※ネタバレをしないように書いています。
石造りの海
情報
作者:荒木飛呂彦
ざっくりあらすじ
DISC化された承太郎のスタンドを探し出すため囚人の創作に参加した徐倫とエルメェスは、倉庫でDISCが隠されているのを発見するが、そこはプランクトンから生まれた怪物フー・ファイターズに守られていた。
感想などなど
未だ姿を見せぬ敵。当然ながら本体の正体も目的もはっきりしないが、その能力でDISCを作り出して抜き出すことができるということと、この刑務所内にいるということだけははっきりしている。
となるとDISCもかなり収集しているのでは?
収集しているDISCはどこかに隠しているのではないか?
という推測が立つ。となると承太郎のDISCも同じ場所に保管されていると考えるのが自然だ。例えなくとも手掛かりの一つくらいはあってしかるべきだろう。
その隠し場所の手掛かりは、意外にもエルメェスが倒してくれたマッククイーンの記憶の中にあった。どうやら倉庫のような場所のトラクターのタイヤの中に、DISCを詰め込んで隠しているようだ。「隠し場所としてどうなの?」と思わなくもないが、盲点というやつなのかもしれない。
だが徐倫達は囚人。自由に刑務所内を移動して捜査という訳にはいかない。だったら使えるチャンスは全て使う。
そんな折――偶然だろうか――農場に作業しに行った二人の囚人が戻ってこなくなった。脱走というのは考えにくい。毒蛇に噛まれたか、もしくはワニに喰われたか。とにもかくにも原因の調査隊が編成されることとなった。
それに金の力とか使って加わり、農場へと向かった徐倫とエルメェス。そこには倉庫もあり、中にはトラクターが停まっているのが見て取れる。
さらに、徐倫とエルメェスはスタンドの襲撃を受ける。これにより疑惑が確信に変わる。ここは敵がDISCを隠している場所である……と。となるとここでスタンドに負けるわけにはいかない。逃げ帰って、DISCの隠し場所が変えられるのも不味い。
勝たなければいけない。スタンドバトルの始まりである。
敵のスタンドは「フー・ファイターズ」本体は……ない。どうやら「ホワイトスネイク」のDISCにより知能を与えられたプランクトンがより集まった新生物のような存在であるらしい。
敵がプランクトンの集合体となれば、殴る蹴るといった力が通用するとは考えにくい。だが致命的な弱点がそいつにはあった。
水がなければ死ぬのである。行方不明になった囚人二人を殺したのは水分を補給するため。水回りでしか戦闘しないのは水が動くために必要だから。複数の死体を操っているかに見えたのは、そもそも本体が集合体であるから。
徐々に敵の正体が分かっていくのはスタンドバトルの醍醐味であろう。そして戦うにつれて相手のことが分かっていくというのも、精神力のぶつかり合いであるスタンドバトルの醍醐味と言える。
連載当時、このフー・ファイターズが仲間になると予想できた者がいただろうか。自分なんかは、「こいつめっちゃ殺してるけど仲間になるんかい!」となってしまった。そんなバトルの結末は黄金の精神を持つであろう徐倫らしいものだったと言える。
さて、そんなフー・ファイターズとの戦いを終えて、敵の目的が承太郎のスタンドではなく記憶だったことが分かった(スタントのDISCだけ隠されていて、心の方だけはどうしても見つからなかったのだ)。とにもかくにも一歩前進、DISCを取り戻したことで承太郎の意識も戻るかもしれない。
そうして戻った徐倫達は再び敵の刺客が襲ってくる。名前はマリリン・マンソン。始まりはスタンドバトルには思えなかった。フー・ファイターズと徐倫とエルメェスの三人でキャッチボールをしている時、彼女が唐突に賭けを持ち掛けてきたのだ。
「そのキャッチボールが百回続かないことに百ドル賭ける」
金の有無がものをいう監獄の中の社会で、そういった金のやり取りはない訳ではない。しかもその女はスタンドを出していない。しかも賭けの内容はキャッチボールを百回続けるだけというシンプルなもの。もしスタンドで何か仕掛けられているとしても、百回続けさえすればいいのだ。
しかし、その考えは甘かった。血なまぐさい命を賭けた戦いになろうとは……戦いは第五巻へと続く。