工大生のメモ帳

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【漫画】スローループ1 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

釣りで繋がる姉妹

情報

作者:うちのまいこ

試し読み:スローループ 1巻

ざっくりあらすじ

亡き父に教えてもらったフライフィッシングを、海辺で一人で嗜んでいた少女・ひよりは、テンション高めの少女・小春に出会う。偶然な出会いだったが、実は二人は両親の再婚により姉妹になるということが分かって――。

感想などなど

釣りをした経験はあるにはある。釣り具は友人の父に借りたり、釣り堀のところにあった店でレンタルされたものを使った。いざ釣り糸を垂らすも、全くもって魚が釣れずに寒い思いだけして、時間がただ過ぎ去っていくのを駄弁って終わったことを覚えている。

その時、釣りの楽しさというものに目覚めることができなかった。だからこそ、今の今まで釣りに行くようなことはなかったし、誘われても行くようなことはなかった。

釣りに対するイメージが「寒い」「暇」というように、如何せん良くなかった。喰う魚はスーパーで下ごしらえされた状態であるし、捌くこともできないし。金もかかるという話も聞く。考えれば考えるほど、行かない理由ばかりが浮かんでくる。

そんな釣りに興じる女子高生・ひよりが、本作の主人公である。

女子高生と釣りという趣味は繋がりにくい。彼女の場合は、今は亡き父にフライングフィッシングを教えて貰い、それを海の堤防でずっとしているらしかった。ただ一人、海に向かって竿を降り続ける姿は、きっと絵になるのだろうと思う。

そんな彼女と同じく、堤防にやって来た女子高生がいた。彼女の名前は小春。彼女が海に来た理由は、格好を見て貰えば分かる。三月という肌寒さ残る季節には似つかわしくないスクール水着に身を包み、海に飛び込もうとしているのだった。

そんな危険行為に身を興じようとする小春を止め、一人の儚い命を救ったのがひよりであり、それが小春とひよりのファーストコンタクトであった。そこからコミュ力しかない女・小春からの猛アタックにより、一緒に釣りをしていくことになる。

学がないのでフライフィッシングというものを初めて知った。

普通に想像する釣りといえば、針の先端に餌(虫とか)を付けて垂らして待つという姿であろう。このフライフィッシングにおいては、釣り針の咲に取り付けられるは餌ではなく、小春にはゴミと呼称された毛ばりである。

これを遠くに飛ばして、魚が食らいつくのを待つ。この作品において最初に登場した魚・メバルは、女子高生・ひよりによってその場で捌かれ刺身となり、その場で小春に振る舞われた。

おぉ、これぞ釣りの醍醐味なのではないか。

釣って、捌いて、喰う。この三連コンボは、是非とも人生一度目の釣りで経験してみたかった。釣りの醍醐味を知っている人間に、釣りの骨の髄まで教えて欲しかった。

そんなことを思う今日この頃。釣りの醍醐味をこの漫画で学んでいこう……。

 

釣りの魅力が詰まっているということに加え、この作品では小春とひよりの成長も描いている。

例えば。

ひよりは父親を亡くし、小春は母親を亡くしている。そして、残されたそれぞれの親が結婚することで、小春とひよりは姉妹となった。「あの時、一緒にいた子と、これから同居する姉妹になるの!」というところで第一話は終わっている。

それぞれが片親を亡くしたことがあるという過去を背負っており、互いに新たに家族となる者に対して、微妙な距離感というものがあった。ひより視点で描かれているため、彼女の感情の吐露は、直に読者に響いてくる。

新しい姉・小春(三ヶ月ほど年上らしい)が与えられた部屋は、今は亡き父が使っていた部屋だった。そんな思い出が、小春という破天荒で無駄に語彙力のある少女によって塗り替えられていく。そこで感じるモヤモヤを、晴らすように海に向かって釣り糸を飛ばし続けるひより。

そんな彼女の心を開かせてくれたのが、パーソナルスペースが異様に狭く、スク水で海に飛び込もうとしていた女子高生・小春である。ボロクソに書いているが、彼女もまた母親を亡くした過去を持っており、ひよりが感じている距離感と同じことを思っていたようだ。

互いに徐々に心の距離を詰めていく。その道具として、父の教えくれたフライフィッシングが生きたことは言うまでも無い。

 

ひよりの幼馴染みで、釣り具屋の娘である恋ちゃんや、その両親、小春とひよりそれぞれの両親といったキャラクターも、皆が魅力的に描かれている。それぞれが釣りとは様々な角度で関わっていくことで、釣りを身近に感じられる世界観が構成されている。

釣りの苦労なども描かれているが、それすらも思い出の一つとして、いつか笑って語り合えるような内容として構成されている。

読みやすい漫画であった。

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