※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
五つの試練
情報
作者:時雨沢恵一
イラスト:黒星紅白
監修:川原礫
ざっくりあらすじ
第四回スクワッド・ジャムの終了から約一週間後。『ファイブ・オーディールズ』すなわち『五つの試練』の意味を持つ謎のクエストにLPMFとSHINCとシャーリーとクラレンス達による合同チームで挑む。
感想などなど
ガンマニアにはたまらない、有名な銃からマイナーな銃にいたるまで活躍するガンアクションも第十巻になりました。これまでのストーリーはさっぱり覚えていませんが、一気読みしてしまうほどに楽しい戦闘が連続していく内容だというのは覚えています。その構成というものに変化はなく、延々と戦闘が繰り広げられていきます。
これまでと違うと言えば、対人戦闘ではなく運営が用意した敵を、ルールに則って倒していくクエスト方式であるという点でしょうか。タイトルの通り、挑む試練の個数は五つ。実際に挑むまではその試練内容は分からず、始まってからのお楽しみ。
そのためスクワッド・ジャムのような長編的な楽しみ方よりは、一つ一つのステージを攻略していく短編集的な楽しみ方の方が近い。いちおう伏線というか、前ステージでの知識を生かして戦ったりするという意味では繋がっている。
ネタバレをしないように注意しながら、それぞれ挑むことになる試練について、見所や内容を説明していこう。
最初の試練は『大量の敵の群れを倒しながら一キロメートル進む』というもの。この試練は案内役である犬ことスー三郎(ピトが名付けた)がついて回り、試練の内容を説明してくれるということや、試練がラストに差し掛かると敵が強化されるなどのイベントが発生するというような試練に関するチュートリアルとしての色が強い。
しかしスクワッド・ジャムの上位常連による合同チームにとっての小手試しとしては丁度いい難易度であった。大量に押し寄せてくる敵をフカのグレネード弾でポンポン爆撃し、ピトフーイの体術でぶっ飛ばし、レンによる高速移動で敵の隙間をぬって攻撃を仕掛ける。それぞれの長所を生かしつつ安定感のある戦いであった。
第二の試練は『森に潜む三十体の敵を制限時間内で全滅させる』というもの。広い範囲の森のどこかに潜んでいる、姿も分からない敵を見つけ出すというのは、多人数によるグループとはいえ至難の業。
敵の外見は近未来的な人型ロボット兵器で、扱う武器も多種多様。上から下から狙い撃ちしてくる機動性も持ち合わせている。三十体という数も厄介と言えよう。
そんな試練の一番の特徴は、絶対に死なないという設定だろうか。銃で撃たれてもゲームオーバーはないが、痛みだけは感じるらしく、頭から腹部まで貫通するような銃弾を喰らっても前進が痺れるような痛みを感じて動きにくくなるだけで済むらしい……”だけ” という言い方が正しいのか分からないが。
第三の試練は『範囲内で一番高いビルの最上階に辿り付く』というもの。「アレ? 簡単?」いやいや、甘い。ここから少し対戦色が出てきて、戦略的要素というものが重要になってくる。
まず試練の始めに武器が全て没収され、ビルが立ち並ぶ雪原にて散りばめられた。つまりそれらを回収しつつ敵と対峙していくことになる。どの程度の武器を集められるかは運次第であり、運が悪ければスナイパー相手にグレネード一個で挑むという状況もあり得る訳だ。
その状況で、謎の生命体を模した敵と戦いながら一番高いビルの最上階を目指す。限りある資源で、敵がどのような武器を使うのか分からない状況での戦闘は、これまでのそれとはまったく毛色の違った戦闘であり、読んでいて新鮮な気持ちになることができる。
第四の試練は『ドラゴンを模したロボットとの戦い』である。これはシンプルで分かりやすい。試練の舞台である砂漠地帯に現れた巨大なドラゴンを倒せばいいだけ、というもの。高く高く舞い上がる砂埃と、地面を揺らす地響き。スケールの違う大迫力の戦闘は圧巻。設定の分かりやすさは記事を書く側としても有り難い。
小さな鉛玉程度ではダメージを与えられず、これまでの対人戦闘とはまったく違った考え方をしなければ勝つことはできない。現状、それぞれが所持している武器……だけではなく、柔軟な発想でダメージを与える方法を考えなければいけない。これまでとは違うゲームらしい戦いである。
第五の試練は……『自分との戦い』だった。これ以上でも、これ以下でもない。
きっとこのゲームのシナリオを考えた人は性格が悪いのだろう。一通り設定を整理し田上でのブログ主の感想はその一言に尽きる。とくにラストなんて……クリアさせる気ないだろ。
上記にまとめた試練を攻略していくことになり、どれもそれぞれ全く違う見所と面白さがある。短編集的な楽しみ方と最初に言ったのは、そのためだ。
そしてこれまでの試練を終えた後は、戦闘狂揃いの彼・彼女達だからこそ起こる展開が待っている。怒濤の伏線回収といったような驚きはない。むしろ平常運転であり、安心感すら覚える。
戦闘・戦闘・戦闘の連続。安定の面白さを維持し続けるガンゲイル・オンライン。是非とも続いて欲しいシリーズである。