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【漫画】ザ・ファブル(14) 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

プロやからな――

情報

作者:南勝久

試し読み:ザ・ファブル (14)

ざっくりあらすじ

佐藤達が平和な年末を過ごしている中、その裏では砂川が組長の座を狙って本格的に動き出していた。凄腕の殺し屋に、組長か若頭のどちらかを殺すように依頼したのだ。

感想などなど

一度、裏社会にどっぷり浸かってしまった者は、表社会に戻ろうとしても戻れないのかもしれない。そんなことを第十四巻を見ての率直な感想だ。まぁ、これまでも散々思ってきたことであるし、今更ではあるのだが。

この第十四巻からは、砂川がいよいよ動き出す。

「砂川? 誰?」という方に向けて簡単に説明すると、ミサキさんをデリヘルに引きずりこんだ小島とやり合っていた男だ。その一件の倉庫での騒動で、ファブルという伝説の殺し屋の存在を知り、なんとしても会ってみたいと思うようになる。

そのために組で成り上がり、ファブルと取引できるだけの立場になろうと画策している訳だ。そのための一手目が「組長 OR 若頭の暗殺」である。いやはや裏社会は怖い。お世話になっているはずの組長、若頭に刃を向けようとは。

ここでのポイントは ”OR” となっているところだ。つまりは若頭でも、組長でも、死ぬのならばどっちらでも良い。そして死ぬならば、砂川自身に容疑がかからないような事故死が最善。

そこで選ばれた殺し屋は、そういった他殺に見えない殺しを専門に行う男。名は名乗らず、仮で二郎ということになっている。本当の殺し屋、もとい用心に用心を重ねる者は、名前一つ仕事の請負一つとっても手間を惜しまない。

二人の内、どちらかを事故死に見せかけて殺すという依頼に対し、二ヶ月という長い時間を必要とするようだ。下見に三週間、計画に一週間、実行に一週間、想定外の事柄の対処に一週間……工数を計算しそうになってしまったのは社会人の性なのかもしれない。

 

二郎が語る計画通りに進むならば、殺人が行われるのはおよそ四週間後。そんな計画が進行していることなど露知らず、佐藤達は平和な年越しを過ごす。凧揚げにコマ回しといった今時の小学生でもしないような遊びに興じ、佐藤兄妹によるガチの模擬戦闘など、普通なようで普通じゃない時間が過ぎていく。

平和だ……ただその日常の背景に、時折だが二郎が映り込んでくる。どうやら組長か若頭の暗殺の下見で、周辺を嗅ぎ回りつつ、行動パターンや趣味といったパーソナルデータを洗っているようだ。

そんな二郎の気配に、ファブルも気づいたような描写がある……が、だからといってぶつかりあうことはない。なにせまだ事件は何も起こっていないのだ。徐々に情報が詰められていき、二郎の計画が固まっていく過程を、もどかしさとともに読み進めていくことになる。

 

この第十四巻は極めて平和だ。まぁ、名前も良く思い出せない死体が一つ追加されたくらいだ。

佐藤兄と妹がガチで模擬戦闘をしているが、やっぱり平和だ。指の先に口紅を塗り、相手の首筋につけたら勝ちというシンプルなルールで、兄としての圧倒的な力を見せつけた。兄は妹の100倍強いと語っていたが、それも強ち誇張表現ではないのだろう。

ミサキさんが痴漢にあってしまったが、まぁ、おそらく平和だ。ファブル曰く、「容姿は中の上が狙われやすい」そうだが、ミサキさんは上くらいあるだろ。どうかミサキさんには痴漢なんぞに負けず幸せになって欲しい。

こうして列挙していくと、もしかしたら平和じゃないのかもしれない。いやあれですよ、相対的に平和って奴ですね。

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