まず最初に
第一巻の内容も終わり、第二巻へと突入。時系列的には、前回の戦いから一週間が経過しています。
今回はファントムという新アニマが登場し、画面は一層華やかになりましたが、どうやらアニマ同士の仲はよろしくないようです。そんな彼女たちの喧嘩に板挟みにされている慧の胃の調子が心配されます。
しかし、ザイはそんな彼女たちの不仲が解消されるまで待ってくれる……何てことはないでしょう。敵は人類を攻めてきて、街一つを跡形もなく消し飛ばす人情の欠片もない絶対悪。問題という奴は可能な限り迅速に解決しなければならないのです。
とにかく。第二巻冒頭の内容であるアニメ第五話の感想・解説を書いていきましょう。
用語・人物解説
鳴谷 慧
- 日々のトレーニングを欠かさなかったお陰で、かなりの筋肉の持ち主となった。
- 昔は明華に腕相撲で負けていたが、この頃には勝てるようになっている。
- ザイとの死闘を乗り越えた彼のメンタルは化け物だと自分は思うのだが、皆さんはどう思うだろうか?
グリペン
- 慧という脆弱な存在を乗せながら、ザイという相手と戦うことになる。
- どうやら操縦技術だけでなく、肉体的にも強くないらしい。
- 情操教育? 受けてないです。
イーグル
- 「精神構造は幼稚園児並かもしれない」 by 慧
- 前回も書いたが、戦闘機の性能的にはTOPクラスである。
- 彼女もグリペンと同様の初期教育を受けたと思われる。詳しくは原作を読んで貰いたい。
ファントム
- 青森の三沢基地で “色々” あった結果、小松にやって来た。
- 彼女は他のアニマとは一線を画している。理由は色々挙げられるが、今後のアニメに説明は任せよう。補足などはこの記事で順次やっていく。
- 正確に言うとファントムⅡであり、戦術偵察機への改良型である。
独立混成飛行実験隊
- 通称『独飛』
- 自衛隊に所属はするが、防衛大臣直属の部隊として、小松に一極集中的に三機のアニマが配備された。
- アニマ単機ではザイに攻められた際に不利であり、戦力は固めておくべきであるという上層部判断。
データ・リンク
- EPCM下でも通信が行えるようにアニマ間で行われる通信の名称。
- 通信が傍受されないように厳重な暗号化が行われている。
- アニマからアニマへの通信は防御が行われていない。つまり、アニマから変な情報を送られたとしても、そのまま受け入れる。
注目すべきポイント
模擬空戦にて
慧とグリペンのコンビはイーグルになすすべなく敗北した。……。
いきなりの空戦。慧とグリペンは当然のように二人で空を飛んでいるが、この時、前回の事件から一週間しか経過していない。おそらく身体の傷も完全に癒えていないだろうし、メンタル的にもきついものがあるのでは……という常識的な考えは慧に通用しない。化け物のようなメンタルである。
そんな慧ではあるが、やはり人間であるらしい。グリペンが超高軌道で動けば、多分死ぬ。彼が身体を鍛えているとは関係なしに、だ。グリペンはそんな慧を労りつつ飛んでいるため結局イーグルには勝てない。
しかし、勝てない理由はそれだけではない。ここで思い出して欲しいのが、「これまでイーグルは空を飛べなかった」ことと「これまでイーグルは那覇基地で戦っていた」ということだ。経験の差というやつは、戦闘においてもっと重要になってくるはずであり、それは単純な性能差も埋めてくれる武器となる。
そのような色々な理由もあり、グリペンは勝てなかった。はっきり言って当たり前の結果なのだ。
降りたって
降りたってから始まるグリペンとイーグルの言い合い。……。
先ほども書いたが、それ相応の経験と慧に対する何かしらの対策がなければ、グリペン達はイーグルに勝てない。
しかし、つい先週の戦いではグリペンの方が活躍した(アニメでは巨大な母艦?のようなザイを堕としている)。イーグルとしては、そこが納得できないのだ。そんな心情の彼女に対して「あなた一人じゃ街は守れなかった」という追い打ちを掛けるような発言。当然、深まるべき仲も溝が増すばかり。
グリペンとしては慧が命をかけてまで一緒に乗り込んでくれて、二人でたたき出した成果であり、それを馬鹿にされるようなことは許せなかったようだ。
二人とも悪気があるわけではなく、イーグルの「褒められたい」という純粋な欲求と、グリペンの「負けたくない」という、これまた純粋な欲求がぶつかり合ってしまった結果、相容れない関係になってしまった訳だ。
遙との話し合い
慧は八代通に相談を持ちかける。……。
困り果てた慧は、八代通に相談を持ちかける。内容は「グリペンと自分はどうすれば強くなるか(イーグルに勝てるようになるか)」。いつまでもイーグルに負け続きでは、グリペンのメンタルが保たない。
そこで身体を鍛えてはどうかと助言する八代通。まぁ、あくまで気休め程度である。
10Gなんて物理的に肉体が耐えられないし、マイナスGに対しては、いくら身体を鍛えたところでどうしようもないからだ。マイナスGというのは、ジェットコースターに乗った際に感じるフワッとした感覚のことであり、これを長時間くらおうものなら、眼球に血液がたまり失明する。
ではどうするのか? 結局解決策はでないまま、グリペンの精神的問題は慧がどうにかすることになる。
ここで注目すべきは「八代通が忙しそうにしている」という点だ。当然、アニマ関連のことだろう。
グリペン VS イーグル(地上戦)
身体測定をするイーグルとグリペン。……。
筋トレをしようとしている慧の前には、イーグルとグリペンの姿が。どうやら身体測定をしているようだ。「兵器がそんなことする必要があるのか」と思われるかもしれないが、実際特に意味はない。どうみてもイーグルは適当にしかやっていないし、イーグルは平均以下のように思われる。
謎の多いアニマ達の成長だったりを記録しているのでは? と個人的に思うが、真相は定かではない。
女性の部屋へ
グリペンを部屋まで送る慧。……。
さて、エロゲ的展開が近づく予感がします。
女性宿舎……中には誰もいない……男女の二人きり……犯罪の香りが。
……冗談はさておき(あまり冗談でもないが)、こんなシーンでも伏線が盛りだくさんであるため、見逃せないのである。
まず「情操教育がなっていない」という点。グリペンは初期教育にて色々なことを教えられたと言っている。その教育課程で重視されていたのは、一体何なのだろうか。
ここで思い出して欲しいのは、『アニマはザイの部品から作られた』ということ。最初に作り上げた研究者達は、アニマを作り上げて、果たして彼女たちを信用できただろうか? いや、難しいだろう。日本の自衛隊員達ですら、彼女たちを人と同じようには決して扱えなかったのだから。
そして、
こうなる。ふーん……へ?
……まぁ、これに関しては監視カメラで常に監視されてたら、男性から見られるくらいどうでも良くなってしまったということなのでしょうか。理由付けはいくらでもできますね。
中国の本
慧はグリペンの部屋から一つの本を見つける。……。
アニメでは恐ろしいまでに説明が省かれているが、本に挟まれていた購入明細より、この本は「慧とグリペンが出会う遙か前にグリペンが購入した」ことが明らかになる。つまり、グリペンと中国(慧)との繋がりができる前に、この本をグリペンは購入しているのだ。
「あいつ(グリペン)と面識があったのでは?」という八代通の指摘が、妙な説得力を帯びるシーンだった。
ファントムとの出会い
ファントムが絡まれている前に偶然現れる奎。……。
ファントムがしおらしくしている珍しいシーンである。今後、こんなシーンお目にかかれないので、しっかりと目に焼き付けておきたい。もう少し突っ込むと、原作では男が胸に手を伸ばしている描写がある。触れてしまった場合、男がどうなってしまうのか、少し気になっている自分がいる。
そんな彼女を慧は助け、運命的な出会いをしたのだ。
スマホバラバラ
男のスマホがバラバラになっていた。……。
中〇製かな? まぁ、まさか唐突にバラバラになる機能付き携帯という訳もあるまい。当然、犯人はファントムである。彼女が手に持っているのは、スマホから拝借したビスだと原作では書かれていた。
……ビスってネジのことだと思ってました。てっきり小さなネジを持っている様を想像していたのですが、それだと分かりにくいという判断なのでしょうか。自分には彼女が手に持っているものはヘアピンのように見えます(すいません、馴染みがないもので)。
原作ではこの後、八代通に電話を掛け、駅についたので、これから基地へ向かうことを報告している。
次の日
昨日会った女の子がアニマだったことを知る慧。……。
機体かっけぇ……ファントムも美人サンやなぁ。ここで戦術偵察機への改良型であることなどが説明されていますね。また、技本の人に「色々あってここに来た」ことなどにも言及されています。
『独飛』について
『独飛』について説明してくれるファントム。……。
『独飛のメリット』はファントムが説明してくれた通り、
- ザイへの対処能力の向上
- アニマの保守や整備のしやすさ
などが上げられます。では何故今までやっていなかったのかと言えば、
- 元々の素体が、それぞれの基地に所属していたために、固定化されていた。
- 上記基地のそれぞれが、ザイへの唯一の対抗手段を失いたくないため手放さなかった。
という二つの理由があるようです。
三機同時空戦
いつの間にか、三人で空で戦い決着を付けることに。……。
何故協力できないんだ? 協調性はないのか? と問う慧に対して、グリペンはよく分からないという返答。どうやら彼女たちが受けた初期教育では、「アニマ達と協力する」といったことは組み込まれていなかったようです。
自分たちにとって、人類を守る上で協力が必要であるということは ”何となく” ”常識” で分かりますが、彼女たちはプログラムされた存在。我々の常識の範囲が分からないのです。
これで第四話にてグリペンが破棄されようが、大して気にも留めていなかったイーグルの行動も説明できます。彼女からしてみれば、「破棄される」ことはどうでもいいことだったということなのです。
さて、そんな「他のアニマ何てどうでもいい」という彼女達が協力できるのか? いや、協力するという概念がない時点で厳しいでしょうねぇ。
空戦の結果は……
あっさりとやられるイーグルとグリペン。……。
イーグルの画面から突如として消えるファントム。
イーグルと戦っていたはずなのに、グリペンのすぐ近くにいたファントム。
攻撃しようにも場所が分からないファントム。
……その差は歴然、二機のアニマを相手に難なく勝ったファントムでしたが、グリペンはどうやら違和感を覚えた様子です。
ファントムは何をしたか。
ファントムはずるをしていたようだ。……。
アニマはEPCM下でも通信が行えるように特殊な通信――データ・リンクを行っている。その共有情報で嘘を流していたというのだ。
だからこそイーグルやグリペンからファントムの位置情報は嘘であったり、見えなかったりしたのだ。当然、勝てる試合も勝てない。それに仲間だからこそ共有されている情報で嘘を流されては、今後の信用にも関わってくる。
もう今後アニマ三人で協力することはできないのだろうか?
最後に
第二巻のおよそ100ページ分といったところでしょうか。大分削られているシーンが多いように思いましたが、特に大きな補足も必要なく、分かりやすい構成になっていたのではないでしょうか。
日常あり、空戦あり、見応え満点のストーリー展開でした。
ファントム・イーグル・グリペンの三人が漸く出揃い、長い長い戦いが幕開けしようとしています。果たして、協力できるようになるのでしょうか。
「ガーリー・エアフォース」第一巻の感想はこちら
夏海公司作品まとめリストはこちら