工大生のメモ帳

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スーパーカブ2 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

カブと共に生きていく

情報

作者:トネ・コーケン

イラスト:博

試し読み:スーパーカブ 2

ざっくりあらすじ

冬というバイク乗りにとって厳しい季節となった。かじかむ指に、かかりにくいエンジンに苦しめられる小熊と礼子。そんな戦いを経て少しずつ変わっていく小熊のことが気になっている同級生・恵庭椎との関わりが、いつの間にか増えていく。

感想などなど

冬は好きじゃない。寒いし、雪降るし、寒いし。

自分はバイクに乗らないが、ただでさえ朝の寒さはきつい。雪が積もって凍ったアスファルトは、歩きでさえ危ないのに、二輪車であるバイクがどれほど危険か。車とは違って肌が晒され、風が直接感じられるバイクにとって、気温以上に寒さがきついだろう。

スーパーカブ第一巻では夏休みやらを経て成長する小熊達の生活を描いていたが、この第二巻では少し涼しくなってくる秋から始まり、段々と寒くなっていき最後には冬の厳しさと戦う姿を見ることができる。カブ乗り達にとっては馴染み深いあるあるの目白押しなのだろう。カブを知らない自分には、少しばかり勿体ない作品のような気すらする。

だが、この作品の面白さは辛辣な小熊の心の声にもあるように感じる。礼子に対して棘のある突っ込みは、彼女なりのスキンシップであり、礼子もそれを分かった上で付き合っていく。互いに最初は距離のある関係性で、今も外から見れば距離があるように見えるかもしれない。

しかしその実、彼女達はカブを通じて言葉を交わす。二人にそれ以上の繋がりはいらないのだ。

そんな二人の関係性にとある女子高生が入ってくる。名前は恵庭椎。カブに取り付ける籠に入ってしまうくらいの小ささが特徴的で、実家は美味しいコーヒーやパンを振る舞ってくれるカフェ。

彼女もカブ乗りか? と思いきや、自転車通学している女子高生だ。

だとすると、どうにも小熊と礼子に関わりを持つようには思えない。仲良くなるに至るまでには、それ相応の過程というものがあった。

 

先ほども書いたように、季節は秋から始まっていく。そして秋に行われる学校行事といえば……そう、文化祭である。学校ごと、クラスごとに特色ある出し物が催され、その準備に一週間以上かけることになる。

小熊と礼子のいるクラスでは、カフェを開こうとしていた。とてつもなく準備が大変そうな企画ではあるが、制服やカップ、業務用エスプレッソマシン等を他校から丸々借りることができる当てがあるため、比較的楽に準備を進められるという話だった。

なるほど。文化祭において食事というのは安定して楽しめ、客寄せもしやすい。その準備の大半を借りる当てがあるというのなら、選択しない理由がない。

だがしかし。その当てがギリギリになって破産してしまった。

理由としては荷物を運び出す車を担任教師に手配してもらうはずだったものが、手違いにより連絡がいっておらず、先生が車を母に貸してしまったようなのだ。つまり遠くにある他校から荷物を運び出す足がなくなってしまった。

これから宅配便で送って貰うとしても、間に合わない時期に差し掛かっていた。荷物の量的には自転車という訳にもいかない。途方に暮れたクラスメイト達。それをどうでもいいといった様子で遠目から眺め小熊と礼子。礼子に至ってはザマアミロとでも言いたげな顔をしている。

そんな二人を動かしたのは、とある誰かのファインプレーと言う名の一言であった。

「馬鹿か原付なんかで運べるわけがない」

それに対して、

「何とかできるかもしれない」

と答える小熊。スーパーカブは何だってできるのだ。

 

その後、本当にスーパーカブで何とかしてしまった小熊と礼子。そんなファインプレーな彼女達に興味を持ったのが、恵庭椎だった。わざわざ実家のカフェに招待して、タダでコーヒーを振る舞う。貰えるものは貰っておく精神が根強い小熊と礼子が、そんな誘いを断るはずもなくのこのこと上がり込み、いつしか入り浸るようになるまでさほど時間はかからなかったように思う。

結局、人と人との関係性は興味から始まる。そこから先の関係性が深まるかどうかは、何をしたかで決まっていく。恵庭椎と小熊と礼子の関係性を繋げたのは、興味を持たせるきっかけと同じくスーパーカブだった。

やはりスーパーカブは、何だってできるのかもしれない。

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