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【アニメ】「魔王学院の不適合者」第八話【感想・解説】

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まず最初に

第八話で第二巻の内容が終わりました。魔剣大会の終わりを迎えると同時に、レイの育ての親を救いました。何かを切り捨てて何かを救うということではなく、という全てを救いつつのハッピーエンドというのは読んでて、見ていて心地良いものがありますよね。ご都合主義と言われるかもしれませんが、アノスにはそれらを可能にするだけの実力と実績があります。

用語・人物解説

アノス・ヴォルディゴード

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 転生してすぐは元の実力の一割程度しか出せない。アノスも例外ではなく、これまで彼が見せつけてきた力は本気ではなかったようだ。
  • 七魔皇老は全員が根源を乗っ取られていたが、今回の騒動を経て、ある程度自身の味方である七魔皇老が増えた。
  • 魔剣大会で優勝したことにより、ますます統一派の希望として祭り上げられることとなる。それと同時に、皇族派からの敵視は強くなるが。
レイ・グランズドリィ

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 本人の意思とは関係ないとは言え、皇族派の代表として魔剣大会に参加している。彼の敗北は、皇族派にとっては面白くないことだっただろう。
  • 育ての母であるシーラは、『名工が作った剣には心が宿る』という噂を源とする精霊との半魔であった。彼女が生き延びるに至ったのは、アノスの父が丹精込めて作った剣を用いて優勝し、そのことを喧伝したからである。
  • 母が変化した精霊剣を容易く扱っているが、本来は精霊にしか扱えないため十分に異常な状況である。
メルへイス・ボラン

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 七魔皇老の一人。アノスとの再開を果たした後、何者かの襲撃を受けて隷属の魔剣を植え付けられた。
  • 世界を分け隔てた壁をいくつか保管しており、それを武器として扱うことができるようにしていた。
  • アノスが全盛期の力を取り戻していなければ、もしかすると勝てていたかもしれない……いや、ないな。
吸魔の円環

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 魔力を無限に吸収し続ける魔道具。普通ならば魔法を行使することができなくなる。
  • アノスに着けられたものと違って、レイに着けられたものは偽物で魔力を吸わない。圧倒的不利な状況での戦いであった。
  • 吸われた魔力は魔法線を通じて別の場所へ送られており、メルへイス・ボランに利用されている。
隷属の魔剣

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 相手を隷属させることができる魔道具。
  • メルへイスがうまく記憶を隠すことで反逆してきたと思わせることで、七魔皇老の一人をアノスに殺させることが目的だったのでは? とアノスは推測する。
  • アノスと初めて会った後、何者かの襲撃を受けて隷属の魔剣を植え付けられたようだ。
魔剣 イニーティオ

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • レイが扱っていた魔剣。これまでの対戦相手は、この剣で魔剣を破壊されている。
  • 魔法術式を切り裂くことができるため、魔剣も同様に破壊される対象である。
  • この剣での負傷は、しばらくの間、回復魔法の術式すらも破壊する効果が付与されてしまうため回復させることができなくなる。
次元牢獄

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 闘技場の舞台に浮かび上がり、アノスとレイを別次元に飛ばした魔法。
  • 指定された場所を、完全に隔離された別次元へと飛ばす。
  • 魔法の行使者であるメルへイスは、門を開くことで次元内を自在に移動することができる。
四界牆壁

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • アノスが命と引き換えに世界を四つに分け隔てるために用いた壁。全てを拒絶し、滅ぼすという効果を持つ。
  • メルへイスは魔力を与えることで、牆壁が消えてしまわないように維持しておいた。しかし制御することだけはできなかった。
  • アノスの魔力を《吸魔の円環》を用いて集めたのは、この牆壁を制御する際に利用するという目的もあった。

注目すべきポイント

魔剣大会決勝

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

魔剣大会の決勝では新たにルールが追加されてしまう。《吸魔の円環》と呼ばれる魔道具の装着が義務づけられ、この腕輪の破壊も敗北条件として付与されたのだ。この腕輪が壊れない限りは魔力がとある場所に送られ続け、それが途絶えるとレイの母・シーラの精霊病が悪化し、消滅するという仕組みであるようだ。

また、アノスがレイに勝利した場合には、レイに着けられた《破滅の魔剣》の効果により、根源から消滅してしまう。どうあがいても敗北か、誰かの死が待っているという状況である。

その上、アノスは《武器強化》と《秘匿魔法》を使わなければ戦いにならない。使わなければいけない理由については第七話の感想・解説を参照。つまり魔法を大量に消費しながらの戦い。アノスは余裕だと言っているが、レイ相手に力を抜くことはできない。そのため持久戦となればレイはさらに有利となる。上層部からの指示も、持久戦をするようにというものだったようだが、それは理にかなった指示な訳だ。

しかしその指示に逆らうように短期決戦の戦いを仕掛ける。また原作では左腕の腱を切って戦いに望んでいた。これら一連の行動は、契約に背いたものであったため、《契約の魔剣》が反応して心臓に食い込んでいる。メルへイス・ボランはこのとき、レイの根源が消えて死んだと判断したようだ。

これらのレイの行動の真意は、アノスという初めて全てをぶつけることができる友と、全力で戦うことが目的である。つまり最後の母の願いに応えようとしたのだ。アノスもそれに応えて、全力で挑む。

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
決着

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

レイと全力で戦った結末は、レイの母を死なせないために《吸魔の円環》を破壊されないようにしつつ、レイの心臓に食い込んでいた《破滅の魔剣》を破壊した。

メルへイスとしては、アノスは《吸魔の円環》で魔力を奪われていたがために、自身の身を守りつつ、レイを倒すのが精一杯だと考えていたのだろう。レイの《破滅の魔剣》を破壊する余裕があるなど考慮に入れていなかったため、契約に背いた時点でレイの根源は破壊されて死んだ気でいた。

しかし、生きていた。

七魔皇老のガイオス・アンゼムとイドル・アンゼムの二人と、メルへイス・ボランの計三人で、魔力を半分失ったアノスを倒す気でいたようだが甘かった。生きていたレイによってガイオスとイドルは瞬殺。原作でも同様なので、彼ら二人について書くことがなさすぎて困る。

交換条件

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

シーラをわざわざ延命した状態で拘束し、交換条件の餌とした。ちなみに彼女を延命させる手段というのは、彼女の源である噂を少しの人だけに伝えているというだけのもの。原作では噂を知っている者に、《忘却》の魔法を用いてそれらの噂を忘れさせることで彼女を殺すとして、アノスとレイ脅している。

そして一度はその脅迫に屈しないとしたように見せかけて、メルへイスの油断を誘った隙にレイはシーラを助けに、アノスはメルへイスとの一騎打ちという状況に持ち込んだ。しかし、そんな状況も想定はしていたのだろう、対アノスとしてメルへイスが用意していたのは、《四界牆壁》というアノスが命と引き換えにして生み出した壁であった。

息子を守る母の覚悟

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

最期のときになって、シーラは自身の源となっている噂を思い出したようだ。それは『名工が作った剣には心が宿る』というものであり、彼女の真の姿は剣であった。あらゆる剣を操ることができることから錬魔の剣聖と呼ばれたレイによって使われ、それはかつて世界を四つに隔てた《四界牆壁》すらも切り裂いた。

しかし変わりに母は消滅することとなる。原作でも「母親をその手で殺すのですか」というようにレイを脅すが、それに母シーラは「違うわ。あたしが守るのよ」と強気で応えている。子供を守る母が最も強いのかもしれない。

最後はアノスの持つ最強の剣・理滅剣を用いて、《四界牆壁》を保管してあった次元と繋がる門の全てを破壊し、逃げたと思っていたメルへイスの両足を切断し、メルへイスに装着されていた隷属の魔剣を破壊して幕を閉じる。

黒幕

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黒幕

全ての決着が着いたあと、黒幕ですって顔をした怪しい男が影からこちらの様子を伺っていた。ここで問題なのは、この状況で、なぜ姿を見せたのか? という点である。これまで一切姿を見せなかったというのに、だ。

母の噂

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優勝したアノスは、「真の名工が作った剣には、魔剣にも負けないような心が宿る」というような言葉を、声高々に喧伝する。それにより、レイの母シーラの源となっていた噂が、多くの人の知るところとなり、結果として《蘇生》ができるほどにシーラの根源が復活を遂げたのだ。

この辺り、根源が消滅していない限り、《蘇生》で生き返らせることが可能であるという概念を知っていなければ困惑するところであろう。ちなみに今後の敵は、根源を破壊していくるのが当たり前となってくるが……。

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シーラ
優勝者への御褒美

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優勝者への御褒美

なかなか登場しなかったサーシャであったが、こういう役割があったとは。やったぜ。

最後に

原作ファンとしては大満足な内容でした。やっぱり脚本の良さでアニメの良さって決まりますよね。まぁ、作画もとてもいいのですが。

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