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【漫画】ウマ娘シンデレラグレイ13 感想

【前:第12巻】【第1巻】【次:第14巻】

※ネタバレをしないように書いています。

オグリキャップの物語

情報

作者:久住太陽

試し読み:ウマ娘 シンデレラグレイ 13

ざっくりあらすじ

秋のマイル王を決めるマイルチャンピオンシップにて、現役最強であるオグリキャップに相対するはバンブーメモリー。両者の戦い、ついに決着。その後にはジャパンカップが控え……。

感想などなど

トレーナーがウマ娘にしてあげられることは、多いようで少ない。

秋のマイル王を決めるマイルチャンピオンシップにて、大勢の期待を背負ったオグリキャップが走っている。最後はお膳立てされたかのように、バンブーメモリーとオグリキャップの一騎打ちとなった。両者、どちらが勝ってもおかしくない状況において、トレーナーはあまりに無力だ。

そのことを経験から強く実感している男・六平は、自身の過去を振り返る。

この第十三巻までの間、六平の過去は描かれてこなかったが、ここで初めて彼の挫折というものが描かれる。そもそもセントラルでトレーナーとなるには、相当な才能が求められる。そんな優秀な男がトレーナーになったからといって、全ウマ娘が勝てるという訳ではない。

レースにおいて勝てるのは、たった一人。それ以外の全員が敗者である。

そんな厳しいレースに挑むウマ娘に、トレーナーができることは何なのだろうか?

そんなトレーナー達に背中を押される形で、オグリキャップもバンブーメモリーも走りきった。そんなレースの行方は読んでから確認してほしい。毎度のことながら、単行本派の自分には、中々残酷な切られ方をする第十二巻、同じようにヤキモキして、第十三巻を待ちわびた方も多いことだろう。

決着はすぐについて、人々の気持ちは次のレース・ジャパンカップへと向いていた。

 

ジャパンカップ。

日本におけるGIレースの一つで、本シリーズにおいては6巻と7巻に渡って描かれた。つまりは前回のジャパンカップにおいて、オグリキャップは三着。当時はほぼ全盛期だったタマモクロスを下して、徹底的に戦略を立てて勝ったのがオベイユマスターだった。

今回、タマモクロスは引退している。しかし、あのオベイユマスターは再び出走。さらに天皇賞(秋)にてオグリキャップに完勝したスーパークリークも出走。マイルチャンピオンシップではしのぎを削ったバンブーメモリーも出走する(トレーナー曰く「向いてないと思うんだけどなぁ」だが……)。

そんな日本の強者と世界の強者が集まった夢舞台。

ここで忘れてはいけないのは、オグリキャップのスケジュールの過酷さだ。マイルチャンピオンシップから、たったの六日しか開いていないという状況である。この第十三巻においてはサラリとしか描かれていないが、これはとてつもないことだ。健康ランドという安直ネーミング設備に入り浸り、「健康ランド師匠」という新たなお仲間も増えたのは、この過密スケジュールがあったからこそと言えるかもしれない。

この選択が吉とでるか、凶とでるか。

それぞれ出走する個性豊かなウマ娘達のピリついた姿も、裏側のプリティな姿もチラリと描かれつつ、記者会見など進んでいく。ここでオベイユマスターの記者会見での一言を引用しておこう。

Come try me, all you challengers

かかって来い挑戦者共

 

過去のジャパンカップにおいて、日本のウマ娘が勝った回数はたったの二回である。どんなスポーツでもホームのチームに追い風が吹き、有利に働くのが世の常。それらが全く通用しないのが、ジャパンカップというレースの狂気だ。

前回、タマモクロスがオベイユマスターとギリギリの勝負を演じたこと、もう少しで勝てたことが歴史的に快挙になり得たという事実、タマモクロスがいかに凄いウマ娘だったかという現実。オグリキャップの強さは、その境地まで達することができたのか。

それら全ての答え合わせが行われるのは第十四巻。史上空前の大レースへの「静かな熱狂」が充満する、溜めの第十三巻だった。

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