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【漫画】ジョジョリオン12 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

「呪い」を解く物語

情報

作者:荒木飛呂彦

出版:集英社

試し読み:ジョジョの奇妙な冒険 第8部 モノクロ版 12

ざっくりあらすじ

東方家の長女、鳩が彼氏を紹介したいと家に連れてきた。クリーニング店を経営する田最環23歳を名乗る彼が、空条仗世文のパスポートの顔写真と一致し、東方家の様子もおかしくなっていて……

感想などなど

大年寺山愛唱が売買している実は『ロカカカ』といい、等価交換でどんな病も治してしまう力を持っているようだ。時代が進み、ネットの片隅でひっそりとしているような伝説と化してしまったその実が、この杜王町で栽培さていている……東方家を代々苦しめてきた呪いが、解けるかもしれない。

その実を巡って、空条仗世文と吉良吉影の身に何があったのか?

それを知るために、チート能力である康穂のスタンド『ペイズリー・パーク』を用いて空条仗世文のことを調査してもらっている中、東方家は騒がしいことになっていた。なんと長女である東方鳩が彼氏を家に連れてきたというのだ。

その男の名は田最環。杜王町でクリーニング店を営んでいる。顎がなく、首と顔の太さが同じで、サングラスを外すと髪の毛が靡いて肌色が現れる(つまり薄毛)。身体が大きいため、東方家のイスを破壊するが、顔色一つ変えず座り続けるという神経の図太さを持つ。

まぁ、長女である鳩の方もなかなか個性的である。平気でエッチやキスや、一緒に風呂に入った数を父親に報告するような思慮の欠けた言動が目立っている。この彼女にして、この彼氏ありといったところか。

そんな二人のなれ初めも風変わりである。実はモデルをしているという鳩が、写真スタジオで撮影をしている最中、突然に壊れてしまったレンタルされたアクセサリー。借り物ということもあり、デザイナーもカメラマンも激しく怒る。そんな現場に偶然居合わせた田最環が、アクセサリーの部品を全て拾って修復してあげたのだという。

しかもただ元の形に戻すような修復を施したのではない(いや、戻せよ)。よく見れば「ダイスキ」という言葉が見えるような形に修復(?)したのだ。それにより鳩は田最環にベタ惚れ。ついでに客が取りに来るのを忘れた服の中にあったという高級ブランド品の類いを頂けるということも相まって、愛が燃え上がっていたらしい。やはり愛の燃料として金は最適だった。

……まぁ、本人達が幸せならいいか……と溜息と心労の絶えない東方憲助であった。

 

さて、長女が彼氏を家に連れてきたという一大イベントの裏では、気持ちの悪い影が蠢いていた。違和感は段々と積み重なって、確信となった時にはもう手遅れになっていた。

もうお分かりかもしれないが、この田最環という男はスタンド使いである。

スタンドの名は『ビタミンC』。人間が体内で作ることのできない栄養素と同じ名前だが、そのスタンド能力は、荒木飛呂彦の作画と相まって絵面がホラーと化してしまうような気色悪さがある。

そんな能力は『指紋を部屋の窓や壁につけ、その指紋に触れた人間、その中にいた人間を柔らかくさせる』というもの。柔らかくされた身体は最終的にビニールのように膜状となり広がっていく。人の顔を無理矢理に引き延ばした姿を想像して欲しい。飲み物を飲もうとして、飲み物の重さに負けた顎が落ちていく様を想像して欲しい。漫画ではそんな超自然的な人の姿を見ることができる。

人の身体だけでなくスタンドも同様に柔らかくされてしまう。それでは攻撃もままならない。知っていれば対処のしようもあっただろうが、何も知らない東方家の面々はなすすべなく柔らかくされていく。

康穂に頼んでいた空条仗世文のパスポートの顔写真が届き、田最環と全く同じだったことを知ったからこそ途中で攻撃を仕掛けられていることに気付いた定助。しかし、写真が届くのが遅すぎた。その時には既に家の至る所に指紋がつけられ、定助の逃げ場所はない。どうする定助。

そして、彼氏が家族に攻撃を仕掛けていることを知った鳩の行動も見過ごせない。追い込まれてはいるが、戦いは始まったばかりである。

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