもう少し後のことになりそうだ。

カタリナ大好き メアリの場合

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

メアリもカタリナのことを慕う人物の一人であることは説明することではないだろう。彼女の策略の一つとして、『カタリナと共に国外へ逃亡する』というものがある。冗談として、話のネタの一つとしてならば良かったが、残念ながら本気である。下調べや根回しは滞りなく進められている。

またジオルドとの婚約を破棄させるために、キースに協力して情報を流したり、男性と仲良くしているカタリナの元へ何処からともなく現れて妨害したり、『王子との婚約なんて』と苦労を語ることによるネガティブキャンペーンなど多数の工作を行っている。

しかし第一に考えていることはカタリナの幸せであり、ときにはジオルドと協力することもある。本当は良い子なのだ。

カタリナ大好き ニコルの場合

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

無表情で会話も弾まないニコルではあるが、カタリナと過ごす時間というものに幸せを感じているようだ。原作では彼視点で描かれるエピソードもあるが、それはそれはベタ惚れである。

彼はカタリナ以外の女性とは、ほぼほぼ会話が成立しない。ニコルが言葉を発しないというのも理由の一つだが、どうやら女性陣は彼の持つ色気に当てられて逃げてしまうらしい。宰相の息子として今後、お見合いをすることになるが、お見合い相手が何故か逃げ出してしまうという奇想天外な珍事も発生する程である。

カタリナが色気を感じ取るなんて器用な真似ができるはずもないので、カタリナとニコルの間には、一方通行のように見える会話というものが成立する。また微かにではあるが、ニコルも笑っている様子も見受けられる。

カタリナ大好き ソフィアの場合

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

男性同士から女性同士に至るまで、幅広い本を楽しむことができるソフィア。カタリナ大好き寡黙な兄を、カタリナに薦めていく。カタリナとしては「ソフィアは兄が大好きなんだなぁ」という程度にしか考えておらず、これ以上の思いに発展するようなフラグは見当たらない。

ソフィアにはメアリのような恋愛感情は見受けられず、「兄の恋が成就して欲しい」「カタリナ様ともっと一緒にいたい」という思いが強いように感じる。妨害工作その他には従事していない。

しかし男性(ジオルド)に絡まれるカタリナを救いださなければ! と奮闘するシーンがないわけではなく、今後の展開的には妨害工作に身を乗り出すかもしれない……というか兄を薦めるという行為は妨害工作か?

カタリナ大好き マリアの場合

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

虐めの現場から何度も救われ、友人だと呼んでくれて、孤独から救ってくれたカタリナ様が好き好き大好きなマリア。カタリナ様の好きなお菓子を作ることで、確実に胃袋は掴んでしまった。

平民であるため、お茶会やパーティといった貴族の集まりには参加できない分、他の人達とは遅れをとるように思われていたが、実際のところ、ゲームのフラグであるために(それを除いたとしても)、カタリナから向けられる意識は一番多いかもしれない。

彼女が迎えるED次第では、カタリナは追放か殺害か、その二択である。しかしカタリナ大好きな今はどうなってしまうのか、誰にも予想できないであろう。

パジャマパーティ

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

パジャマパーティをすることとなったカタリナ含む女性メンバー達。アニメでは『恋人としたいこと』というテーマでのフリートークであり、それぞれの特色が出たトーク内容となっている。

原作では他にも『恋愛イベントのようなものが起きたか』どうかをカタリナに尋ねられ、実際はあったにも関わらず(視点が切り替わり、それぞれの体験が語られる)、「特にないですね」とそれぞれがカタリナに語っている。

どうやらカタリナの鈍感スキルというものは、メアリを除きソフィアとマリアにも備わってしまったようだ。ソフィアはロマンス小説内で語られた小洒落た台詞を、咄嗟に口にしてしまって……という話。マリアは貴族男性に話しかけられたけど……という話がそれぞれ原作には存在する。

みんな可愛いから、恋愛と縁遠い生活はしていないのだ。

アンの過去

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

シェリー男爵と使用人の娘として生まれたアン。屋敷には住めず小屋で過ごす毎日ではあったが、母との生活はそれなりに悪くなかったらしい。強いて問題点を挙げるならば、この生活で使用人として感情を殺して、気に入られるために絶対服従することを教えられたことだろうか。

そして運命の転機である火災に遭遇。母は死去し、一人残されたアンも火傷(原作では背中、アニメでは腕)を負ってしまう。その傷に対する父親・シェリー男爵の言葉は、「政略結婚の道具としては使えない」というものだった。

そこから成り行きでクラエス家のメイドとして生きていくことになったアン。彼女を闇と孤独から救い出したのは、幼い頃に猿をインストールされたカタリナであった。振り回されながらも、感謝の言葉をかけられ、色々な話を聞かされ、誕生日プレゼントまで毎年欠かさず渡され……そんな幸せな日々が続いて欲しいと願う程度には惚れていた。

そんなある日。シェリー男爵から婚約相手を見つけたという手紙を受け取る。

その結婚相手というのは、あろうことか父親であるシェリー男爵よりも年上の子爵で、愛人を多数抱え、黒い噂も絶えないという男であった。おそらく女を貢いだということで謝礼金をたんまりと貰えることになっていたのだろう。

クラエス公爵に話を通したと彼自身は語っているが、どうやら婚約相手に関しては話をしていなかったようだ。アンの「必要なの」という台詞から続く暖かな言葉の数々に、アンはどれほど救われたことだろう。灰色だった世界に色がつく演出は、ベタではあるがにくい演出であった。

オチ

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

異性へのプレゼントというものは難しいもので、「高い装飾品でも贈っとけばいだろ」というものでもない。関係性によっては重いプレゼントになりかねない上、カタリナのような花より団子、花壇より畑には通じないことは想像できる。

おそらく作中の人物は皆、ジオルドと同じような苦悩をして畑に来たのだろう。たくさん集まったハサミ達。皆、彼女に対する理解度は同じであった。

最後に

二期決定おめでとうございます。原作ストックも十分ですし、新たなハーレム要員も次々と増えていくことになります。二期放映時には、またよろしくお願いしますね。

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