※ネタバレをしないように書いています。
川釣りへ友達と
情報
作者:匡乃下キヨマサ
試し読み:カワセミさんの釣りごはん : 5
ざっくりあらすじ
釣りの費用を稼ぐため、アルバイトを始めたカワセミ。初日からカワセミ両親と魚取家族が顔合わせになり……。
感想などなど
釣りは金がかかる趣味である。
これまでの移動手段はミサゴのバイク。釣り道具はミサゴから借り物。父からお金を貰って釣り道具を買ったは良いが、これから先も細々とした出費が積み重なっていくことは明らかである。
それでも釣りを続けたい、というほどに釣りにどっぷりと浸かってしまったカワセミ。そんな彼女がバイト先に選んだ……いや、選ばされたのは(魚取家長男により紹介されたのは)、とあるメキシコ料理店の給仕だった。
恥ずかしながらメキシコ料理と聞いて思い浮かぶ料理はタコスしかない。メキシコ料理のお通しとして、「サルサ&チップス」が出されるのだが、白黒の漫画上ではポテトチップスにしか見えなかった。自分の知識のなさが憎い。
(サルサ&チップス。調べる限り、トルティーヤを揚げて作ったスナックに、サルサソースをかけたもの)
そんなメキシコ料理店では、鉄板料理なども提供しているらしく、カワセミの料理知識がレベルアップしていく予感をひしひしと感じつつ、接客によってコミュニケーション能力も培われていく様子も確認できた。
そんなカワセミの成長だけが注目すべきポイントではない。
これまで互いに名前だけは知っていたと思われる、娘がバイトを始めるということでバイト先にやって来たカワセミ母と、カワセミの料理が食べられると勘違いしてやって来た魚取母が顔を合わせたのだ。
ここで一つ思い出して欲しい。カワセミとミサゴが「お付き合い」をしているという勘違いが、魚取宅では広まっているという話を(第一巻参照)――。
「せっかくこうして娘同士がお付き合いをしてるのですもの」
と嬉しそうに語る魚取母。
お付き合い……? まぁ、友達付き合いでも通じる言い回しかな……。
清く正しいお付き合いをしているカワセミとミサゴの家族ぐるみの付き合いは、第五巻になっても継続している。今回は魚取家の車に乗り込んで、海釣りへと向かった。
魚に関する知識はさっぱりないが、「真鯛に似た味のする高級魚・ウメイロ」「福岡周辺ではクロと呼ばれるメジナ」といった知識が増えていく。ついでに血抜きの重要性も学んだ。
そんな知識豊富な釣りシーンは、某ハンター協会会長のように仏様が背後に現れたり、その他独特な描写やコマ割りがされており、見ているだけでも楽しい。これまであまり意識してこなかったが、釣り描写のコマ割りが進化しているように感じる。
まるでバトル漫画を見ている感覚に似ている。魚 VS 人類と考えると、そんな感覚も当たらずも遠からずなような。
釣りだけではない。タイトルには『釣りごはん』と書かれていることを、読者共々忘れてはいけない。カワセミの料理動画を、コガタ釣具店のT○it○erでツイートしたところ、かなーりバズったらしい。それにより、これからも定期的に魚料理動画を提供することになった。
女子高生の料理動画というバズる要素しかなさそうな動画を、これからも定期的にツイートしていくつもりらしい。そしてバズればバズるほど、カワセミさんにリターンがあるのだという……「ある程度の地位が築けるばい」と語るシロ。同意せざるを得ない。
そんな動画作成を、今回は学校の家庭科の授業で行うらしい。授業受けつつ動画作成できるという一石二鳥の作戦である。家庭課を請け負っている芦華先生もタジタジの料理スキル・衛生管理スキル・包丁スキルなどなどを見せつけつつ、カワセミの料理動画が順調に作り上げられていく。
釣りで魚とって、動画上げて、もうけた金で釣りして、という無限ループで食っていけると思う。