工大生のメモ帳

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【漫画】ダークギャザリング1 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

ゴースト・スタンド・バトル

情報

作者:近藤憲一

試し読み:ダークギャザリング 1

ざっくりあらすじ

霊を引き寄せる特異体質の持ち主である大学生・螢多朗は、周囲の人を巻き寄せてしまうことから人付き合いを避けるように。そんな自分を変えるために始めた家庭教師の仕事で、初めて請け負った生徒・寶月夜宵もまた霊媒体質であって……。

感想などなど

この作品のジャンルはホラーというらしい。

まぁ、そのジャンル分けに異論はない。都市伝説が語られ、怪異が登場し、血が飛び散り、ガクガクと震えるヒロインが出てくれば、ホラー以外のジャンル分けは不適切と言わざるを得ない。

ただし怖くはない。

主人公である螢多朗は、写真を撮れば100%心霊写真になり、人と関われば必ずその人も心霊現象に巻き込んでしまうという特異な霊媒体質だ。常に手袋を嵌めている右手には、ヤベー怪異が憑いているらしく、その憑りつかれるきっかけとなった事件に巻き込んでしまった幼馴染み・詠子が唯一の友達である。

彼のその体質は、「クラスで3番目の美人」……つまり霊から超手が出しやすいという風に説明されている。それのおかげで霊が絶対に出てきてくれるという安心感が生まれ、読者としても「絶対出てきてくれる」という期待を持って読み進めることができる。

普通、ホラー作品というのは霊が出て来るのか出てこないのかという時の緊張感が、醍醐味の一つである。しかし、この作品では「さっさと霊よ出てこいや」とカチコミして捕らえに行く。霊の命乞いを見ることができる希有な作品となっている。

霊相手に鬼電、脅迫、暴力、拉致、監禁――子供がいる霊ならば、子供を捕らえて人質にする程度のことはする。そんな霊障を相手取って大立ち回りするのが、螢多朗が初めて請け負った生徒・寶月夜宵である。

 

この作品には怪異の類いがたくさん出てくるのに怖くないと言った理由にも納得いただけたところで、本作の怖いところを語っていこう。

まず、女子小学生にして赤いパンツを履く乙女・寶月夜宵が怖い。

彼女はとある目的のために霊を収集している。その目的に関しては本作を読み進めて貰うとして、その目的遂行のために費やした執念と、霊を捕らえるために構築したシステムが恐ろしい。

彼女が手に持っている可愛らしい人形、しかし中には霊が捕らえられている。ギュッと人形を握りしめている様は可愛らしいが、実際は暴れようとしている霊を押さえ込んでいるとは夢にも思うまい。

霊に襲われそうになった時、その人形を投げつける。可愛らしい抵抗と思いきや、霊に霊をぶつけて戦わせていると知った時、この作品の方向性を理解したのはブログ主だけではなかろう。

寶月夜宵は霊を捕らえて強くしていき、より強い霊を捕縛し強くしていく……実に分かりやすいが、実行しようと思わない凶悪な計画を推し進めている訳だ。

 

この第一巻の感想を書いている時点(2022/9/12)で、第十巻まで発売されており、ブログ主は既に読破済みである。長期連載となると途中で目的が変わったり、作品の方向性が変わったりというのも珍しくないが、この作品はずっと一貫している。

人よりも霊の方が登場回数が多いし、名前が出てきた一般人は大抵死ぬし、人かと思えば大抵霊だ。霊のビジュアルは中々に怖い。霊の登場するイントロとして発生する心霊現象は、実写映画とかだったら普通に怖いと思われる。

ただ本作は漫画・ダークギャザリングだ。霊=討伐対象であり、むしろ今対峙している霊が仲間になっていくことを想像すると、ポケ○ン的な楽しみ方の方が健全なのではないか。

とりあえずスタンドバトルが本格化する四巻までは読んで欲しい。そして、一緒に「レッツゴー」「スト」しようではないか。

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