※ネタバレをしないように書いています。
ゴースト・スタンド・バトル
情報
作者:近藤憲一
試し読み:ダークギャザリング 4
ざっくりあらすじ
新しく神代愛衣は、神の花嫁として4年後に死ぬことが確定していることを知ってしまった夜宵たちは、神を捕縛すべく戦力を集め始める。
感想などなど
500歳は優に超えているくせに、20歳の娘を嫁にしようとするロリコン神様にケンカを売った第三巻。「勝てると確信している」という夜宵の言葉は実に心強いが、「本当に勝てるのだろうか?」という不安を感じずにはいられない読者も多いことだろう。
そんな夜宵の計画のため、卒業生という超強いコレクションを回収しつつ、強力な霊を仲間にするための旅が始まった。
卒業生というのは、隣5軒くらいまで霊現象を引き起こす可能性がある家に置いておけないほどの束縛を必要とする霊のことを指す。コレクションした霊を戦わせるなどして、蠱毒の要領で生き残った奴がソレとなる。
この卒業生を回収して集結させつつ、新たな卒業生候補となりうる霊を捕縛。過去に別の神様を殺した経験から、愛衣を狙うロリコン神を捕縛(ぜひとも戦力に加えたいらしい)するためには6体ほどの卒業生が必要だと思われた。
現在、夜宵は3体の卒業生を保持。そして卒業生と同格と思われる1体に、7人の地蔵を共食いさせた超越地蔵。これら計5体をもって激やば心霊スポットを攻略し霊を集める。
これが第四巻からの本筋となる――我々読者も心してかからなければいけない。
第一巻でも語った悪霊スタンドバトルが、ここから本格化するのだから。
この第四巻で攻略するのはH城址という、その名の通り普通(?)の史跡であり、一般の観光客も足を踏み入れることの多い場所である。危険度Sとランク付けされてはいるが、目立った人死にの噂はなかった。
どうやら史実を勉強しに来た者以外、例えば冷やかしの者達などを強めに脅かす程度の善性の霊だと推測された。それでも捕縛しようとするのは如何なものか、ただこれも自分達の目的のため、まだ救える命を助けるために「邪を飲み下し悪を貫く」という小学生らしからぬ思想を貫き通そうとする夜宵。これが彼女の強さだと思う。
さて、そんな善性と想定されるH城址の霊であったが、その実態はかなり悪に染まっていた。H城址の最深部にして、諸悪の根源である霊が居座っている滝壺には、数多くの犠牲者の魂が釣り上げられていた。
人死にの噂が一切でない……もしかして死体は全て滝つぼの中……? 嫌な想像ばかり駆り立てられ、この敵の厄介さが絶望感を与えてくる。それをひっくり返すのが、初登場のスタンド『邪教文大僧正』である。
スタンドという風に書いてしまったが、こいつこそが所謂『卒業生』であり、夜宵のこれまでの集大成であり、これから先の窮地を救ってくれる仲間となる。
仲間とは言っているが、隙を見せると普通に夜宵も殺そうとしてくる厄介な仲間なので取り扱いには注意が必要である。
とりあえず『ダークギャザリング』というシリーズが気になっているという方、一巻だけ読んだけど合わなかったという方は、ひとまずこの第四巻まで読むことをお勧めしたい。
「化物には化物をぶつけんだよ」の成功例をお見せしよう。