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【アニメ】「ブギーポップは笑わない」第八話【感想・解説】

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2019年冬アニメリスト

 

まず最初に

 「VSイマジネーター」の物語は第五話。世界が迎える結末はどうなってしまうのでしょうか。

今回大切となってくるのは飛鳥井仁の目的と行動です。イマジネーターとして彼がしようとしていること、それが一体どのように ”世界の危機” となっていくのか。

カミールと谷口正樹、飛鳥井仁にスプーキーE……物語における中心人物達が集い、争い、果たして収拾がつくのか、否か。

分かりにくいところもある物語の解説を書き殴っていきましょう。

用語・人物解説

末真 和子

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会
  • ”闇” と ”戦いたい” と望んでいた彼女は、物語の核心に迫るが関わらないことが多い。運が良い……と言うべきなのだろうか?
  • 霧間凪に「私が出会った中で一番頭が良い」と言わしめる才女。
  • 「夜明けのブギーポップ」がアニメ化するらしい。彼女についての更なる情報はそこで書くことになるだろう。
飛鳥井 仁

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会
  • 今回、彼の目的がはっきりと語られた。詳しくは「注目すべきポイント」で語らせていただこう。
  • 彼自身には自分の「心の欠落した部分」が見えているのだろうか? 考えてみて貰いたい。
  • 彼が ”世界の敵” なのか? も考えなければいけない。
衣川 琴絵

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会
  • 彼女の初恋は決して「仲間を探していた」とか「自分と同じだと思った」だとかではないと自分は思いたい。
  • 第四話にて、彼女の心には花がないことが言及されている。そのことを踏まえると、色々と考えさせられることが多い。
  • 電撃ショック程度ではスプーキーEによる洗脳が解かれなかったようだ。それほど彼女に施された洗脳は特殊だったと分かる。
霧間 凪

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会
  • 正義の味方の登場である。
  • この妙なダサさ……癖になる。
  • 姉貴として谷口正樹を助けに来たら、ブギーポップの格好をしていた。彼女の困惑を想像すると楽しい。
スプーキーE

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会
  • 心の棘を抜かれ、自殺した。後ほど詳しく記述する。
  • ここで死んだくせに、他のシリーズで度々登場する。彼が登場する作品を挙げていくとキリがないほどだ。
  • 彼は最悪ここら一体を、アニメ内で度々描かれるボンベの中身である細菌兵器を用いて、一掃する予定だった。
谷口 正樹

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  • 織機綺と別れた後も、家に帰らず、ブギーポップとして活動していた。
  • 尾行に気付く観察眼……主人公には必須な能力なのだろうか。自分も欲しい。
  • 鍵を手に入れた主人公が向かう先は一つしかないだろう。
織機 綺

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  • スプーキーEが死んだ今、彼女は一体どこに所属しているのか。
  • 彼女にとって、スプーキーEが大きな存在(良いか悪いかは置いといて)だったことが後々分かる。
  • 彼女の行動の中心が、谷口正樹になりつつある。

注目すべきポイント

末真 和子が気付く

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

末真和子は何かに気がついたようだ。……。

まず最初にすれ違っていた女の子は、第六話にて末真和子の目の前で飛鳥井仁に何かをされていた女子高生である。上記画像(一枚目が第八話、二枚目が第六話)を見て貰えば分かりやすい。そんな彼女が誰かに対して、

「はい、衣川さんのことです」

と発言している。おそらく飛鳥井仁に対して報告をしていたのだろう。後に飛鳥井仁が衣川琴絵の実情に関して「ついさっき、ようやく知ったところだ」という発言とも結びつく。

……結末(飛鳥井仁と対話する)は同じなのだが、原作とはそこに至るまでの過程が異なっている。

アニメではかなり偶然の要素が大きくなっているが、原作ではもっと積極的に事件を追っていた。『飛鳥井仁に何かをされた彼女』を尾行し、電話も隠れて聞き、さらに衣川琴絵の家に電話をかけ、家に帰宅していないことや無断外泊をしだすようになったことなどを聞き出した。

その上で、相談をしてくれた衣川琴絵が飛鳥井仁に何かをされたことを察し(実際はスプーキーEによるものだが)、飛鳥井仁に直接話を聞く覚悟を決めたわけだ。

飛鳥井仁との会話

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

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末真和子と飛鳥井仁は言葉を交わす。……。

おそらく大半の視聴者が少しばかり困惑したはずである。何故なら互いの心情があまり描かれていないからだ。文章ではもっとこと細かく描写されている。一つずつ読み解いていこう。

  • 一つ目「衣川さんは飛鳥井仁のことが好きだった」

特に解説はいらないだろうか? 衣川琴絵自身が彼のことを好きだと言っていたシーンはアニメでも描かれている。そのことは飛鳥井仁自身、気がついていたというだけの問題だ。

では、何故彼女はそんな話題を振ったのか?

原作において、末真和子がそんな話題を振った理由は説明されていない。しかし、赤の他人であるはずの彼女が、二人の心情や変化をズバリと当ててくる様は、MPLS能力者である飛鳥井仁から見るとどう見えるだろうか。

もしや、こいつも自分と同じような能力者なのではないか?

そんな疑惑が募り、不安になるだろう。原作では飛鳥井仁が彼女の話を聞きながら、戦慄する様が描かれている。

  • 二つ目「末真和子の震える手」

一つ目のように戦慄した飛鳥井仁は、ふと末真和子の震える手に気がつく。そこで彼女が能力者ではないことを察するのだ。ただ頭が良いだけのようである……と。

ここから一転攻勢。飛鳥井仁のターンとなり、彼女の心の足りない部分を補うように、弱点をズバズバと突いていく。

その弱点こそが「納得したい」という末真和子の思いだ。だからこそ、彼は真実を話した(嘘っぽいが)。それによると人類全員の心を同じにしようとしているらしい。

ちなみに末真和子も「彼女を救いたい」などと嘘をついているのでお互い様?である。

  • 三つ目「絵について」

「寂しい絵ですね、きっとあなたそのものです」

と末真和子は飛鳥井仁に告げる。アニメでは少しばかり言葉が足りないが、どうやら「作者の意思が感じられない」といった類いのことを言いたかったようだ。

飛鳥井仁の意思……というよりは感情と言うべきか。飛鳥井仁に心に足りないものを教えてくれているような気がしてならない。

  • 四つ目「ブギーポップに関わった過去」

末真和子は「ブギーポップに救われた」といった旨の発言をしているが、実際は「私を助けてくれた人が「ブギーポップ」と言っていた」という方が正しい。これに関してはここで議論しても意味がないので、今後のアニメに期待しておこう。

  • 五つ目「何故彼女に能力を使わなかったのか」

原作では末真和子が部屋を去った後、「何故分かったんだ?」「彼女は特別ではないのに」と愕然としている。

彼女に敗北感を覚えた……理由としては、こんなところだろうか。

その後、スプーキーEと戦う覚悟を決める。

谷口正樹を追う衣川琴絵

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

ブギーポップのフリを続ける谷口正樹をつける衣川琴絵。……。

織機綺と別れた後も、谷口正樹はブギーポップとして活動を続けていたようだ。理由としては「ブギーポップのフリをさせていた連中を引っ張り出すこと」があげられる。つまり、この現状は彼が望んでいたことなのだ。

そして、衣川琴絵を押さえつけることに成功した谷口正樹は銃口を突きつける。脅迫であり谷口正樹の勝利かと思いきや、スプーキーEからしてみれば大したことではない。彼女が言うとおり、ブギーポップの偽物が本物であるかのように世に公表することが、スプーキーEの目的である(これについては第七話でもスプーキーE本体が語っている)。

駒の一つにすぎない衣川琴絵が死のうと、どうなろうがどうでもいいのだ。

霧間凪の登場

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

霧間凪が颯爽と現れる。……。

谷口正樹の師匠よりも強いとされている霧間凪の登場である。

学校にはほとんど来ないくせにテストはほぼ満点、身体能力もずば抜けていて、喧嘩も負け無し……そんな彼女のあだ名は ”炎の魔女” ……こんな女子高生が学校にいたら、噂になることは間違いなし。知らない人はいないだろう。

そんな自分のことを、衣川琴絵が知らないということから、彼女が洗脳されていることを知り、事実を大体察したらしい。頭が良すぎる。

全員を飛ばした後、洗脳を解くために『前頭葉部分に微弱な電撃を流している』。他作品でも同様の方法で洗脳を解いているので、かなり万能な方法であるようだ。流石は ”炎の魔女” 。MPLS能力者対策は万全である。

衣川琴絵と飛鳥井仁の会話

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

彼女の恋は、本当に恋だったのか?……。

洗脳が解けきっていない彼女の心が、飛鳥井仁によって溶かされる。そんな彼女に対して、飛鳥井仁は淡々と言葉を続けた。原作の知識を交えて要約すると、

  • 君には恋愛ができない。何故なら、君には何かに熱中するということが理解できないはずだからだ。
  • 君が僕に抱いている感情は同情であり、恋愛感情ではない。
  • もし付き合ったとしても幸せにはならない。

悲しすぎる恋の結末である。告白する以前に、自身の恋心そのものを完全に否定された。それでも飛鳥井仁に対して救いを求める衣川琴絵。

飛鳥井仁が救いたい人の中には、そんな彼女も入っていた。そして、彼女を救うためにも、飛鳥井仁はスプーキーEに戦いを挑む。

スプーキーE VS 飛鳥井仁

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

スプーキーEと飛鳥井仁の戦い、勝者はどっちだ?……。

ここで飛鳥井仁がこれまでやっていたことと、目的を遂行するための活動方針が明らかとなる。

まずは、これまでやっていたこと。

どうやらスプーキーEが作り出した駒を自分の物として使ったりしていたようだ。原作ではスプーキーEが駒としていたはずの人物と話していたりと、もう少し分かりやすくなっている。

では、彼はこれからどうするのか。

統和機構という巨大組織の乗っ取りをしようとしているらしい。スプーキーEをとっかかりとして自身の駒を増やしていこうという訳だ。

そんな二人の戦いはあっという間に決着が付く。スプーキーEはなすすべなく、心の棘(攻撃衝動)を取り除かれ自殺……原作ではもう少しやり取りがあったが、尺の問題だろう。

ここで面白いのがスプーキーEの発言「前から試して見たかった」。

これまで彼は何度も自殺を試して見たかった。しかし、他の人への憎しみ――他の奴らが生きていることが許せなかったために、死ぬことが ”できなかった” 。

そんな彼の他への憎しみを取り除かれたことにより、自殺への障害はなくなった。だから彼は自殺したのだ。それは飛鳥井仁にとって予想外だったようだが。

織機綺と飛鳥井仁

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

織機綺と飛鳥井仁の二人。……。

織機綺は谷口正樹と別れた後、スプーキーEに拘束されていたようだ。おそらく、谷口正樹のブギーポップごっこの邪魔をさせないためだろう。

そんな彼女に谷口正樹から電話がかかってきて、飛鳥井仁が出る。理由に関しては……次のエピソードで恐らく語られるだろうから、そこで説明したい。ここで考えないといけないのは、飛鳥井仁の計画に必要な「タネを持つ少女」の存在である。果たしてその少女とは一体、どこの誰なのだろうか。

最後に

やはり文章で書かれた方が、色々と細かい点は分かりやすいな……というのが、ブログ主としての率直な感想だ。目的や心情の最低限はアニメでも分かるが、あまりにも想像で補うべき点が多すぎる。批評しているように思われるかもしれないが、むしろ自分が解説で書いた部分までの描写は、アニメを間延びさせてしまうだろう。現状がアニメとして最善なのでは? と個人的に思う。

それでもBGMや戦闘の作画は見ていて楽しい。ラストシーンがアニメで見られるということで楽しみで仕方がない。

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2019年冬アニメリスト

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