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ゴブリンスレイヤー11 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

砂漠の国の邪悪な企み

情報

作者:蝸牛くも

イラスト:神無月昇

ざっくりあらすじ

東の国境にゴブリンが増えているという噂が立った。女商人は東久邇に商談に向かう護衛として、ゴブリンスレイヤー一党に同行して欲しいのだという。

感想などなど

今回ゴブリンスレイヤー一党が向かう場所は、太陽から照りつける痛いほどの光を遮るものがなく、夜は急速に冷えていく地面と空気、風が吹けば一寸先すらも見えなくなる砂埃が舞い、大事な水を確保することの難しい砂漠であった。

目的は『女商人の護衛』

砂漠を越えた先あるという東国への商談があるらしく、その道すがらで守って欲しいのだという。過酷な環境を進むことに対する護衛と、近ごろ急速に数を増やしているというゴブリンからの護衛。今回、ゴブリンスレイヤーがするべき仕事は以上二つである。

何度も言うように砂漠の環境は過酷だ。東国へと向かう過程、ゴブリンにも襲われるがそれ以上に過酷な環境――砂漠を移動する巨大な魚や竜巻といったものに苦しめられた。途中で砂漠の民に出会わなければ死んでいたことだろう。

あらゆる知識を柔軟に取り込んできたゴブリンスレイヤーでも、砂漠で生き残る手法については素人同然。出発前にある程度の調査はしたものの、実際に進むのと脳内でシミュレートしたものは変わってしまうものだ。

ここで考えるべきは、どうしてゴブリンは数を増やすことができたのか? ということである。

ゴブリンにとっても砂漠というものは過酷であろう。人は滅多に来ないため、食料も数を増やすこともできない。生きるために水だって必要だろうが、無能な奴らに水を備蓄するような発想があるようには思えない。

しかし、東国のゴブリンは数を増やしているようだ。しかも武装をしている。

……この説明で嫌な予想――誰かがゴブリンを増やしているのでは?――をしている方、大正解である。ゴブリンを増やすためにはたくさんの女性が必要である。酷い光景が広がっているだろうことは想像に難くないはずだ。

 

そんなゴブリン達とのアレコレはさておいて。スパイだったり、どこぞの姫だったり視点から政治的視点でも物語が描かれていく。それぞれの役割や思惑というものが、ゴブリンスレイヤー達の知らない場所で蠢いていく。

人というのは時折、あまりにも残忍すぎることを考えるものだ。いやはや、この世界において人権というものはないのだろう。気持ち悪さにおいて、これまでのエピソードとは一線を画している。

しかし、ゴブリンスレイヤー一党があくまですることは女商人の依頼である護衛であった。守るためならばゴブリンを皆殺しにすることもあるが、残忍な政治の裏側に対して口出しすることは彼らの仕事ではない。

彼らは英雄ではない。人々の前に立って革命を進めることはないし、眠っていたドラゴンの首を討ち取るようなこともないし、正義の名の下に鉄槌を下すようなつもりも権限もない。

ただゴブリンを殺すだけ、ただそれだけの話である。その一点だけは揺るぎないシリーズであり続けるだろう。

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