※ネタバレをしないように書いています。
「呪い」を解く物語
情報
作者:荒木飛呂彦
出版:集英社
ざっくりあらすじ
肌が岩のように硬化した八木山夜露との戦闘を繰り広げる定助と憲助。その戦いの末に病気を治すフルーツの存在を知り、調査に乗り出すが、偶然にも常敏がそのフルーツの情報を隠し持っているかもしれないと気付き……
感想などなど
第八巻は定助と夜露の闘いから始まる。
憲助のスタンド『キング・ナッシング』により、夜露の居場所を特定することはできた。つまり追い詰めているのは定助のはずなのに、倒すための方法が分からないという絶望感がある。
なにせ相手は能力を二つ持っているかのようなものなのだ。
一つは岩のような肌という特異体質。定助のスタンドで思いきり殴りつけるも逆に拳が壊れてしまうほどの硬さを持っている。しかも岩の多い海岸ということもあり、一瞬目を離した隙に背景に同化されてしまう。
二つはスタンド『アイ・アム・ア・ロック』。夜露に触れられた人間は、その身体の中心に物体がとことん集まってくるようになる。協力であるが故に、その射程距離は十メートル程度なのが唯一の弱点だろうか。
夜露は定助にも康穂にも憲助にも既に触れている。射程距離、およそ十メートルにいる限り、避けることのできない攻撃が襲ってくる。定助たちに向かってきたのは人には猛毒となる農薬……液体までも引き寄せることができるというのか。
しかし、そうは言っても敵の姿を捉えたというのは大きい。シャボン玉で移動させるなど、能力を最大限駆使しての戦闘はジョジョらしさ全開で面白い。最終的には岩人間と勝手に名付けた謎生命体の弱点を奇跡的に突くような形で勝利し、病気を治す鍵を握っているフルーツの存在を知るに至る。
この第七、八巻で大きく進んでいくストーリー。呪いを解くというジョジョリオンの冒頭で語られたナレーションの意味深な発言も意味を持ってきたような気がする。
さて、フルーツが鍵を握っているということは分かった。幸いなことに東方家は日本一のフルーツ屋。フルーツに関する知識ならば相当なものである。だがしかし。康穂がたまたま手にしていたフルーツを見るも、「はじめて見るフルーツだ」と憲助。
ひとまずの目標は、このフルーツを特定することになりそうだ。
と思っていた矢先、長男である常敏がフルーツの情報を握っているかもしれないと、定助だけが気づいてしまった。このことに憲助も気付いていたとすれば話は変わったかもしれないが、定助だけというのがポイントである。
「親ならどちらの味方だ? 自分の家の長男か? 果実の真実か?」
と定助は語っている。
憲助に「常敏がフルーツの真実を知っている」と話した時、定助と常敏のどちらの味方についてくれるのか? 分からないからこそ、確実な証拠を掴むために常敏と戦うことにした定助。その戦いの方法はまさかのクワガタバトル。
この第八巻で岩人間という敵が現れたし、分かりやすく物語が大きく進んだという気がする。とりあえずジョジョリオンを読むなら、七、八巻まで読めば雰囲気が掴めるのではないだろうか。