工大生のメモ帳

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【漫画】スローループ4 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

釣りで繋がる姉妹

情報

作者:うちのまいこ

試し読み:スローループ 4巻

ざっくりあらすじ

紅葉狩りと釣りを両方楽しんだり、大人のいない女子だけのキャンプに赴いたりと、ちょっと背伸びした釣り日常。

感想などなど

高校生の夏休みは楽しいイベントが盛りだくさんで、それはこれまでを読んで貰えれば分かることだろう。もっとページを割いて描くことができることはたくさんあっただろうが、第四巻の第一話は夏休み最後の日からスタートしていく。

夏休み最後の日にすることといえば……そう、夏休みの宿題である。溜まりに溜まった日記を適当に字数稼ぎで埋め、問題の答えを書き写すだけの時間がダラダラと続いていくアレだ。

小春とひより、恋ちゃんの三人衆も集って宿題をしていた。しかし、勉強をしていたはずがいつしか別の作業に熱中してしまうというのは、皆が共通で経験することなのかもしれない。いつの間にかフライを作成する会へと変貌を遂げていく。さらにそこから思い出話へと発展し――。

あぁ、その思い出話がなんとも微笑ましい。今はすっかり毒舌お姉さんになってしまったが、可愛い時代もあったんだなと、恋先生に対する見方が変わってしまう回であり、フライの作り方(色んな動物の毛を使うらしい)が普通に学べる回でもあり、つまりは神回であった。

 

高校生の頃、学生だけでどこかに何泊かする経験はあるだろうか。修学旅行などは抜きにして。

高校生の頃、親戚の家を最終目的地にして、色々なところを回り道して巡りながら一人旅をしたことがある。自分で勝手に計画して勝手に行ったと思うのだが、親に反対された記憶も怒られた記憶もない(記憶から消しているだけかもしれない)。男の子の親などそんなものなのかもしれない。

しかし自分の可愛い娘が、友達だけでキャンプに行くと言い出した矢先には、親としては黙っていられないだろう。ひよりと小春の娘二人に対し、父は厳しく「駄目です」と叱咤した。こないだの渓流釣りで熱を出したこと、まだまだ高校生は子供であるということ……などなど反対する理由は数多い。

そのどれも娘のことを心配しているが故。そんな父に反対し、家出を敢行する小春とひより。だから子供だと言われて心配されるのだから、その辺りを踏まえて対策を打てば良かろう……と大人であるブログ主は思うわけだが、そのままをズバッと言ってくれるのが恋先生である。彼女が先生たる所以はそこだ。

そんな先生の御言葉を受け、分厚い旅の栞を作成する。

父としては厳しくし過ぎただろうかと反省しつつ、成長を見守ることに喜びを感じつつ、父親とはこうして出かけることがなくなるんだなと寂しさを噛みしめつつ、そんな父を置いて釣りキャンプへと赴くのだった。

キャンプですることはいつものように釣りである。緩やかに時間が流れ、美味しそうな魚料理に舌鼓を打つ。キャンプの醍醐味が詰まっている……一人でも良いから行きたいなぁ……。

 

そんなキャンプも終えると、後半はメインである紅葉狩り釣りキャンプが始まる。メンバーはいつもの面々に加えて、二葉と藍子に大人達(男は除く)である。

ここでもすることは釣り。メンバーと場所が変わるだけで、また違った景色になるのだから面白い。そんな釣りを眺めているだけの恋先生と藍子、二人は少しばかり難しい話をしていた。

「ひよりさんと小春さんが仲良くしてるのってモヤモヤしませんか!?」と恋先生にぶちまける藍子。なるほど、釣りという共通の趣味で盛り上がる二人を見て、どこか嫉妬に似た感情を抱いてしまったらしい。

それに対して、どこか達観したように「一番は辛いよ」という恋先生。あぁ、あなたも経験があったのですね。そして藍子からの質問で改めて向き合って、その一つの答えが、彼女が抱えていた胸の取っ掛かりが取れる機会が、この第四巻では訪れる。恋先生の意地悪な笑みが、個人的には好きだ。

この巻を通して描かれているのは、みんなの成長だと思う。突発的な行動で周囲を驚かせる小春が、一歩引いて冷静になって行動していたり、釣りの技術の向上と共に釣果も上がっていく姿が確認できる。ひよりも大人しめな少女だったが、自分の想いをはっきりと言葉にすることができるようになっている。恋先生はもっと可愛らしい子供時代を見せて。

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