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【漫画】ジャンケットバンク3 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

鏡に答えはない

情報

作者:田中一行

試し読み:ジャンケットバンク 3

ざっくりあらすじ

村雨礼二とのゲーム「サウンド・オブ・サイレンス」に決着。音楽を何度も聞いて、耳から血を流す真経津と、一度も音楽を聞かずに0秒を引き続けた村雨礼二の二人の内、勝者はどちらか? そして間髪開けずに次のゲーム「ジャックポット・ジニー」が……。

感想などなど

ゲーム「サウンド・オブ・サイレンス」についての説明は二巻の感想で書いているので省略させていただきたい。とにかくこのゲームで重要なのは、10分1秒を引かせることだ。

逆に言ってしまえば、例え10分間音楽を聞いたとしても、その次の1秒を引かせてしまえば勝ってしまう。現状、真経津が3分を三回引いて、合計で9分間も聞いてしまった。その影響で耳から血を流し、鼓膜も破れたのか音が聞こえなくなっている。

真経津の体調は最悪。彼の後ろに立っている御手洗の挙動から、真経津がどこに0秒をセットしているのかを読み取って、これまで一度も音楽を聞いてこなかった村雨礼二はあることに気がつく。

「御手洗は0秒のセットされた場所だけを知らされている?」と。

つまり真経津はずっと礼二に ”わざと” 0秒を引かせていたのだ。

その目的を考える。もしや、音楽を聞かないと分からないギミックがあるのではないか? そのギミックに気がついて、罠に嵌めようとしているのではないか? と。

なるほど。こういったギャンブルゲームではお約束の展開である。ゲームで使われていたアイテムを利用して、ルールに抵触しない形で相手を罠に嵌める。村雨がやった0秒のカバーの中に、3分のレコードを入れるというような感じだ。

そこで礼二は慎重になる。真経津としては10分1秒目を引かせれば勝ち。これまで相手の細かな挙動から心を読み取って来て、そのことを見越して ”わざと” 0秒を引かせてきた男はこれからどんな罠を仕掛けてくるのか。

そんな思考を真経津は利用した。

「鏡に答えはない」

俺ならこうする、という考えで出した答えは、真経津の裏を書いたことにはならない。相手の心を打ち砕く見事な勝利であった。

 

そして御手洗のターンに移る。すっかり真経津信者となってしまった訳だが、真経津の最期が見たいというのが彼の行動原理なのだから、かなり変態である。その熱意を遺憾なく発揮して、次の勝負を取り付けた。

ゲーム名は「ジャックポット・ジニー」

6戦を1ラウンドとした3ラウンドマッチの対戦型カードゲームである。

両プレイヤーにはそれぞれ6枚の手札が配られる。内訳は下記の通り。

「黄金」のカード……使用した場合には自らの金貨を4倍に増やす(6枚中4枚)

「盗賊」のカード……敵の金貨の半分を奪う(6枚中1枚)

「魔人」のカード……相手の「盗賊」を無効化し、逆に相手の金貨を90%を奪う(6枚中1枚)

それらのカード制限時間内に同時に出し合って、金貨を「盗賊」や「魔人」を使って奪い合い、最初に渡された1枚を増やしていくことが目的のゲームである。

プレイヤーはそれぞれ巨大な砂時計のような器に入れられ、上に示したカードを出し合って金貨を奪い合う。その後、手に入れた金貨は頭上のポット(砂時計でいうところの上の部分)に入れられていく。敗者はその貯まった金貨が頭上に降り注いで死ぬという仕掛けだ。

何とも悪趣味。しかもそのゲームには観客がいた。彼・彼女らはギャンブラーのどちらかが死ぬことを今か今かと待っているのかと思うと、気色が悪い。

そんなゲームの相手は芸術家を自称する男・雛形。彼が心を砕かれた時、どんな顔をしてくれるのか楽しみな自分は性格が悪い説が有力です。

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