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ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

伝説の始まり

情報

作者:蝸牛くも

イラスト:足立慎吾

ざっくりあらすじ

姉がゴブリンになぶり殺され、遊ばれる様をずっと見ていた少年は、ゴブリンを狩るために冒険者ギルドに足を運ぶ。その最中、馴染みの友人との別れが忘れられない少女が、牛飼い娘として生活していた。また、とある村ではゴブリンの襲撃を恐れている。

感想などなど

伝説の幕開け―― ”辺境最強” の槍使いや、受付嬢、牛飼い娘達との出会いが描かれています。こうしてみると、彼らとの付き合いの長さを実感できますね。

本作においてゴブリンスレイヤーの名前は、後半の後半にならないと出てきません。当然と言えば当然、姉を無残に殺されたシーンから始まり、ゴブリンを殺せるようになるまでの物語なのですから。

今は容易く殺すことができる様を見ていますが、「苦労している時期があったんだなぁ」という感動があります。少しばかり彼の苦労を見てみましょう。

 

本作は大まかにゴブリンスレイヤーになる少年と、たまたま町に行っていたためにゴブリン騒ぎに巻き込まれなかった少女(牛飼い娘)、二人の視点が交互に繰り返されていく。たまにゴブリンスレイヤーに武器を売る商人や、ゴブリンスレイヤーに助けられる少女や、受付嬢の視点も入ってくるが、それは置いておこう。

まずは冒険ギルドということで受付嬢との出会い。つまり、受付嬢はまだ惚れていない段階……「彼女がどうして惚れたのか?」が、受付嬢視点の物語で描かれています。

ゴブリン退治の依頼を受けた後は、防具の準備が必要です。そこで向かうは当然、武器防具屋……「ゴブリンスレイヤーが今の装備に至るまでの過程」が描かれていました。いきなり、 ”あの” 甲冑姿に腰に雑嚢、適当に削られた短い剣になった訳ではないのです。

そして、ようやくゴブリン退治へと向かいます。彼が人生初めてに向かったゴブリンの巣は薄暗い洞窟。明かりは自分の手に握りしめた松明のみ。ゴブリンが毒を扱うことを知らず、影から不意を打つことも知らず、魔法を使うゴブリンシャーマンがいることも知らず……今となっては当たり前に知っていたことを知らぬまま、危機的状況に追い込まれます。知識は武器なのだな、と改めて分かります。

最後は牛飼い娘の元へ……基本的に牛飼い娘視点で描かれ、ゴブリンスレイヤーの狂気が第三者視点で描かれ、彼のことを思い続けていた少女の悲しき思いも同時に綴られていました。または今の髪型に至るまでの理由まで。というか理由あったんですね。

……と全体の流れはざっくりと分かって貰えたのではないでしょうか。基本的にゴブリンスレイヤー本編を読んで疑問に思うようなことが描かれていました。なので本編を読んでから読むべきでしょう。本編ファンにはたまらない小ネタが詰まった作品でした。

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