まず最初に
事件の犯人と、プロサム侯爵の目的が判明した訳ですが、皆さん理解できましたでしょうか。原作既読済みのブログ主は当然理解できるのですが、原作未読者は……どうなんです?
アニメでは間をすっ飛ばしたことにより、原作では説明されているのにアニメでは言及できないことなど数多くあるように感じます。まぁ、それを差し置いても、頭に疑問符が浮かぶこともありますが。とりあえず雰囲気を勢いで理解させるスタイルでブログ執筆頑張っていきましょう。
用語・人物解説
クーファ=ヴァンピール
- 吸血鬼のランカンスロープとの混血。「母を看取った」「母と共に夜界を抜けてきた」との描写から父親が吸血鬼だったと推測される。
- ロゼッティは妹に当たる。しかし、彼女は明確には吸血鬼ではなかったこと(クーファに血を吸われたことにより眷属になったに過ぎない)から父親が違うのでは? などの推測が立つ。
- これまでロゼッティには正体を隠しながら、彼女がヴァンパイアとして血を欲し始めないかどうかを監視していた。長年会っていなかったとは言え兄妹である彼らのコンビネーションが完璧だったのは(第三話でのメリダとエリーゼの救出劇など)、必然と言えよう。
メリダ=アンジェル
- クーファの正体を知ってしまったお嬢様。どうにもクーファは彼女に甘すぎる気がする。
- クーファと二回もキスしてしまったらしい。原作では水着のポロリを目撃されたり、混浴したり、マッサージしてもらったり、まぁ、何だかんだ色々してる。
- このエピソードを境に、クーファとメリダの関係性というものが大きく変わっていく……つまりは超重要シーンとなっている。原作とアニメではシーンに対する印象というものが大きく変わってくるので、是非とも一巻から原作を読んでいただきたい。
ロゼッティ=プリケット
- クーファの妹。一連の事件の犯人だがそれらの記憶はなく、ヴァンパイア眷属としての無意識の行動だった。
- エリーゼ様の血を結局吸えなかったように、彼女の人としての理性が殺人をさせず、生気を吸い取り気を失わせるに留めていた。子供達の生気を吸い取り意識を奪ったのは彼女だが、とどめを刺したのはナクラというランカンスロープである。
- プリケット侯爵により持ち込まれた縁談は、彼女に産ませた子供を実験材料とするため。ゲスである。
プロサム=プリケット
- 亡くなったとされていた妻(=カーミラ)は、半ランカンスロープとなって生き延びていた。そんな彼女を救い出すために研究を行っていた。正確に言うなれば、ランカンスロープの言いなりになっていたと言うべきだろうか。
- 彼はナクアというランカンスロープと協力関係を結んでいた。また、とある王族とも知識を提供する代わりに資金を出して貰っていた。色々と雁字搦めな状態だった訳だ。
- 子供を引き取っていたのは実験材料としてではなく、慈善事業という名のせめてもの罪滅ぼし的側面が強い。子供が殺された際に流した涙も決して嘘ではないだろう。
ナクア
- 《大蜘蛛》と呼ばれるランカンスロープ。人の姿に化けることができ、小さな姿に分裂することも可能。《吸血鬼》のように眷属を増やし(人を支配する)ことはできないため、ジャンガルタでの研究を通して部下を増やそうとしていた。
- 一連の事件の黒幕。元々《夜界》で生きていたが、争いに敗れジャンガルタに逃げてきた際に、プロサム侯爵(この時点では侯爵ではない)と協力関係を結んだ。この辺りの時系列に関しては全てまとめて後述したい。
- 時折メリダが聞いていた謎の声の正体はナクアである。どうやらクーファの《侍》のマナの感知に引っかかっていた声、つまりクーファが聞いていた声だったが、メリダとクーファのマナの共感が強すぎるが故、メリダにも聞こえてしまっていたということらしい。
ディック
- メリダが乱入しなければ、ロゼッティと結婚するはずだった男。事件の真相を知って協力した訳ではない。
- 一応本気で彼女のことを幸せにするつもりだったようだ。プロサム侯爵のことは「お義父さん」と呼んでいる。
- キスをしたことはないらしい。
注目すべきポイント
クーファとメリダの関係性
クーファがランカンスロープと人の混血児であることが、今回メリダにバレてしまった。眷属のロゼッティが本性を現している間は、クーファの《吸血鬼》としての本性が引きずりだされるようだ。
そうして《吸血鬼》の正体を見せてしまったクーファは、メリダのクーファに関する記憶を凍結させようとする。
理由の一つは『これからもメリダ様の家庭教師として働くため』、なにせメリダは《聖騎士》のマナを発現させているということになっているが、実際は《侍》のマナを発現させている。クーファ以外には彼女の家庭教師は務まらないだろう。
また、『半ランカンスロープであることを知って欲しくないため』という理由もあるだろう。第六話(【アニメ】「アサシンズプライド」第六話【感想・解説】)にて紹介された恐い話のように、夜界出身者は言われもないような差別を受ける。さらに言うなれば、マナ能力者であるメリダにとって、半ランカンスロープであるクーファは討伐対象。
まぁ、どう考えても記憶を凍結した方が誰にとっても幸せである。
しかし、メリダは拒んだ。これまでの想い出が消えてしまうのは嫌だと、例え世界がクーファを拒んでも私だけは味方だと。最早これは告白ではなかろうか? という問いは野暮であろう。
全ての始まり
ここでは時系列順に事件の全容をまとめていこう。アニメでは説明されていない内容も含むことはご了承願いたい。
- ナクラとプロサムが出会う
死にかけだったナクラはジャンガルタにいたプロサムと出会い、半ランカンスロープである妻を生き延びさせつつ人に戻すことに協力する代わりに、ナクラに居場所を提供するという契約を結んだ。
しかし、プロサムの妻が半ランカンスロープとなった原因はナクラではないか? と原作にて言及されている。
- プロサムが一代侯爵となる
ジャンガルタを発展させた功績を認められ侯爵を名乗ることを認められる。しかし実際の彼は、ナクラがいなければ何もできない人間である。元々、ナクラは人々を支配し力を付けることが目的であるため、前提として支配する人を集めさせた訳だ。
- クーファと母親と妹がプロサム侯爵に拾われる
「気まぐれだった」とプロサム侯爵は言っているが、これにより彼らが救われたことには間違いない。クーファの母親は最期に「人として死ぬことができて良かった」と言い残している。
- 『夜の因子』を操る実験に失敗(=七年前の集団惨殺事件)
ランカンスロープがその身に宿すとされている『夜の因子』を操るための実験を敢行したが失敗。その結果がクーファが死んだとされている七年前の集団惨殺事件の正体である。この失敗からナクラはマナの研究を始めて行く。
この失敗によりプロサム侯爵の妻は『夜の因子』を放出するようになり、定期的に『夜の因子』を摂取した《屑鬼》が誕生するようになった。これがジャンガルタ特有の奇病の正体であり、メリダ達学生が発症する可能性もゼロではなかった訳だ(マナ保有者である彼女達は発症しないと思われるが、結局の所分からない)。
- ロゼッティの記憶を凍結
死にかけていたロゼッティを救うために、彼女の血を吸うことで《吸血鬼》の眷属にする。しかし、そのままでは定期的に人の血を吸わなければいけなくなり、人としての生活は行えなくなる。それを防ぐためにクーファとの想い出を凍結することで《吸血鬼》の眷属としての自覚を断たせることで彼女の生活を守ろうとしてのだ。
その副作用として遺伝子が突然変異してしまい、記憶の血を引き継いでいないにも関わらずマナ能力をその身に宿してしまった。
- 軍の諜報組織に拾われる
ナクラを倒した諜報組織と取引し、《吸血鬼》の眷属となったロゼッティと見逃す代わりに絶対服従を誓ったのだ。
ロゼの結婚式
元々《吸血鬼》の眷属であるため、首が切り落とされでもしない限り死なない。あっさりと傷は全快し、結婚式を挙げている。
意識を朦朧とされる薬(プロサム侯爵曰く「最高傑作」)を盛られたロゼッティ。薬が効いている間に急いで結婚式を挙げさせようとするプロサム侯爵。結婚の目的は、夫婦で子供を産ませることでマナ能力者という名の研究材料を生み出すこと。酷い表現だが、事実なので仕方がない。
さて、メリダ達は『結婚式を阻止』しつつ、黒幕である『ナクラを倒すこと』を達成しなければいけない。順序立てて説明しよう。
- ロゼッティの意識を取り戻させる
まずはロゼッティの意識を取り戻させるためにロゼッティを煽る煽る。原作では既に一度キス(ロゼからの一方的なものだが)をしており、もうデレッデレである。兄妹であることを知らないから仕方ないね。
- ロゼッティとの戦闘
何度も言うがメリダのステータスは糞雑魚である。しかし、この戦闘においてメリダがロゼッティに勝つ必要はない。ここで重要なのは『ランカンスロープであるナクラの姿を結婚式に来ていた人達に見せつける』ということである。そのため自然な流れで、ナクラが姿を見せなければならない状況を作る。
- ナクラ登場
まんまと現れてくれたので、彼が一連の事件であると周囲の人達に説明。目の前に見るからに怪しいランカンスロープがいるので、みんな納得。とりあえずクーファの嫌疑は晴れたと言って良いだろう。
ロゼの記憶と事件
まず一連の事件は、《吸血鬼》としての自覚を持ち始めたロゼッティが、衝動的に人を襲ってしまったことで起こしてしまった事件だった。おそらく蜘蛛の姿となったナクラが、プロサム侯爵にくっついて学園に来ていたのだろう。
ここで重要となってくるのは、ロゼッティが《吸血鬼》の本性を露わにしている時には、クーファの《吸血鬼》としての本性も引きずり出されそうになるという設定である。つまり事件が起きている間――メリダが《吸血鬼》の姿になっている時にはクーファも《吸血鬼》の姿になろうとしてしまっている。
となると自然とクーファのアリバイもないことになる。なにせ自身が《吸血鬼》となっている姿を誰にも見られる訳にはいかないのだ。人目に付かないように動かざるを得ない。
そこに追い打ちのようにプロサム侯爵の証言(犯人が男であることなど)が入ることで、クーファが周囲に疑われるような状況を作り出す。ランカンスロープとしては最上位である《吸血鬼》との戦闘を避けることができ、全ての罪をなすりつけることで自身の身の安全を図る。なるほど、考えれば考えるほど素晴らしい作戦である。
ナクラとしては、クーファさえ押さえてしまえば計画を遂行することは容易いと考えていたようである。メリダやラクラ先生がノーマークだったことは失敗だったと言えよう。
また第二の事件で子供達はナクラが殺害した。当初の予定ではロゼッティが血を吸い尽くして殺してしまうはずだったが殺さなかったため、代わり殺してあげたということらしい。第三の事件も、ロゼッティがエリーゼを殺すだろうと思っていたが殺さなかったので、代わりにロゼッティを殺したようだ(まぁ、死ななかったが)。
最終決戦
兄妹とその仲を引き裂いた因縁の相手との戦い。戦いの一挙一動を説明するつもりだったが、正直無理だった。とりあえず五点だけ。
- チャクラムに乗ったクーファ
原作を読み返してみると、チャクラムに乗っている描写がない(正確には『クーファの右脚にチャクラムを絡ませて引き寄せ』ていた)。チャクラムとはロゼッティが使っている武器の名称である。
- ミステリースポット
無重力のミステリースポットにナクラを誘導することで動きを封じた。無重力状態で移動するためには、それなりの特訓が必要であるらしい。ナクラが特訓するはずもないだろう。一方、クーファは慣れているため無問題。一方的に攻撃することに成功。
- 雷撃
一見するとクーファやロゼッティの攻撃のように見えるが、これはジャンガルタで頻発する自然現象である。
- 協力者達
女学院の生徒達の協力で、ちりぢりになったナクラの蜘蛛達を皆殺しにする。説得や指揮はラクラ先生が担当。
- ロゼッティの記憶凍結
「メリダの記憶は凍結しなかったのに、ロゼッティの記憶は凍結するのかい!」という突っ込みがあったのではないだろうか。しかし残念なことに、ロゼッティが《吸血鬼》の眷属としての自覚を持たないようにするためには、兄妹として過ごした記憶は消し去らなければいけないのだ。
今後もクーファは兄として、ロゼッティを見守り続ける覚悟を決めたのだろう。
プロサム侯爵の妻
「誰やねん!」という突っ込みがあったことだろう。あまり気にしてはいけない。
彼女はプロサム侯爵の妻・カーミラであり、半ランカンスロープとなってしまいナクラの手で何とか延命させられており、『夜の因子』の実験に失敗した結果、『夜の因子』を放出するようになってしまった可哀想な人である。
そんな彼女を救うための薬として『半ランカンスロープを人にする薬』を取り出すクーファ。第三話にて登場した人造ランカンスロープであるウイリアム=ジンを作り上げる過程で偶然完成したらしく、再び作ろうとしてもできなかった奇跡のような薬である。
当初の予定ではロゼッティに飲ませる予定だったが、『恩返しのため』『ジャンガルタの未来のため』にカーミラに飲ませることにしたようだ。
帰宅
ロゼッティは今後も昔の彼を探し続けるのだろう。そして、そんな彼女を兄として見守り続けるのだろう。メリダはクーファとの約束を守り続けるのだろう。
……さて、次話からどうなることやら。
最後に
書くのが大変な記事でした……いや、本当に。一応チェックはしているのですが、間違いその他あるかもしれません。また、全てを説明しきった訳ではありません(王族などの情報は一切書けていません)。
まぁ、気になった人は原作を買いましょう。
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