※ネタバレをしないように書いています。
鏡に答えはない
情報
作者:田中一行
試し読み:ジャンケットバンク 18
ざっくりあらすじ
一勝一敗で迎えた解任戦第三ゲーム、真経津の相手は連続○人鬼・三角誉。彼の奇怪な言動を前にしても、いつも通りに戦おうとするが……ゲーム『デビルズマイン・ツインズ』が幕を開けた!
感想などなど
第二ゲーム『デッドマンズ・キャンドルライト』獅子神と黎明の戦いの結末は、黎明の勝利によって幕を閉じた。敗北という結末であったが、獅子神が得た経験値はあまりに大きかった。
強いギャンブラーが見せるキラキラとした笑顔を獅子神が見せてくれたことも、自身の甘さすらもひっくるめて実現するための強さを得られたことも(まぁ、今回は負けてしまったけど)、獅子神ファンとしては実に嬉しい。
黎明に舐められまくっていた前半から、徐々に前のめりになって目を見てくれるようになった二人の関係性の進展にも、一応、念のため喜んでおこう。これにより一勝一敗という状況になり迎えた大トリ・真経津による第三ゲームを迎えた。
言うまでもなく真経津はワンヘッドギャンブラーであり、このランク帯のゲームは必ずどちらかが死ぬようになっている性格の悪いお客様を喜ばせるためだけに設計されたゲームが用意されている。
その名も『デビルズマイン・ツインズ』。相手である三角という変態にも触れつつ、この十八巻の感想を語っていきたい。
……と早速ゲームの話題に入りたいところだが、第十八巻の物語の半分くらいが、解任戦第二ゲームが終わってから第三ゲームが始まるまでのしばしの平和な時間である。その平和を代表するシーンとしては、第十八巻の冒頭、『「獅子神さんがいつロウソクの火が消える可能性に気付いたか?」を黎明さんと一緒に獅子神さんに聞いてみる回』――つまりは感想戦をしているところから始まっていく。
ちなみに獅子神さんは五本あるロウソクの内、四本目のロウソクが点いた時に消えるかもしれない可能性に気付いたらしい。ちなみに自分は火が消えるまで何も考えていませんでした。性格の悪いギミックはあるんだろうなくらいにしか考えてなかったから……と言い訳を挟み込んでおこう。
宇佐美主任や伊藤主任らも、ゲームの勝敗が一勝一敗という状況や、誰も死んでいないという状況などを鑑みて、「相手は解任戦が終わった後のことも考えている」「御手洗はボール」「帰ってきた」といった重要そうなワードが入り乱れている。
何よりも忘れてはいけないフレーズは「デキズマン」である。ワンヘッドギャンブラーは一戦を勝って生き残ると、二つ名を設定する必要があるらしく、その二つ名として真経津は「デキズマン」を自ら指定した。
これまで幾度となく登場した名前ではあるが、その正体などは全く分からず、ただ銀行にとって都合の悪い名前であるということだけが分かっている。その中途半端な理解の現状と、ネーミングの奇怪さが気持ち悪い。
そして、お待たせしました。ワンヘッド同士が命を賭ける第三ゲーム『デビルズマイン・ツインズ』が始まる。
相手は三角誉という変態連続○人鬼である。連続殺○鬼という時点で常人には理解できない変態ではあるが、彼の場合はひと味もふた味も違う。なにせこれまでの被害者を徹底的に調査・監視をし、最終的には脅迫や監禁などして無理やりの共同生活を送り、いつしか彼・彼女は死んでいるというのだ。
そうして亡くなっていった者達の人格を、三角誉は取り込んでいる。
…ナルホド 君だけ団体戦って訳だ。
三角誉を前にした真経津は端的にそう説明した。一方、御手洗も下記のように。
一人の”人混み”
頭上に30個の連なった岩を抱え、全20ラウンドまでの間にそれらを全て削岩し、もしも削岩できないまま20ターン経過した際には、残った岩全てが頭上に降り注ぐ……つまりは圧死するというゲームになっている。
つまりは何とかしてたくさん削岩するゲーム……という風に単純ではない。砕かれた岩は粉かな砂となり頭上に降り注ぐことになるのだが、これは毒となっている。240分という長きに渡って吸い続けた場合も○ぬ。さらに、この砂は可燃性となっており、【何も対策をしないまま】五回連続して削岩した場合、室内に充満した粉塵が爆発を起こす。
圧死に中毒死に爆死、死のバリエーションは豊富に用意されている。
さて、となると知りたいのは削岩する条件であったり、 ”【何も対策しないまま】五回連続して削岩した場合” という記載にあるような対策とは何か? 次に各ラウンドの流れを説明しよう。
プレイヤーはトレジャーサイドとプレイヤーサイドに分かれる。
トレジャーサイドは3つの宝カードとブランクカード(=効果なし)の計4つのカードを、4つの岩にそれぞれ一枚ずつセットする。セット後、プレイヤーは4つの岩の内の一つを削岩し、そこに入ったカードを入手することができる。
ここでいう3つの宝は『大食らいの人魂』『先人のツルハシ』『無気力瓶』となっている。
- 『大食らいの人魂』は、室内に充満した粉塵を100%洗浄することができる
- 『先人のツルハシ』は、獲得した瞬間にもう一度採掘することができる
- 『無気力瓶』は、対戦相手の削岩カウンターを一つ減らす
例えば、「4回削岩しちゃって5回目削岩しちゃったら爆死しちゃう……」という時は是が非でも『大食らいの人魂』を引きたい。「相手があと少しで全30個の岩全てを削岩しちゃう…」という時は、できれば『無気力瓶』を引きたい。逆もまた然り、「相手が4回削岩してて次削岩させれば爆発させれるな」という時は、相手に「先人のツルハシ」を引かせたい。
このプレイヤーサイドとトレジャーサイドを入れ替えて同じことを繰り返し、最後にそれぞれの選択を精算して削岩などが行われていく。ここで忘れないでおきたいのは、『無気力瓶』を相手に引かれない限り必ず1つ削岩されるということ。『先人のツルハシ』を引くことで、合計で2つ削岩される。
20ラウンドの間に30個の岩を削岩する必要があるということを考えると、約50%の確率で『先人のツルハシ』を引き続ける必要があるということになってしまう。さらに本ゲームには、先んじて行われた解任戦の勝利特典がそれぞれに与えられる。それはスケルトンキーという名の特権だ。
スケルトンキーを使うことで下記3つの特典の内のいずれかを一度だけ利用することができる。
- 『潔癖症』自分が削岩したラウンドで自動的に洗浄が入る
- 『ワーカーホリック』毎ラウンド所持するツルハシが一本増加する
- 『運命論者』自分の頭上にある岩の数が半分になる
それぞれを利用するタイミングが鍵となる訳だ。
ルール説明に長く文字数を割いてしまった。しかし、これまでのゲームを見て貰えば分かる通り、ルールでは説明されていない室内の様子や、ギミックの構造などもゲームに勝つ上では重要になってくる。ロウソクの火が全部灯せば消えるようになっているように、ルールを知ってゲームを知った気になっていては足下をすくわれる。
勝利条件は『対戦相手の死亡』しかない本ゲームにおいて、勝ち方はおそらく無限。つまりは自分の死に方も無限にあるということを意味する。ゲームの序盤から緊張が続き、おそらく「ここで失敗していたら死んでいた」というシーンが続いていく。
相手の異様さもさることながら、ゲームの雰囲気も異様な第十八巻。頭をフル回転させながら読み進めることになる満足度の高い内容だった。