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【漫画】ザ・ファブル(1) 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

プロやからな――

情報

作者:南勝久

試し読み:ザ・ファブル (1)

ざっくりあらすじ

都市伝説的な殺し屋はここ数年で人を殺しすぎたということで、一年間ほど一般人として生活することになった。プロとして、彼はその仕事を全うすべく奮闘することになるが、それは予想外にも難しいことであって――

感想などなど

かなーり金払いが良い『殺し屋』という職業の募集があったとして、是非ともしたいと手をあげる人はいるだろうか。ほとんどいないと思う。何だかんだで『殺し屋』という職に就いたとして、それを長い間継続させることができる者は、きっと殺人という行為に対して慣れが生じてしまったのだろう。

そんな慣れてしまった者の一人である伝説的な殺し屋、通称ファブルは、ここ三年ほどで七十人ほどの命を葬り、立派に仕事をこなしてきた。冒頭ではそんな仕事の一つとして、拳銃を持った四人ほどの男を相手に大立ち回りを繰り広げる見事な仕事の一シーンから始まっていく。

曲がり角からチラリとこちらの様子を伺ってくる対象を、そのチラリと見てきた一瞬で銃殺。エレベーターに乗り、急いで階下へと逃れようとする対象を、外の手すりを掴んでぴょいぴょいと飛び降りながら追い先回り。武器を持った二人に囲まれようと、焦ることなく無力化。銃で撃たれるも、軽く避ける。

その手際はあまりに鮮やか。四つの死体が転がり、一方のファブルは傷一つ受けていない。そんな仕事終わりには、好きな芸人のテレビを見て爆笑する。「殺し屋」の仕事終わりとは思えないが、ファブルにとってはこれが日常だった。

その日常が終わりを告げることになるのは、ボスに「一年ほど一般人として潜り、殺しなどからは離れた普通の生活すること」という任務が下され、佐藤明という偽名を与えられた時であった。

 

「なんだ、簡単じゃん」と侮るなかれ。その苦労はすぐに分かる。

当たり前だが、一般人は他人にちょっと絡まれたからといって無力化しようという判断に直結しないし、大抵はできない。同業者(殺し屋)の匂いなんて嗅ぎ分けられないし、家に拳銃を隠し持っていたりしない。

だが彼は人を五秒以内に無力化する訓練を受けている。そのため用意された家へと向かう道中で車上荒らしに絡まれた際、瞬時に無力化してしまった。今後、彼が絡まれる度にそんなことをしていてば、いつかヤってしまう可能性も無きにしも非ず。

彼には車の運転などを担ってくれる相棒・佐藤洋子(偽名)がいる。天才的な記憶力で、地図などを瞬時に覚えて仕事に生かしてくれる。彼女に「これから一年――こんな事で手ェ出してたら しまいに誰か殺すよ!」と怒られる明は呟く。

「これって……もしかしたら簡単じゃね――な――」

 

殺し屋がいきなり一般人になれるはずもない。家とか金とか色々と入り用になる。金に関してはこれまでの仕事で得たものがあるので問題ないだろうが、家に関しては真黒組と呼ばれるヤクザに世話になることとなった。

そこで組に挨拶に伺うこととなる。組側としては伝説の殺し屋との初対面。緊張もあるが、どんな男なのか気になっているところであろう。

しかし、現れたのは冴えない若者。「こいつが本当にファブルか?」と疑うのも無理はない。その疑惑をあっさりと覆していく――組長と若頭が隠し持っていた拳銃を見抜く、部屋に隠された監視カメラの全てを瞬時に見抜く――それがプロである。

最後には若頭は「あいつは “野生のシャチ” ですよォ~~!!」と言うまでになるのだから楽しい。そう言っているにも関わらず、いやだからこそ、何とかしてファブルをこの街から老いだそうと画策し出すこととなるのだが。

一般人の名前と家を得たとはいえ、ファブルに平穏は訪れそうにない。独特な空気感や台詞、ファブルという強烈な個性が際立つ作品であった。

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