まず最初に
第四話にて、原作の第一巻の内容は終了しました。無駄なく、変なオリジナルもなく、原作通りにアニメ化したという印象ですね。アニメだと原作の時系列を入れ替えたり、尺の都合で大幅なカットなどすることが珍しくないのですが、そういったことすらもないですし。
それにしても、もう秋アニメが始まる時期となってしまいました……ここまで遅らせるつもりはなかったんですけどねぇ……。
用語・人物解説
アノス・ヴォルディゴード
- 心臓を刺された程度では死なない男。
- 魔法を極めた者であれば、例え肉体が滅ぼされたとしても、根源が残っていれば魔法を行使することができる。つまり根源だけになって《蘇生》すれば生き返ることが可能。
- 《破滅の魔眼》は究極の反魔法と同等の存在であり、神の行使する魔法ですら滅ぼすことができる。止められた時の中でアノスが動くことができたのはそのため。
ミーシャ・ネクロン
- 《分魂分体》(後述)と融合魔法の術式を組み合わせて作った《分離融合転生》(後述)の魔法によりサーシャから生み出された疑似人格。
- 十五才になると、サーシャと融合されることで消失する。詳しくは後述するが、その結果としてサーシャは莫大な魔力を得ることができる。
- サーシャと同等の魔力量に強さであるはずが白服だったのは、十五才になると消えてしまうということが分かっていたため。周囲の彼女に対する扱いも、消えることを知っていたがため。
サーシャ・ネクロン
- 《破滅の魔眼》を幼い頃は制御できずに暴発させていた。今は目を合わせない限り無駄な被害を出さない程度に制御できるようになった。
- 運命によって消えることが定められたサーシャを助けるために新しい魔法を開発し、彼女に嫌われるために行動していた。だが、それも不器用で悪役に徹し切れていないようであった。
- アノスにキスをした理由については……まぁ、第五話以降で勝手に自爆して語ってくれるだろう。
アイヴィス・ネクロン
- 二千年もの期間で編み出した最強の魔族を生み出すための魔法《分離融合転生》によりサーシャからミーシャを作った張本人。
- 何だかんだでアノスの血にから作られた眷属であるため、魔法の実力などは相当なもの。あくまで敵が悪かった。
- 何者かの策略により操られていたことが判明。今後はアノスの指示を受け、様々な調査を請け負う便利屋的なポジションに落ち着く。
エウゴ・ラ・ラヴィアズ
- 時間の秩序を守る神。秩序や法則や摂理というものが具現化した存在であり、原因を排除することで時間の秩序を守ろうとする。
- 二千年前は言葉など喋る存在ではなかったが、今は喋るようになっている。また、一度殺したとしてもいずれ復活する。
- 唯一、時の流れに逆らうことを許されている武器《時神の大鎌》を振りかざす。
《分魂分体》
- 名前の通り、魂(=根源)と体を分ける魔法。
- 分けられた二つは、時間の経過とともに徐々に元の形に戻っていく。
- 胎児のときに行わなければ成功する確率は大幅に減少する。
《分離融合転生》
- 《分魂分体》と融合魔法を組み合わせた魔法。
- 《分魂分体》で二人に分け、融合魔法(第三話にて説明済み)を用いることで魔力を増幅させながら元の形に戻すと、本来の力よりも何十倍も強い力を得ることが可能となる。
- アノス曰く、もしもそれにより力を得たとしても、膨大な力にサーシャが耐えられない可能性もあるらしい。
《根源同調》
- 魔力の波長を他者と同調させる。根源から別人のように変えてしまう。
- 《分離融合転生》はミーシャとサーシャの区別を魔力の波長により行っている。そのためサーシャとミーシャの魔力の波長を同一にしてしまえば区別が行えなくなる。
- この魔法に加え《主格交代》を使うことでミーシャが本物となる。するとミーシャは生き残り、偽物となったサーシャが消える。
《主格交代》
- 《分離融合転生》の魔法術式に働きかけ、ミーシャを本物と判定させることができる魔法。
- 発動する条件は『ミーシャ自身が「自分はミーシャだ」と自覚すること』『サーシャを拒絶すること』の二つ。
- アノス曰く、条件が必要になっているのはサーシャが未熟だから。アノスがこの魔法を使えば、条件も何もなくミーシャを本物と判定させることができる。
魔剣ガドル
- アノスを貫いた魔剣の名称。
- 現代の魔剣では、アノスを傷つけるよりも先に剣が砕け散ってしまう。アノスの身体を傷つけることができるという時点で、かなり強い魔剣であると言える。
- この魔剣でついた傷は癒すことが不可能……とされているはずだが、アノスには通用しないようだ。
注目すべきポイント
ミーシャの真実
用語・人物解説にて説明してあるが、改めてまとめてみる。まずミーシャは《分離融合転生》によって作られたサーシャの疑似人格である。十五年の時が経つと、ミーシャとサーシャは一つとなりミーシャは消えてしまう。その結果、サーシャは莫大な魔力を得ることができる。アイヴィスの目的は《破滅の魔眼》を持つ最強の魔族を作ることだったと推測できる。
ミーシャが十五歳の誕生日を求めなかった理由は、十五歳を迎えることができないと知っていたから。ずっと諦めていたのだろう。定められた運命として受け入れていたのだろう。
ミーシャの根源もサーシャの根源も同じものであるため、サーシャを生き返らせようとして、サーシャが消えた後《蘇生》を使ったとしても誰も生き返らない。なにせ元々ミーシャの根源というものが、この世界に存在しないためだ。
またサーシャとミーシャの間で結んだ《契約》の魔法が、お互いの合意なく簡単に破棄されてしまった。これもミーシャとサーシャが同一の存在であることを考えると、サーシャの合意がそれ即ち二人ともが合意したことになってしまっていたということだろう。
サーシャ VS アノス
ミーシャにナイフを突き立てて、冷静に悪口を吐きまくったサーシャ。それを嘘だと言ったミーシャ。演技だと言ったアノス。さて、真実はどこにあるのだろうか。ちなみに先に逃げ出したサーシャであったが、アノスが迷宮の構造を作り変えて逃げられないようになっていた。
そうして再び顔を見合わせることになる。そこでアノスとサーシャは対決し、アノスが勝った場合はミーシャに真実を話し、サーシャが勝った場合はアノスに魔法を一つ使ってもらう……そんな《契約》を結んだ。
肝心の対決内容というのが、サーシャが書いた魔法陣をアノスが発動させることができるか? というもの。魔法陣の魔法を発動させるためには、魔法陣の構成や繋がりというものをある程度知っていなければ、例え魔力を十分に持っていたとしても発動させることはできない。つまり、アノスはこれから床一面に書かれた魔法陣の構成というものを、瞬時に読み取って理解しなければ発動させなければいけない、ということだ。
一般的な魔族であれば、一か月は解析にかかると思われる複雑さと大きさではあるが、アノスには数秒とかからない。しかし、どうやら二千年前には存在しなかった魔法ではあるらしい。
ちなみに察しの言い方は気づいたかもしれないが、サーシャとアノスの間で結ばれた契約により、アノスはどう転ぼうとも魔法陣の魔法を発動させなければならないようになっている。魔法陣を解析できれば普通に発動させればよいし、もしも解析できずとも、サーシャに構造を教えてもらいながら発動させればよい(あまりにダサいが)。もとより《契約》のため逃げ出すという選択肢も残っていない。
対決の結果は、アノスは魔法陣を発動させることに成功。アノスが勝利し、サーシャは真実を語り始めた。
サーシャの真実
ここでは用語・人物解説の情報を参照しながら説明を行っていく。結論を述べると、サーシャは《根源同調》と《主格交代》を使うことで、ミーシャに生きてもらうために奮闘していたのだ。
流れとしては、まず《根源同調》によりミーシャとサーシャを区別できないようにし、《主格交代》によりサーシャを本物と認識させることで、彼女の望んだ通り、ミーシャが生き残ることができる。
ここで問題となってくるのは《主格交代》が発動する条件である。
一つ目は『ミーシャが自分を自覚すること』であったが、これはアノスという友達ができて、アノスのことが好きだというように意思表示できるようになったことで達成されている(もとより達成されたかどうかの判別が難しい条件だ。あまり考えすぎても仕方ないのかもしれない)。
二つ目は『ミーシャがサーシャを拒絶すること』で、だからこそミーシャに嫌われるように立ちまわっていた。しかし、不器用なサーシャはミーシャに嫌われようとしても難しかったのだろう。サーシャはミーシャのことを拒絶せず、自身が消えるという運命を受け入れた。
さて、ここまでサーシャは(ミーシャが拒絶しなかったことを除いて)計画通りに進めているように見えているが、実際はかなり危ない綱渡り状態だった。
まず上記の魔法を発動させるために魔法陣を書いたが、これを書くためには《不死鳥の法衣》と王杓というような力を底上げしてくれるようなアイテムがなければ厳しかった。さらに、魔力を消耗した状態で魔法を発動させることは不可能。だからこそ、あの場で魔法を発動してくれるアノスがいなければならなかった。アノスがいたからこそ、ここまで順調に物事が運んだとも言える。
2人を救う、たった一つの冴えたやり方
互いに互いを救おうとする姉妹を見て、魔王は二人共を救う道を選んだ。その方法を説明する。
ミーシャとサーシャは、それぞれ一つの根源が二つに分かれている。いずれ根源が1つに融合してしまうとミーシャが消え、サーシャとなる。これが現在の状況である。
ここで、『もしもミーシャとサーシャがもう一人ずつ、計四人いれば?』と仮定する。四人をサーシャ1、サーシャ2、ミーシャ1、ミーシャ2とする。
サーシャ1と2、ミーシャ1と2は、それぞれ1/2の根源を持っている。そして、それぞれが1になろうしている。
サーシャ1は、サーシャ2かミーシャ1かミーシャ2のいずれかと融合することで根源が1つとなり、サーシャとなることができる。
ミーシャ1は、ミーシャ2かサーシャ1かサーシャ2のいずれかと融合することになる。しかしミーシャ1とサーシャ1か2が融合してしまうと、サーシャとなる。
となるとミーシャ1とミーシャ2が融合することでミーシャとなることができる。
つまり。
サーシャ1とサーシャ2が融合してサーシャ。
ミーシャ1とミーシャ2が融合してミーシャ。
とすると融合を成立させながらサーシャとミーシャが共に生き残ることが可能となった。これを現実で再現するには、どうすればよいか。
ここでサーシャ1を『過去のサーシャ』、サーシャ2を『今のサーシャ』と置き換えて読み直して欲しい。すると。
『過去のサーシャ』と『今のサーシャ』が融合してサーシャに。
『過去のミーシャ』と『今のミーシャ』が融合してミーシャに。
ということで矛盾なく、ミーシャとサーシャが共に消えずに共存することができた。
次に『どのようにして過去と今の根源を融合させるか?』ということが問題になってくるが、アノスには《時間操作》という時間移動できる魔法があった。しかし、アノスが時間を移動したとしても意味がない。今のミーシャとサーシャが過去に移動しなくてはならない。
そこで《魔王軍》の魔法を使い、ミーシャとサーシャに《時間移動》できるだけの魔力を与えることにしたわけだ。
さらに『《時間操作》という魔法は根源魔法で、魔王の根源を利用しなくてはならない』という問題が発生する。
根源魔法というのは、根源について知っていなければ成功率が下がる。逆に根源について知っていれば成功率は上がる(第一話にて説明済み)。だが、ミーシャとサーシャはアヴォスという偽の魔王を、魔王だと認識している。それでは魔法の成功率が下がってしまう。
だからこそ、ミーシャとサーシャに「アノスが魔王であると信じるように」と命じたのだ。でなければ、このたった一つの冴えたやり方は成功しないのだ。
アイヴィスの妨害
妨害としてアイヴィス・ネクロンがやってきた。最強の魔族を作ろうとしていたのに、それを邪魔しようとしたアノスを止めようとするのは必然と言えよう。しかし、心臓を潰しても死なないアノスを止めようというのは無謀だった。
さらに時間の秩序を司る神までやって来て、死にかけていたアイヴィスも、過去の姿に戻ることで復活。さらにその神の力をその身に宿らせることで超強化。ちなみにアノスの攻撃は時間停止やら、過去に飛ばされたりで相手に当たらない。
一方アイヴィスの攻撃は時間を超越して襲ってくる。しかし、例え遥か彼方の昔に飛ばされたとしても、停止されようとも、彼自身が扱える時間移動の魔法や、《破滅の魔眼》の効果なども駆使して避けていく。秩序という絶対を相手にして対等に渡り合う姿はさすが魔王と言うべきか。
そんな戦う姿を見て、アノスを心の底から魔王と信じることができたサーシャとミーシャ。無事に時間移動することができたようだ。そして止めは、魔王城デルゾゲードにある理滅剣、神を殺すことができる唯一の剣にて。
時の神を殺したことにより、《時神の大鎌》を入手し、アイヴィスが操られていたという情報を入手。さらにアイヴィスは死んだということにして、自由の調査を依頼することのできる信頼のおける駒を手に入れることまでできた。
ハッピーエンド
十五歳を諦めていたサーシャに、十五歳の誕生日プレゼント。彼女が宝物庫で目にしていた指輪を、左手の薬指に。
最後に
投稿出来てよかった……本当に良かった。
アニメを見るなら
ブログ主が書いた一巻の感想はこちら
秋作品リストはこちら