工大生のメモ帳

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【漫画】スローループ2 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

釣りで繋がる姉妹

情報

作者:うちのまいこ

試し読み:スローループ 2巻

ざっくりあらすじ

ひよりの幼馴染の恋ちゃんや、船屋さんの姉妹と一緒に海釣りや遊園地にある釣り堀に行ったりと、初めて尽くしの日常を過ごす。

感想などなど

釣りで仲が深まっていく新米姉妹のひよりと小春。釣りをしたいとせがまれる小春の嬉しそうな表情が、個人的には一番好きだったりする。そして、必死にフライフィッシングのやり方を教えてくれる姿は微笑ましい。

それにしてもフライフィッシングは簡単ではないようだ。どんなものも最初のハードルというものが一番高い。力を込めて振っても、飛んでくれない釣り針。コツは力を入れないようにラインの重さを利用するらしいが、いきなりそれを理解し出来る人間は、きっと運動神経も良いのだろうと思う。

そんな机上の空論を羅列されても理解の厳しい小春は、彼女なりの方法でフライフィッシングのやり方を模索し、「イギリスの気持ちになって投げればうまくいくはず」という独自の精神論を展開。やはり彼女の言語センスは、そこらにいる女子高生に留めておくには勿体ないような気がする。

ちなみにフライフィッシングはできるようになっていない。二巻ではできるようになるのだろうか。ひより曰く「道のりは長そうだ」とのことだが。

 

そんなこんなで迎えた第二巻。最初はぼやけていた家族の形も、少しずつはっきりとした形になってきたように思う。ひよりと小春の間にあった溝もいつしか消え、二人で釣りに行っている光景が当たり前になっている。

それでもまだ残っている小さな隙間を、丁寧に、丁寧に埋めていくのが、この第二巻におけるストーリーではないだろうか。

まず初手、二巻の第一話は、釣りに対してガッチガチの装備と知識で挑むひよりと、適当な装備と無知で挑む小春が、どうにかしてその差を埋めたいと悩む話から始まっていく。わりと本気で悩んでいるらしいが、恋ちゃんからしてみれば、「そんなこと」で片付く内容である。

小春と一緒に釣りができて、小春が釣りを知ろうとしてくれて、ただそれだけでひよりは嬉しいのだ。この気持ち、分かる人はいるだろうか。自分の好きを他人と共有できる相手が、かつては父しかいなかった少女にとって、小春という存在がどれほど大きいのか。

ひよりが釣った魚を、小春が料理して、一緒に食卓を共にする。そんな幸せな一幕が、一読者として好きである。

 

子供にとって、最も身近にいる大人は親であり、その親の背中を見て育つ。ひよりの幼馴染みにして、釣具店の看板娘でもある恋は、釣り馬鹿な父親と、バリバリに働く母親の背中を見て育った。

時折吐いてくる毒は、ボディブローのようにじわじわと効いてくるが、それを差し引いてあまりある優しさと、素直な良い子である。高校生であるが、母親と仲良く、放課後に遊びに出かける。弟達の世話もきっちりとこなす。

そんな彼女だからこそ、小春ともひよりとも仲良く出来ているのだろう。釣りという共通の趣味を通じて……。

そんな関係性を羨ましそうに眺めている一人の少女がいた。名前は二葉といい、まだランドセルを背負っている小学生である。そんな彼女は釣りを楽しむひよりに対し、「女の子が釣りをやってるのって はずかしくないんですか?」と質問を投げかけた。

女子に釣りは似合わない。そんな羞恥心が、彼女の表情から見て取れる。しかし、そんな少女も昔は、釣りを楽しんでいるひよりのような少女だった……と彼女の姉は語る。

ひより自身、釣りを女子がするということを珍しいと認識している。それでも釣りの魅力を語らせれば、きっと無限に語り続けるだろう。父親を釣り馬鹿だと言っている恋ちゃんだって、きっと好きなはずだ。小春はこれから釣りの魅力にどっぷりと浸かっていく姿が想像できる。

二葉の質問に対し、ひよりはどのように答えるのか。

そして二葉はその悩みとどう向き合っていくのか。彼女達の成長が嬉しい漫画である。

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