※ネタバレをしないように書いています。
オグリキャップの物語
情報
作者:久住太陽
試し読み:ウマ娘 シンデレラグレイ 2
ざっくりあらすじ
東海ダービーという目標を得たオグリキャップは、「ジュニアクラウン」でのフジマサマーチとの一騎打ちや、初めての遠征に芝を経験する「中京盃」などを経て、順調に目標へと近づきつつあった。しかし、そんなオグリキャップのトレーナー・北原穣の前に、中央で活躍する無敗の三冠馬・シンボリルドルフがやって来て……
感想などなど
東海ダービーという目標ができたし、ノルンエースはデレてくれたし、本気顔のオグリキャップがカッコいい(怖いとも言う)だし最高の展開に作画でした。第一巻を読んだ人ならば二巻に対する期待も最高潮のことでしょう。
第二巻は目標をくれたフジマサマーチとの戦いから始まっていく。走るレースは「ジュニアクラウン」距離1400メートル。
オグリキャップは五枠五番、フジマサマーチは八枠九番からの出走。ペース配分や作戦は互いに考えた通りにレースは進み、最終コーナーを曲がってからはどちらが先に仕掛けるのかを考える二人だけの戦いとなる。
その作画の迫力が凄まじい。オグリキャップが化け物と呼ばれる所以たるその気迫、特徴的な超前傾姿勢などオグリキャップの魅力が詰まったレースだったと言える。
そんなフジマサマーチとの戦いを制したオグリキャップはさらに強くなり、次のレース「中京盃」へと挑んでいく。だが、北原穣の先輩トレーナー・六平さんは「東海ダービーを目指すなら、中京盃はやめておけ」という不穏なアドバイスを残した。
レースに出ることで「東海ダービー」への道が開けるならば分かる。それとは逆に閉じられていくとはどういうことなのだろう?
そんな疑問を抱きつつも、「中京盃」への遠征を決めた北原。初の遠征に、初の芝という並みのウマ娘ならば走ることもままならないであろうコンディションではあったが、オグリキャップは快勝。
そんな勝利を噛み締める北原の前に現れたのは、無敗の三冠を成し遂げた伝説のウマ娘・シンボリルドルフである。どうでもいい話だが、シンボリルドルフの難しい言葉遣いが個人的に好きだったりする。
これまで無名だった北原穣に用があるという彼女のセリフは予想外のもので、六平さんが「中京盃」は止めておけと言った理由にもなっている。
「オグリキャップを中央にスカウトしたい」
オグリキャップは地方競馬に収まるような器ではなかったのだ。あのシンボリルドルフが中央での新たな風として呼び寄せたいと思うような、そういう強さを持っていたのである。
その話を聞いた北原穣は悩んだ。これまで勝利を積み重ねてきたのは、自分のトレーナーとしての腕というよりも、オグリキャップ自身が持つ才能によるところが大きい。それならば自分のようなトレーナーよりも、中央にいるようなエリートトレーナーについてもらった方が、彼女にとっては幸せなのではないか? と。
その悩みは日に日に大きくなり、オグリキャップに面と向かって「中央には行かない」と言われてもなお、むしろ悩みは大きくなっていくばかりだった。
そんな北原穣は悩みに悩んだ末に、全ての選択をオグリキャップに委ねたのだ。
「ゴールドジュニアで勝てば中京、負ければ笠松に残る」
オグリキャップはただ走ることを喜びと感じていた。勝てば大勢の人が北原穣含め、多くの人が喜んでくれる。だがゴールドジュニアで勝てば、今いる笠松を離れて中京へ行くこととなる。勝ちたいのに勝ちたくない……走る足は重くなる。そのレースではフジマサマーチも走っている。生半可な走りでは勝てない。
そんなレースの勝敗やいかに。