工大生のメモ帳

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【漫画】カワセミさんの釣りごはん4 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

川釣りへ友達と

情報

作者:匡乃下キヨマサ

試し読み:カワセミさんの釣りごはん : 4

ざっくりあらすじ

福岡にある母方の実家に帰ったり、マイ釣り具を手に入れるためにシロとクロが働くコガタ釣具店に顔を出したり……釣りにどっぷり浸かっていくカワセミの日常。

感想などなど

カワセミの父親は大学教授に就任したらしい。これまで料理ができない母親の情報ばかりに目が行きがちで、カワセミの料理好きという一番の個性は、その母親の教育(?)によるものだと思っていた。

しかしその認識は少しばかり改める必要がありそうだ。カワセミが料理に向ける興味は、父親が研究対象である恐竜に向けるそれと似ている。青い狸型ロボットの映画で丸眼鏡の少年が飼うことになる恐竜は、恐竜ではなく水棲爬虫類と言うべき(しかも胎生で卵は産まない)という会話のネタになりそうでならなそうな知識は、釣り漫画であるはずの本漫画で学んだ。

そんな父親に連れられて、川釣りへと赴いたカワセミ。まさか娘が川釣りを趣味にしているとは思っていない父は、娘に釣り方というものを教えようと色々と意気込んでいるようだ。

ただそんな父の教えよりも先に最適解の行動を取り続けるカワセミ。何だかんだでこれまでの経験は生きていて、釣り人としての動きが自然とできるようになっていたのだ。まるで娘の成長を見る親の気持ちで、カワセミの様子を眺めることとなる。

釣り針を垂らすポイントを発見するまでの手慣れた感じ。川の流れに沿って竿を動かす技術。人影に敏感な魚に逃げられないようにする配慮。もう教えることは何もない……調査のために父親は去って行く……。

そんな成長したカワセミであるが、釣り人としては大切なある物が欠けている。それはマイ釣り道具。バイトをしていたとしても、高校生には高い買い物となる釣り竿その他諸々の諸経費の足しとして、父親も少しお金を出して貰うことで、また釣り人としての一歩を踏み出すカワセミの成長を見ていこう。

 

釣り具を買う店として選んだのは、シロとクロが働くコガタ釣具店。この記事を見返してみると、シロとクロの二人の名前は一切登場していないが、カワセミとミサゴの関係性のように、シロとクロの関係性も尊い。

クロこと久瑪さんは、元陸上部で綺麗な三角形の眉が特徴的な女子高生だ。釣り具店には週五でバイトに入っている。つまり店に行けば大抵会える。

シロこと小潟さんは、クォーターの地毛が金髪の女子高生だ。周囲とは違う外見にコンプレックスを抱えており、唯一そんなことを気にしなかったクロは一番の親友だ。ブログ主としてはクォーターと言われても、「~ばい!」「~ばってん」という癖の強い語尾からして、根っからの日本人としか認識できないのだが。

そんなシロに対して、「東京いた時は周りにハーフとか多かったし……」と彼女の外見を全く気にすることのなかったカワセミの言葉を聞いて、嬉しそうにするシロの表情が好きだったりする。

そんなシロとクロに釣り具というものについて教えて貰いつつ、読者も一緒に学びつつ、カワセミのマグロ釣り回を楽しみにしつつ、作中でカワセミが作ったアジ漬け丼くらいなら作れそうだなと適当にぶっ込んで作って見たりと、日常生活にまで生きる作品となってしまった。

どうやら次巻は「――ばーちゃんそれ炊いた肉じゃなかっ!タイタニックばいっ!」編ということなので、オーケストラの演奏と共に沈んでいくタイタニック号のラストに感涙する準備をしておこうと思う。

楽しい巻であった。

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