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【漫画】ウマ娘シンデレラグレイ8 感想

【前:第七巻】【第一巻】【次:第九巻
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※ネタバレをしないように書いています。

オグリキャップの物語

情報

作者:久住太陽

試し読み:ウマ娘 シンデレラグレイ 8

ざっくりあらすじ

次のレースは長距離の有馬記念には、その年のスターウマ娘達が集った。そして、最強と名高いタマモクロスにとっては最終戦。オグリキャップは勝つことができるのか。

感想などなど

競馬を全く知らなくとも、名前を聞いたことはあるという方が多いと思われる有馬記念。場所は中山競馬場。距離は2500メートルの長距離。レースとしての立ち位置としては、中央競馬の一年を締めくくるという意味合いが強く、その年を盛り上げた馬が参加する。つまり、このレースを制したウマ娘が、今年最も強い。

そんな天下の有馬記念に臨むウマ娘は13人。全員が描写されているわけではなく、名前だけというウマ娘を除けば、レースに絡んでくるのは下記の五名だろう。

弾丸シュートの異名を持つディクタストライカ。彼女はオグリキャップが領域に踏み込むことを待ち望むジャンキーである。

菊花賞で魅せた驚異のスタミナとセンスが武器のスーパークリーク。その天性の才能は、有馬記念で通用するのか否か。

天皇賞(春)と(秋)、宝塚記念を制した最強・タマモクロス。他者を寄せ付けない圧倒的な強さを誇り、この有馬記念を最後に引退することに決めた。

毎日王冠にてシリウスシンボリのダンスに巻き込まれて負傷、鼻血を出し発走除外となり、天皇賞(秋)では3着のロードロイヤル。逃げのロードという二つ名の通り、有馬記念は逃げ切ることができるのか。

そして忘れてはいけないのは、笠松希望の星にして灰の怪物・オグリキャップ。初のGⅠ勝利なるか。

 

有馬記念の会場は熱気に包まれていた。それぞれのトレーナーが真剣な面持ちでファンファーレを聞き、笠松メンバーも詰めかけている様子が伺える。それぞれができる限りの準備をして望んでいるのだろう。その表情は真剣そのものだ。

そして始まったレース。

最初の先行争いを制したのは逃げのロード、ロードロイヤル。オグリキャップは六番目、外を少し回る位置。そのすぐ後ろにはスーパークリーク。最高峰にはディクタストライカとタマモクロスが控えている。

中山競馬場には周の最後にきつい勾配の坂がある。高低差2.2メートル、最大勾配は2.24%(45°が100%)。この坂を力任せに上っていては体力を無駄に消耗する。だからといってゆっくり走ればレースに負ける。そのうまい具合の分配が技術であり、有馬記念の結果を大きく左右することとなる。

その対策としてベルノライトが考えた走法を練習したオグリキャップ。その甲斐もあって、オグリキャップの走りは軽快で迷いもない。このまま彼女の調子でいければ勝てる。

その希望を打ち砕くようにタマモクロスの領域が始まり、『白い稲妻』が最後尾から十秒足らずで追いついた。その圧倒的な力と速度に、恐れ戦くことしかできない今年のレースを彩ったウマ娘達。

「それほどまでに違うのか……タマモクロスは……!」という六平さんの台詞が印象的だ。そして気づけば横にいる恐怖がたまらない。これぞ最強を決めるにふさわしいレースだった。

 

この第八巻で『第二章 白い稲妻篇』は完結となる。

クラシック登録騒動に始まり、数々のGⅠレースで好成績を残したオグリキャップ。あと一歩、しかしあまりに遠い距離に絶望しつつ、今回の有馬記念ではタマモクロスとの因縁に決着をつけた。笠松から来た田舎娘も、立派に中央のウマ娘として生きていく覚悟ができたのだろう。有馬記念が終わった後、オグリキャップが母親にしたためた手紙が印象的である。

次巻からは『第三章 永世三強篇』が始まるようだ。新しいライバルの登場を予感させる一コマで締めとなる第八巻。次巻が楽しみである。

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