※ネタバレをしないように書いています。
「呪い」を解く物語
情報
作者:荒木飛呂彦
出版:集英社
ざっくりあらすじ
愛唱が持つロカカカの樹木から、密かに枝だけを奪うことに成功した吉良と仗世文。計画は成功した……かに見えた二人に、六ヶ月の時を経て田最環を初めとする岩人間の襲撃が始まった。
感想などなど
定助の過去が、この漫画において一番最初に出てきた謎だった。壁の目の影響で、二人が一人になってしまったことが明かされ、その二人は吉良と仗世文ということが分かったのが十一巻でのことだ。
さて、この吉良と仗世文の身に何が起こったのか?
それが次の謎として出てきたことになり、十二巻からこの十三巻にかけては回想という形で解き明かされていく。そこには田最環の姿もあり、吉良のスタープラチナとのバトルもあり、ナイスバトルと展開の連続であった。
これまでのジョジョシリーズとは違い、ジョジョリオンはサスペンス色の濃い作品となっている。定助の過去という謎を解き明かすために調査し、行く先々で出会う岩人間達とバトルを重ねることで、疑問点が解消して……こなかった。どうにもスッキリしないもやもやが残ったままの展開がこれまで続いてきた。
それらがこの第十二、三巻で一気に明かされていく。全てが解消された訳ではないが、ロカカカの実を探していた意味が見出されたのは大きな進展だと思う。
さて。第十二巻で明かされている情報を、ここで整理しておきたい。
吉良は医者であるホリーの息子で、仗世文はかつて死にかけたところを助けて貰ったようだ。そのことを知っていた吉良は、母親の脳が欠損していく病を治すためにロカカカの実を盗む共犯者となるよう仗世文に迫り、彼は了承した。
そして実を盗もうと考えていた吉良だったが、仗世文の能力を使えば枝を盗み接ぎ木の要領で実を増やすことにし、作戦を考え始める。
そんな枝を盗む作戦を決行するのが第十三巻であり、そこから怒濤の展開とバトルで謎が明かされていく。どうやら吉良と仗世文を追い詰めたのは、絶賛東方家で猛威を振るっている田最環であるようなのだ。
過去話含め、田最環との因縁がこの第十二、三巻で描かれていくことになる。ロカカカの実(正確には枝だが)を奪われた田最環は、六ヶ月かけて犯人である吉良と仗世文を見つけ出した。吉良達はかなり慎重に痕跡を消してはいたが、岩人間達の調査能力に執念が上回ったのだろう。
そして始まるキラークイーンとビタミンCのバトル。四部ではラスボスとして大立ち回りを繰り広げた殺人鬼・吉良吉影のスタンド・キラークイーンは、「触れたものを爆弾に変える」という能力を持っていたが、ジョジョリオンでは「爆発するシャボン玉を飛ばす」「複数体(大きさも自由自在)のシアハートアタックを飛ばす」という超強化が施されていた。
それでもビタミンCには届かない。スタンドで殴ろうとするも柔らかくされてしまって攻撃が無効化される。シアハートアタックも同様で、柔らかくされると能力も発動できなくなってしまうようだ。
そんな相手に挑まざるを得ない状況に追い込まれた。千円札で切り刻まれていく吉良、ロカカカの実の場所を吐くように脅迫され、頭に千円札を押し込まれていく仗世文。この田最環という男、かなり凶悪な精神をお持ちなようだ。
その凶悪さは東方家の面々にも向けられている。この一連の戦いに終止符を打つのは誰になるのか? 先の読めない展開とバトルが待っている。最高のバトルであった。