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キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦5 感想

【前:第四巻】【第一巻】【次:第六巻
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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

平和を願う気持ちは同じ

情報

作者:細音啓

イラスト:猫鍋蒼

ざっくりあらすじ

ミスミスが魔女であることを隠すアイテムを提供する代わりに、シスベルが皇庁に着くまでの護衛を任されることとなったイスカ一行。そんな中、女王に対する暗殺未遂騒動が起こり、犯人を特定することができる星霊を持ったシスベルは、殺される危険が高まっていく。

感想などなど

第二巻にて、ずっと前から魔女であることを隠して潜入しているスパイの存在が明らかになった。つまり、魔女であること隠すのは決して不可能ではないということ。

ミスミスがこれから先も帝国の兵士として、戦うことができる希望が見えた。それが例え戦うべき皇庁から与えられる希望だとしても、だ。そんな時にシスベルから交換条件を持ち出される。魔女であることを隠すアイテムを渡す代わりに、皇庁までの護衛をやって欲しいのだという。

皇庁が一枚岩ではないということは、第四巻で嫌というほど分かった。明確な敵が誰ということを提示できない分、かなり厄介な状況であるといえよう。シスベルは何故、母である女王が危ないと分かったのか? 全ての情報を明かしてはくれていない。

第五巻ではその危険性について、嫌というほど分かるエピソードとなっている。

 

皇庁の最高権力者は女王である。アリスやシスベル、イリ-ティアといった三人姉妹は女王の娘であり、最も次期女王の座には近いと言える。しかし仮面卿の下にいるキッシングも十分に素質はある。他にも色々と、次期女王の席を狙う者はいるようだ。

そのため帝国の一兵士とシスベルが仲良くすることは、彼女を蹴落としたい者にとっては思わずほくそ笑んでしまうような情報であろう。

しかし彼女はイスカを護衛とすることを選んだ。「誰一人として信用できる者はいない」という理由ではあるが、そのことが敵にとっては都合の良い状況だとは考えなかったのだろうか?

魔女同士の腹の探り合いと、裏でうごめくどす黒い闇が、徐々に顔を出し始める。魔女相手には絶対に負けない男イスカを、護衛に引き入れたシスベルの考えは、決して間違いではなかったと気付くのは、以外とすぐだったりする。

 

この第五巻におけるアリスの立場というのは、とても中途半端である。母である女王に命じられシスベルを助けに行くと、イスカとシスベルがいちゃいちゃしている現場に遭遇してしまう。

ただでさえ火種がくすぶる皇庁に、新たな火種が産まれてしまった……その渦中にいるイスカは、何が何だか分からぬままアリスに嫉妬され、シスベルに心配されという羨ましいんだか、同情すべきなんだか、良く分からない状況に。

そんな戦争が一段落し、ひとまずアリスは中立に。シスベルがイスカという帝国の者と一緒にいたことを報告してしまえば、シスベルの立場は一気に危ういものとなる。女王争いをする敵同士ならば、そうするのが正しいのだろう。しかし、アリスはそこまで妹に冷酷になれないのだった。

そこへさらなる火種が投下。なんと女王への暗殺未遂事件である。帝国と争っている場合ではないのでは? と思っているのは読者だけではない。使徒聖達が勢揃いし、何か策略を巡らせ、シスベルへの攻撃は苛烈を極めた。

どんどんと深まっていく謎と、帝国の兵士なのに皇庁を救ってしまいそうな勢いのイスカ。外部の人間だからこそ、気付けること、変えられること、があるのかもしれない。

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