まず最初に
さて、第八話にて第五巻の内容が終了したにも関わらず、第九話にて第三巻の内容へ進んでいくという驚きの時間軸変遷を遂げているアニメ。「だったら何で原作の順番通りにやらなかったんだい?」という疑問が、原作ファン達の脳裏に浮かんでいることでしょう。
そのような変更にもくじけず、最後まで書き上げたいですね。
用語・人物解説
クーファ=ヴァンピール
- メリダ=アンジェルの家庭教師。当主である父親に挨拶はしていなかったようだ。
- 彼にメリダの家庭教師を依頼したのは祖父なので、父親が現状をどのように認知しているのか? を考える必要がある。
- アニメで描かれているのは第三巻の内容であるため、メリダは彼がランカンスロープであることを認知しておらず、ロゼッティの父親が事件を起こしたこともなかったことになっているはずである。まぁ、アニメでどのように描かれているかは、今後の展開を見ていくしかない。
メリダ=アンジェル
- 無能才女であった頃から筆記試験の成績だけはトップクラスだった。マナの実習に関しては最低点だったが。
- 《侍》のマナを発現しているという事実を隠していることになっているが、見る者が見れば彼女のマナが《聖騎士》ではないということは明らかであるらしい。
- 彼女を中心として色々な思惑が蠢くことになる第三巻。黒幕の目的が『メリダはアンジェル家の汚点であるということを証明しようとしている』ということを考えつつアニメを見ていこう。
エリーゼ=アンジェル
- ステータス的にはメリダより遙かに強いが、クーファに実践的な技を教わっているメリダの方が戦闘面では頼りになる模様。しかし、この第三巻の経験を経て大きく成長する。
- 全位階中唯一の回復アビリティを操ることができるはずだが、原作この段階ではあまり描写されていない。スキルはまだ未熟なのだろうか。
- クーファのことを憎からず想っていることが第六巻にて指摘されている……と第六巻の内容をアニメ化した際には記述しようと思っていた。書く機会がなさそうなのでここで書いておく。
サラシャ=シグザール
- シグザール家の娘。マナの位階は《竜騎士》、扱う武器は槍。
- 他のクラスとは一線を画する《飛翔》アビリティを有し、恐るべき跳躍力と対空能力を発揮する。防御力は心許ないが、敏捷性は非常に高い。
- 《侍》の敏捷性は二次元的だが(空を飛ぶことはできない)、《竜騎士》の敏捷性は空を移動する三次元的動きである。
セルジュ=シグザール
- 若干二十歳にしてシグザール家の家督を継いだ若き侯爵。
- メリダ様を中心にして数多の策略が渦巻く環境から、彼女を救い出すために一連の騒動を仕掛ける。
- 第三巻と第四巻を経て、彼とクーファとの間に確執が生まれることになる。アニメで描かれることはないだろう。
ミュール=ラ・モール
- 《魔騎士》ラ・モール侯爵家の令嬢。聖ドートリッシュ女学院の一年生で、サラシャと仲が良い。
- 《魔騎士》は全クラス中トップクラスの攻撃性能を誇る。固有アビリティ《災禍》は、敵のマナを喰らい奪うという性能によっって、正面戦闘においては最強を誇る。
- 《アンデルスの写本》を持ってきたのは彼女。そして、エリーゼ様を守るためにメリダの側につくと進言したのも彼女。
フェルグス=アンジェル
- 《聖騎士》アンジェル家の当主。当たり前だが滅茶苦茶強い。
- 第三話にて警備に妙な穴があることに違和感を覚え、クーファやロゼッティに連絡を行ったのは彼である。その他、メリダに対する愛を感じられる描写が所々ある。
- クーファという暗殺者に家庭教師としての依頼を託したのは彼の父親である。クーファに対してどのような印象を抱いているのだろうか。果たして。
ビブリアゴート司書官認定試験
- ビブリアゴートとは、国家の中枢部に存在する巨大迷宮の総称。直径はフランドール聖王区の約二倍。それが一階層から九十九階層まで奈落の底のように層をなしている。
- そこには大昔に綴られた《文章》が何千何百と貯蔵されている。その《文章》には一般人がさり気なく綴った手紙や、スパイの手記なども含まれ、それらの《文章》の複製が独りでに、一切の例外もなくまとめられている。
- ゆえに誰彼構わず中に入れる訳にはいかず、厳しい試験を受けて合格した者しか入ることはできない。その試験を、今回メリダとエリーゼは受けることとなった。
アンデルスの写本
- ビブリアゴートの遺産の一つである魔法書。
- 一見すると非常に精巧な仕掛け絵本。しかし、空白のページ数分だけ、周囲で起こっていることを記録することができる。
- これを用いてビブリアゴート司書官認定試験におけるメリダ様の失態を記録、公開することで彼女の無能さを世に知らしめる。
注目すべきポイント
メリダ様の日常
無事にマナを発現させ(《侍》ではあるものの)、公開試合やルナ・リュミエール選抜選を乗り越えたメリダ様。筆記の授業における成績がトップクラスだったことは相変わらず、武器を使った訓練にも無事参加できるようになり、少しずつではあるものの彼女を認めてくれる人がでてきたようです。
公開試合で戦ったネルヴァ(赤髪のツインテールの娘)との仲も深まり、普通の本を貸し借りするようになっていますね。ルナ・リュミエール選抜選の際には協力してくれるなど、すでにメリダとは仲良しですが。
ビブリオゴート司書官試験
ルナ・リュミエール選抜選という名誉ある称号を競った候補生が、最低等級のビブリアゴート司書官資格すら得ていないのは、対外的には示しがつかないという理由で参加を進められた。
学院側としては彼女達二人に『参加』だけを求めており、決して『合格』させようとは考えていない。あくまで『一年生にしてビブリアゴート司書官認定試験に参加した』という事実があれば、対外的に示しがつくという判断である。
しかしクーファはメリダに対して、『一年次最終試験』と称し『ビブリアゴート司書官認定試験に合格すること』を命じる。当然だがかなり厳しい。
クーファとしては、急激に動き始めるメリダの周囲に対して『メリダの実力』というものを知らしめる上での絶好の機会と考え、また、この機会を逃せば彼女の立場がかなり危ういものになるとも考えたようだ。
メリダの父親
メリダの父親を名乗る怪しげな男が学院に侵入。やけに目立つ登場と仮面、まるで『メリダはアンジェル家の人間ではない』ということを周囲に知らしめているかのような印象を受ける。
この騒動により、『メリダはアンジェル家の娘ではない』という噂がまことしやかに語られることになる。人達は地味な真実よりも、奇抜な噂を信じたがるものなんだよなぁ。
上司からの報告
クーファが自室にて《眠り鼠》が運んできたメモを受け取る。これは上司からの報告書である。中身は……
『十三月の夜に偽りの兵共が蠢き出す
祭壇に求むは太陽の種子か』
『十三月の夜』はクーファが所属する白夜騎兵団。
『偽りの兵』はウィリアム・ジンが所属する犯罪組織。
『太陽の子』はメリダ=アンジェル様。
つまり犯罪組織がメリダ=アンジェル様に対して何かしようとしている……という何か分かっているようで何も分かっていないことを教えてくれたらしい。役立たずかな?
その情報を受けたクーファは、
『片靴では舞えない』
と手紙を送る。これは『増援を要求する』という意味である。
ビブリアゴート司書官認定試験
いよいよビブリアゴート司書官認定試験が始まっていく。向かう先は地下、メリダ達はあくまで『参加』するだけということになっているので、学院長もついてきてくれることになっている。
試験の内容は砂時計の砂が落ちきる前に、ビブリアゴート内で目的の物を見つけ出して持って帰ってくるというもの。シンプルで分かりやすくて有り難い。
しかし目的地に到着する前に、突如生えてきた植物に襲われる面々。果たして彼女達はどうなってしまうのか?
父親登場
アンジェル家の当主であるフェルグス公が学院にやって来た。彼の目的は『メリダを退学させて連れ帰る』ことだ。彼女の父親を名乗るマスクの男が現れ、メリダ様にまつわる怪しい噂が語られる状況。
これまで静観してきたが、メリダを守るため、アンジェル家としての地位を守るために行動を始めたのだろう。また、彼視点で見るとクーファという家庭教師も少しばかり怪しく見えてくることを心に留めておいて欲しい。
そのような話をしている最中、
『悪魔の欲は満ちた
乙女の血で綴られた書物が無限の書庫を埋め尽くすだろう』
良く意味が分からないだろうが、一言で言うなれば犯罪予告である。
ビブリアゴート内部
いつのまにか迷宮に降り立ったメリダとエリーゼは亡霊に遭遇。
この迷宮内では魂ですら外に出ることが叶わないとされ、かつて司書として迷宮にやって来た人達が悪霊として襲ってくる。階層が深くなればなるほど、その悪霊の凶暴さも増していくようだ。
クーファに教わったことを胸に戦うメリダ。エリーゼも勇気を振り絞り戦う。
どうやら一対一であれば難なく勝つことができるようだ。そうしてホッと胸をつくのも束の間、大量の亡霊が現れ二人を取り囲んだ。
そんな二人を救うように降り立つサラシャとミュール……ミュールの手には《アンデルスの写本》が握られている。さて、どうなることやら。
最後に
見れば見る程、アニメと原作で順番を変えた理由というものが分からなくなってまいりました。まぁ、頑張って解説を行っていきます。しかし、かなり分かりやすいストーリーだったと言えるのではないでしょうか。理解するために必要な最低限度の情報は全て提示されているように思います。
……まぁ、原作既読者だからこその感想なのかもしれませんが。
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